勇者はクランの方針を決める
ティファの発言で慌てるアギトとエリス。だがそんな中、ただ1人だけ冷静な人物が居た。そう、メイド服を着た女性だ。
「エリス様、アギト様、何をそんなに慌てておられるのですか?」
するとエリスが勢いよく言う。
「ユイ、慌てるに決まってるでしょ!?ティファは、あなたと違ってSランクの冒険者じゃないのよ!」
メイド服を着た彼女の名前はユイ。クラン、天使の宴に所属するSランクの冒険者。
職業は、戦乙女。両手斧を使う。剣聖と同じでこの世界で1人しか存在しない職業だ。その強さはエリスとも引けを取らない。
「存じております。ですが、ティファ様はいつまでもここに居ては成長出来ません。皆が、ティファ様を甘やかしティファ様の可能性を潰しています。ですから、これを機に旅をさせては?と私は思います。」
「ユイちゃん、ありがとう。」
「いえ、私は大好きなティファ様の今後を考えて言ってるに過ぎません。お礼は不要です。」
「でも、私はユイちゃんにお礼が言いたいの!本当にありがとうねっ!」
「くっ!もったいなきお言葉。」
するとここでアギトが、
「でもさぁ、俺と一緒に居たらティファが危険な目に遭う事間違いないと思うんだが。本当にそれでいいのか?」
「良くはありません。ですから、今ここでアギト様とティファ様の実力を計らせてもらいます。丁度、ネロも居ますし。」
「ネロ?」
「はい、我が天使の宴に籍を置くSランク冒険者のネクロマンサーです。」
「なぁ、エリス。この大陸にはSランク冒険者って何人いるんだ?そのうち、天使の宴にはSランク冒険者は何人いる?」
「えーっと、私が把握してる数はこの大陸には200名ほどかしら。そのうち天使の宴に居るSランク冒険者の数は20名ほどよ!」
「天使の宴は500名ほどのクランで、そのうち20名もSランク冒険者が居るのか。すごいな。」
「普通じゃないかしら?大きなクランになるとそれぐらいよ?」
「他にも天使の宴と同じ規模のクランがあるのか?」
「あるに決まってるじゃない!って、そっかアギトは転生者だから知らなくて当然よね!いいわ、この際だから教えておいてあげる!」
「お、おう!頼む!」
「いい!?この大陸には、大きく分けて5つの大都市と呼ばれる街があるの、まず、大陸の最も西にある大都市がここヴィータ。そして、南の山岳地帯にある大都市ロックフォール東の森林地帯にある大都市デイズ。北の海岸にある大都市ウィンディーネ。そして中央に位置するこの大陸で最も大きな大都市ライザよ!」
「なるほど。それで、その各大都市にはやはり大型クランが存在するのか?」
「えぇ。剣聖率いるヴィータ。斧聖率いるロックフォール。弓聖率いるデイズ。槍聖率いるウィンディーネ。賢者率いるライザ。って所ね。中央ライザの最大クラン、ジャッジメント(審判を下す)には1000名ぐらい居るらしいわよ。」
「はぁ?1000名!?」
「そう、1000名。まぁ、ジャッジメントには喧嘩を売らない事をお勧めするわ!」
「アギトさん!なら私達、ブレイブハートはまずその倍の、2000名を目指しましょう!」
「アホか!無理に決まってるだろ!」
「あら?意外といけるんじゃない?なんてたって、勇者が居るクランよ?みんなが入りたがるに決まってるじゃない。」
「あのな、木製の武器しか装備できなくて、尚且つ強さが凡人並みの勇者だぞ?誰がそんなクランに入りたがる。」
「まずは、低ランクでもいいから人数を集めてたら?そして、名が売れたらもしかしたらAランク冒険者やSランク冒険者も入ってくれるかもね。」
「簡単に言うなよ。まぁ、人を集めるってのは賛成だけど。」
「低ランクの冒険者でも、いずれはSランク冒険者まで行ける子の居るだろうし、もしかしたらダイヤモンドの原石みたくすごい才能の持ち主が居るかもよ?それこそ、この世界で1人しかいない職業の子とか!」
「エリス様やユイさんのようなすごい人ってそうは居ない気が・・・・・・。」
「そんなのわからないわよ?私達が把握しきれてないだけであって、ゴロゴロ居るかもしれないわ。」
「まぁ、出会えたらラッキーって事にしておくか。」
「よーし!じゃ私達、ブレイブハートはその方針で行きましょう!」
「しょうがない、当面はそれでいこう!」
「では、話しも一区切りついたみたいなので、2人の実力を測りに行きましょう。」
「あ!そうだった!そーいう話だったな。」
「えぇ、では訓練場までお連れ致します。」
「よろしくお願いします。」
アギト、ティファ、エリス、ユイはクランハウスの敷地内にある訓練場へと向かった。
訓練場には、色々なものがあり、弓の訓練を行うときに使う的や、魔法の訓練で使う藁で出来た人型の的など様々ある。
そして、待つこと5分。今回、アギト達の実力を見るために呼ばれたネクロマンサーのネロと言う男性が現れた。
その男は、見るからに負のオーラが漂っており、何日寝てないのかって位の大きさのくまがある。
「あ!エリス様。おはようございます。」
「おはよう、ネロ!今日はゆっくり眠れた?」
「はい。ばっちりです。5分ぐらい眠れました。」
「そう、それは良かったわね!」
「はい。」
「ちょっと待てーい!5分でゆっくり?それって寝てないのと同じじゃねーか!」
「アギト様!ネロは、ネクロマンサーになってから長時間寝ることが出来なくなったの。いや、寝なくて平気になったっていっ方が良いかしら。」
「何それ。怖い。」
「まぁ、その辺は気にしないであげて。これでも今日は調子がいいみたいだから。」
「はぁ、わかりました。」
「あなたが噂の勇者様ですね?初めてお目にかかります。Sランク冒険者でネクロマンサーのネロです。宜しくお願い致します。」
「え!?あぁ、こちらこそ。勇者で転生者のアギトです。勇者でも、凡人並みの強さしか持ち合わせてないけどよろしくお願いします。」
「これはこれは、ご丁寧に。どうぞ気楽にしてください。私のが身分的なものは低いので。」
「いやいや、そーいうわけにはいきませんよ!この世界での先輩ですし、冒険者ランクも全然上ですし。」
「エリス様、アギト様はとてもいい人なのですね。」
「えぇ、そうね。殺されそうなティファも救ってくれた命の恩人よ!」
「本当ですか!?ティファ嬢の命の恩人。尚更頭が上がらない。」
「いやいや、そーいうのいいですから、もっとフランクにしてください。その方のが俺も気が楽ですし。」
「わかりました。アギト様がそこまで言うなら。」
「はい、普通にしてください。」
「では、さっそく始めましょう。準備はいいですか?」
「はい、いつでも!」
「では、いきます!」
【人物紹介6】
名前→ユイ 職業→戦乙女 冒険者ランク→S アギトとの出会い→天使の宴の屋敷で初めて会う 武器→神殺しの斧(両手斧) 年齢→20歳 性別→女 身長→175cm 体重→72kg 髪→黒でロング スキル→乙女の化身 クラン→天使の宴 その他→この世界でただ1人がなれる戦乙女。その斧1本で、神をも殺せると言われるレリック武器、神殺しの斧を所有する。その強さは剣聖エリスと引けを取らない。【鬼神のメイド】という2つ名を持っている。いつもエリスの隣にいてエリスの右腕。いつも冷静でエリスとティファを慕う。密かに少しだけアギトに対して好意を寄せている。




