勇者は王女様にボロカス言われる
見事、カイトとその仲間たちを撃退したアギト。アギトはフードを深くかぶりなおし、再び顔を見せないようにしてアリスに近づく。
「いや、お願い。近づかないで!来ないで!」
(どうしたものかな・・・。完全に勘違いされているな)
「あなたも兄さん達の仲間なんでしょ?何が目的お金?名誉?はっ!さては私の体が目的ね!」
「何でいつもそうなる。」
「だけど、残念ね!私の体はついさっき、何の価値も無くなったわ!見てよ、酷いでしょ?これじゃ、もう生きていても意味が無いのよ。私を抱くなり殺すなり、好きにすればいいわ!」
「うるさい、少し黙れ」
「何よその口の利き方!私を誰だと思っているの?」
アギトはアリスに向かってスキルを使う。
【スキル 調べる】
【アリス・ライコネン 15歳 見習い魔法使い 状態→全身に火傷 死に至る可能性→〇 回復軟膏で治療う可能 冒険者ランクF 低級攻撃魔法を使える 】
「アリス・ライコネン 15歳 見習い魔法使い 冒険者ランクF 低級攻撃魔法を使える。だろ?」
「なっ!どうしてそんなことまで。」
「スキルのおかげさ。」
「スキル?」
「おっと、話し過ぎるのはまずい。悪いなじっとしていろ。」
アギトはアリスに近づき目隠しをさせる。
「ちょ、ちょっと、何するのよ!前が見えないじゃない!この変態!」
「だから、少し黙ってろ!」
アギトは回復軟膏を取り出し、アリスが火傷を負った所に塗り始める。
「あ!ちょ、何処触ってるのよ!止めなさ・・・あ・・・・う・・・・・・うぅん・・・・あぁ・・・・・」
「変な声出すな、気持ち悪い」
「き、気持ち悪い?しょ、しょうがないじゃない!出ちゃうんだから!」
「はぁ?そんなの我慢しろ!」
「ば、バカじゃないの!無理に決まっているでしょ!体のあちこち触られて・・・・・・あ・・あぁん・・・」
アギトは、アリスの火傷を負った顔や、身体に薬を塗り終え、各箇所に包帯を巻いた。
「よし、終了だ。」
「お、覚えてなさい!私の体に触り、弄んだことをお父様に言い、後悔させてあげるんだから!」
「へいへい、ご自由に。」
そして、アギトはアリスの手足を縛っているロープをナイフで切り、目隠しを取る。拘束を解かれたアリスは、物凄い勢いでアギトとの距離を取る。
「何もそこまで離れなくても。」
「うるさい、この変態!スケベ!ろくでなし!」
「スゲー嫌われよう。」
そんな事を言いつつ、食事の準備を始めるアギト。それを見ていたアリスは、
「あんた、何やってるのよ?」
「何やってるって、飯の準備をしてるんだが?お前も食べるだろ?」
「お前って言うな!アリスって言う名前がある!」
「へいへい。んじゃアリス!アリスも食べるだろ?」
「い、いらないわよ!得体のしれない男が作った料理なんて、誰が食べるか!それに、お腹なんか減ってないし。」
しかし、
【ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ】
身体は嘘をつかなかった。街で拉致され、今はもう夜。朝から何も食べていないアリスのお腹はだいぶ減っていた。
「あはははは。ほら、身体は腹が減ったって言ってるじゃないか!」
「うるさいわね!どうせ、睡眠薬でも入ってるんでしょ?私は騙されないわ!私が寝ているすきに、変な事しようとしてるんでしょ?」
「だから、なんでそうなる!そして、どこからその自信が出てくるんだ?胸だって小さいじゃないか。」
「ちょっと、やっぱりあたしの体が目当てなんじゃない!フードで顔は見えないけど、きっとイヤらしい目つきで私の事見てるんでしょ!?」
「あーそうか!悪い悪い、これは気が利かなかったな。すまない。」
そう言うと、アギトはアイテムバックから衣類を出す。しかし、女性ものなど持っておらず、仕方なく男物の衣類をアリスへと投げる。
「とりあえず、それを着ておけ。風邪を引かれては困るからな。」
「何よこれ、ダサいわね!こんなのしかないの?もっと、綺麗な服は持ってないの?こんなの着たくないわ!」
「ごちゃごちゃうるせーな、いいから黙って着ろ!その姿のままいられると、目のやり場に困るんだよ!」
「ほーら、やっぱり下着姿の私を見て発情してんじゃないの。ほんと、気持ち悪い!死ね!」
