勇者は王女を助け身を隠す
そして、翌日。
寒さで目を覚ますアリス。しかし、そこにはアギトの姿は無く、体には、アギトが着ていたと思われるコートが掛けられていた。
コートを羽織り洞窟の入口へと向かうアリス。入り口には、狼煙があげられており、昨日アリスを襲ったカイトと他の者が縄でくくられていた。
睡眠魔法でもかかっているのだろうか、アリスが近づいても起きる気配が無い。再びアリスはアギトを探すために洞窟へと戻る。
「クズ冒険者!何処に行ったの?居ないの?返事をしなさーい!」
しかし、洞窟にはアリスの声が響き渡るだけでアギトの姿はそこには無かった。
「全く、私を1人にして何処に行ったのよあのクズは!今度会ったらタタじゃおかないわ!」
仕方なく、寝ていたところまで戻るとそこには、少量食事と、回復軟膏と手紙が置いてあった。アリスは手紙を手に取り読み始める。
【おはようアリス。これを読んでいる頃にはきっと助けが来るはずだ。だから、ここから動かないでほしい。それと、昨日君を襲った者達は、特殊なアイテムで眠らせてあるからそう簡単には起きないはずだ。
そして、申し訳ないが君の体にもう一度薬を塗らせてもらった。すまない、君の体に触れたことを許してくれとは言わない。
何なら、王様に言ってもらっても構わない。どんな処罰でも受けよう。ただし、昨日も言ったが俺は魔王を倒さなくてはならない。だから命だけは勘弁してくれ。
俺の事を知りたいと言うのなら、ヴィータにある最大のクラン天使の宴の剣聖エリスかティファって子を訪ねるとよい。
それと、ここに回復軟膏を置いておく。必ず1日3回は火傷の痕に塗ってくれ。相当酷いらか、しばらくは見ないようにして誰かにお願いすることをお勧めする。
それと、少ないが食事も用意した。ちゃんと食べるように。では、いずれまた会う事があれば。俺としてはもう2度と会いたくはないが。】
アリスは自分の体を見た。包帯は綺麗なものになっている。
そして、手紙と一緒に置いてあった食事を見る。
一緒に置かれた薪に火の魔法を使い火お起こし食事を温め直して食べるアリス。
「う・・・・・う・・・・おいしい。・・・おいしよ。生きてるんだ私・・・・。う・・・・うぅ・・・・・・。」
自分が生きていることを再確認して、涙を流すアリス。すると、
「アリス!何処に居るんだ!?居たら返事をしてくれ!アリース!」
外で、聞き覚えのある第1王子のヴィクトリア・ライコネンの声がする。
「兄さん!ここよ、私はここに居るわ!」
「アリス!待っていろ、直ぐに助けに行く!おい、こら起きろカイト!ええい、この役立たずが!」
そして、ヴィクトリアがアリスの居る洞窟へと入ってきて、アリスを見たヴィクトリアは、絶望感を覚える。
「ア・・・・アリスなのか?」
「えぇ、そうよ。こんなんになっちゃったけど、私よお兄様。」
「あぁ、何てことだ・・・。何でこんな・・・・。」
「ごめんなさい。」
「アリスが謝る事ではない!誰にやられたアリス!お前をこんな風にした奴は誰だ!言え、アリス!そいつを殺してやる!」
「――――――――――――――――――――――――。」
「どうした、アリス・・・・・・・?まさか・・・・・。」
「――――――――。カイト兄さんです。」
「何だ・・・・と?」
「昨日私は、外で眠っている男達に攫われて、その男達とカイト兄さんはつながっていて、王位継承権を目的に私を殺そうとしました。」
「――――――――――――――――――――――――。」
「アリス、本当か?」
「はい、本当です。」
「カイト――――――――――――――――!貴様!」
ヴィクトリアは、目が血走り急ぎカイトの元へと向かった。
「起きろ貴様!よくも、よくもアリスを!」
ヴィクトリアは、寝ているカイトをボコボコにした。流石の痛みで目が覚めるカイト。
「おい、貴様!自分が何をしたか分かっているのか?」
「ん?ヴィクトリア兄さん?」
「貴様ごときが私の名前を口にするな!」
ヴィクトリアは起きた直後のカイトを全力で殴る。それこそ、殺す勢いで。
「や、止めてください兄さん!私は何もしていません!」
「嘘をつくなこの外道が!貴様だけは、貴様だけは何があっても許さん!」
「ち、違うんです。私はただ男に襲われているアリスを助けようとして。そう、確かアリスを襲ったのはワタルと言う男です。」
「何?」
「本当です!信じてください!」
そして、洞窟の奥からアリスがやってきて、
「騙されないでくださいヴィクトリア兄さん。カイト兄さんが言うそのワタルと言う人物こそ私を助けてくれたのです!」
「なっ!アリス!なぜ貴様が生きている!死んだはずでは?」
「えぇ、ワタルに助けてもらわなかったら今頃私は死んでいたでしょうね。ですが、残念。私はこうしてちゃんと生きています。」
「クソ!何でだ!何で死んでいないアリス!貴様さえ死んでいれば・・・グヘっ」
「もういい。貴様は喋るな、誰かこいつを連れて行け!」
「ち、違うんだ兄さん!」
「ただで死ねると思うなよ?」
「ヒィっ」
こうして、カイルは拘束され王の元へと連行されるのであった。そんな中、ヴィクトリアとアリスは街へと向かう帰り道の馬車の中で、
「それで、そのアリスの言うワタル?と言う人物ってどんな奴なんだ?」
「Fランク冒険者の男性です。何でも、魔王を倒すために転生してきたとかどうとか・・・・。」
「魔王を倒す?勇者でもないのにか?」
「はい、剣士と言っていました。そして、ワタルは木製武器しか装備出来ないようです。」
「ふはははははははははははっ!木製武器しか装備できない者がどうやって魔王を倒すんだ?そんなおとぎ話みたい事出来るわけないだろうに。」
「私もそう言ったのですが、彼はそれでも仲間を集めいずれ魔王を倒すと言っていました。」
こうして、アリスはライザへと帰っていった。
そして、3日後・・・・・・。
「入るぞ、アリス。」
突如部屋へと入ってきたヴィクトリア。そこには、下着姿で目隠しされてメイドたちに回復軟膏を塗られていたアリスが居た。
「もう、兄様!いつも言っておりますが、入るときはちゃんとノックしてください。」
「あぁ、すまない。」
「もう!」
すると、1人メイドがヴィクトリアに小声で話しかけてくる。
(ヴィクトリア様、少々よろしいでしょうか?)
(あぁ、かまわない)
「じゃ、アリスまた様子を見に来るよ。」
「全く、何しに来たんですか!」
そう言うと、ヴィクトリアは部屋から出ていき、
「ヴィクトリア様もご覧になられましたか?」
「あぁ、まさかこれほどとは・・・・」
「えぇ、そうなんですよ。」
意味深に話すメイドとヴィクトリア。そして、アリスはワタルの情報を聞きにヴィータに行くことを決心していた。
(―――――――ワタルあなたはいったい何者なのですか。)
【人物紹介9】
名前→ヴィクトリア・ライコネン 職業→聖騎士 冒険者ランク→S アギトとの出会い→ライザで、アギトを探していた時にたまたま出会う 武器→剣と盾 年齢→25歳 性別→男 身長→175cm 体重→70kg 髪→金髪でミディアム スキル→絶対防御 クラン→無所属 その他→この国の第1王子。妹のアリス思いで、アリスが何かされるとすぐキレる。勇者に憧れていた。アギトを慕い良き理解者。騎士団の団長。