「あー、そうかい。何とでも言え!」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね!死んで詫びろ!この役立たずで使えない下衆!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「何よ黙って!?何か文句あるわけ?」
「別に」
「どうせ今までろくな生活してこなかったんでしょうね。さっきだって、木刀しか使わず汚い手でカイル兄さんを倒したんだから。」
「そうだな、ろくな生活してこなかったな。」
「ほーら、やっぱり私の言う通りじゃない!使えないクズが。私、そーやってろくに努力もしないでのうのうと生きてきた、使えない人間大っ嫌いなの!」
「努力か・・・・。」
「何よ改まって。今更自分のくずさに嫌気がさしたわけ?」
「どうだろうな。それより、お前は食わないのか?うまいぞ?」
「そんなの、食べるわけないでしょ!」
「まぁ、食べる食べないは勝手だが、一応ここに置いておくぞ!」
アギトは、アリスと自分の丁度中間点に、食事を置き自分の座っていた場所へと戻る。その時、アリスは隈なくアギトを観察していた。
左手は、シルバーウルフとの戦いで血さえ止まっているが肉が見えており、先程のカイトとの戦いで負傷した左腕も傷。それを見たアリスは、
「ね、あなた何者なの?名前はたしかワタル?だったわよね?」
「俺か?」
「この場には、私とあんたしか居ないでしょ?」
「あー、そうだったな。俺の名はワタル。魔王を倒すために転生してきたFランクの冒険者だ。歳は19歳、職業は剣士だ。」
「剣士?剣士なのに木刀?普通、剣とか装備するんじゃないの?」
「俺は特殊で、木製装備以外扱えないんだ。鉄以上の武器を認識される物はもてても、重すぎて振れない。」
「あはははははははは!何それ!チョーダサいね!終わってんじゃん!木製武器しか装備できなくて、魔王を倒す?何バカなこと言ってんのよ!笑わせないでよ、お腹痛いわ!」
「悪かったな、木製装備しか扱えなくて。だから、これから共に魔王を倒す為の仲間を見つけるんだ!」
「無理、無理、無理。誰があんたの仲間になるって言うのよ!そんな命知らずが居るなら、是非とも会いたいわ!あーおかしい。」
「何とでも言え。だが俺は何が何でも元の世界に帰るって決めたんだ!」
「それはそれは、ご愁傷様。あなたは、元の世界には帰れずこの世界で、何の役にも立たずただ死んでいくだけの存在よ」
「これに懲りたら、冒険者など止める事ね。田舎でのんびり死を迎えるといいわ!」
「ほっとけ、どーうせお前に話しても理解してもらえないさ。俺がどれだけ元の世界に帰りたいかなんて。」
「聞きたくもないわね、そんなくだらない夢物語など。なんらな、あたしを助けてくれたお礼に、王城で雑用係として雇ってもいいわよ?まぁ、冒険者をやってるよりは稼げるんじゃないかしら?」
「断る。俺にそんな事をしている時間は無い。」
「な、何よ!せっかく私が雇ってあげるって言ってるのに断るわけ?バカじゃないの?このまま冒険者を続けても直ぐに死ぬわよ?それでいいわけ?」
「死んだら死んだで、それは俺に力が無かっただけだ。別に構わない。だが、俺は必ず魔王を倒す。」
「はん、とんだバカね!頭の中も腐っているのね!」
「うるせー、さっさとそれ食って寝ろ!明日、迎えを呼びに行ってやるから!」
「うるさいわね、いらないわよこんなもの!低能が私に指図するんじゃない。」
「でも食べないと、身体が持たないぞ?」
「さっきから、ごちゃごちゃとうるさいわね!だから、私に指図するんじゃないわよ!このクズ!」
「あー、そうかよ!じゃ、勝手にしろ!俺は外で見張りをしているから寝ろ!朝になったら起こしてやる!」
「襲ったりしないでよね!ここから先に入って来たら本当に殺すわよ!」
「誰が襲うか!バカが!」
こうして、この日を終える2人であった。
【この世界の料理】
初代勇者により、現代の料理を材料こそ違うが正確に再現されている。米を好む地域もあり、パンなどを好む地域もある。調味料も、試行錯誤を重ね現代と同じものを使っている。だが、箸だけは扱いが難しく一部の地域でしか使っていない。電気の概念は無く、火を起こす時は魔法を使ったり、火の魔石に魔力を込めると魔石自体が温まり、火を起こしたり水を温めることが可能。




