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CASE:014-1 コチノワ

東京怪異捜査録 − 警視庁特対室CASE:XXX −

1-1. 境界


 夜に深い闇の帳が溶け出すように降りる。東京都心、駅からさほど離れていない住宅街。そこには古い神社がぽつねんと残り、境内と隣接した小さな公園があった。

 時刻は深夜二時。もう日付が変わって随分経つというのに、晩夏の空気は蒸し暑いままだ。あたりには誰の気配もない。住宅の窓ガラスはどれも硬く閉じられ、防犯灯だけが白く鈍い光を投げている。アスファルトの熱気がまだ消えず、そこかしこでエアコンの室外機の僅かな音と夜虫の声だけが小さく響いていた。

 鉄棒。使い込まれ錆が浮いたバーが三本。昼間は子供たちがぶら下がり、ぐるぐると回転し、叫び声をあげる。けれど今は誰もいない。鉄の棒だけが夜露に濡れている。


 そこに、ひとりの男がやってきた。緩めたネクタイ。額には汗。左手にスマートフォンを持ち、右手で肩がけのバッグの中身を確かめながら、公園の奥へと足を踏み入れる。虫の声が近づき、砂利の感触が靴底越しに伝わる。男は歩きながら周囲をちらちら見やるが、さしたる警戒心もない。目的は決まっているからだ。

 鉄棒の前で立ち止まり、スマートフォンの画面をタップする。街灯の下、男の顔が青白く照らし出される。疲労と眠気、わずかな期待と面倒臭さ。その全部を薄くまぶしたような表情。アプリを起動し、鉄棒に端末をかざす。数秒の沈黙。画面には何も現れない。ただ黒いレンズ越しに、鉄の輪郭だけが切り取られる。

 小さな溜息。男はバッグから別の端末を取り出し、再び鉄棒に近づく。男は目を凝らす。スマートフォンの先、鉄棒の真ん中──そこで、不意に浮かび上がるオブジェクト。色とりどりのデータが、夜の空気の上にふっと立ち現れる。

「よしよし、おっけ」

 男は小さく呟き、肩の力を抜く。


 仕事だ。今夜はこのARアプリのテスト、夜間に条件の合う対象にモデルが正しく認識されるか、その一点のチェック。男は端末の画面を指でなぞり、オブジェクトの座標を記録する。画面の中で、オブジェクトが静かに佇んでいる。

 そのとき。画面が、一瞬だけざらりと波打った。色とりどりの輪郭が歪み、ノイズが走る。電子音。息を潜めるような沈黙。しかし、すぐに元の画面が戻る。オブジェクトは何事もなかったかのように、鉄棒の上に鎮座している。

 男は一瞬眉をひそめたが、「まあ、まだベータ版だしな……」と、さして気にせず再び画面を操作する。夜の公園には、変わらず虫の声と、遠くの道路の低い走行音が溶けている。

 男の視線は画面のオブジェクトに向けられている。しかし、その背後──神社の森の闇、誰もいないはずの境内の奥から、ふと微かな気配が生まれた。それは音でも光でもなく、ただ世界の一角が、わずかに『目覚めた』ことを知らせる震えだった。


 男はそれに気づかない。虫の声、鉄の匂い、夜の湿気。すべてが日常の延長として溶け合う。だが、夜の境界では確かに「何か」が、静かに、自分の輪郭を世界に刻みつつあった。

 オブジェクトは佇み続ける。画面の中でだけ、現実のどこにも属さない。それを記録し終えた男は満足げに端末を閉じ、「しかしまだまだ蒸し暑いな……」と独りごちながら再び公園の出口へと歩き出す。遠ざかる背中に、夜の公園だけがしんしんと静けさを増していく。

 鉄棒の上には、男の去ったあとも何かの気配が、うっすらと残されていた。誰の目にも映らず、けれど、すでにこの街のどこかに小さなほころびが生まれていた。



1-2. 目覚め


 ……。


 最初は、どこか遠くで誰かがさざ波を立てたような、そんな気配だった。

 自分というものの輪郭はまだ、はっきりしない。息を潜めて横たわる夜の都市。その端っこ、湿った空気と静けさの底に、微かに何かが混じる。まるで水底で光が揺れるように、世界の端に触れられる感覚。

 ほんの一瞬、視線がこちらに流れ込む。その時、柔らかな光が落ちる。鉄の匂いと、電子の微かなざわめき。


 見られている?

 それとも、ただ観測された?

 わからない。

 でも確かにそれは、その眼差しの中でかすかに膨らんでいく。それはまだ名もなく、形もなく、ただ夜の中に溶けていた気配の塊だった。

 音も、熱もない。でも──『存在する』ことだけが、ゆっくりと流れ込みはじめる。世界の一部に溶け込んでいたはずの何かが、じわじわと、境目を得ていく。誰かの視線。それはまるで、くすぐったいような、ひんやりとした水滴のような感覚だった。


(もうそんな時期……いや、早くない?)

 記憶の断片。どこか懐かしい気配がある。

 夜気、湿った土のにおい。鉄の棒。遠くで猫が啼いている。

(……まあ、いいか)

 輪郭はまだ曖昧で、重力も、時間の流れもはっきりしない。ただ、見られた──そのことだけが、この夜に新しい痕跡を刻んだ。

 自分の内と外の区別が、少しだけ分かるようになる。

 世界のどこかにわたしが引っかかっている。

 ほんの微かな振動。

 砂の一粒が水面に沈みこむような静かな重み。


(……あれ?)

 気づけば、ほんの僅かな困惑が胸をかすめる。

 何かが間違っている気がする。でも、抗う理由もない。

 世界の方が、この形で再び自分を呼び出してしまったのだろう。

 夜の公園の中、鉄棒の上。誰にも気づかれぬまま、わたしはそこにうっすらと影を落とす。ただ、それだけ。



1-3. 微熱


 夜の湿気がようやく薄れ、街路樹の葉先に朝露がきらめく。東京都内の片隅、神社と公園のあるこの界隈は朝の清冽な空気で満ちていた。しかし、いつもの朝とは何かが違う──。誰もが言葉にできないまま、それぞれの日常に小さな異変を抱え込んでいた。

 最初にそれを感じたのは、ランドセルを背負った小学生たちだった。

「ねえ、なんか甘い匂いしない?」

 公園の入り口で立ち止まり、ひとりの少年が呟いた。他の少年たちは気にも留めもしなかったが、彼だけは朝の空気に漂う見慣れぬ香りに鼻をひくつかせる。

 湿った土と草のにおいの奥に、確かにほんのり漂う──砂糖を焦がしたような、あるいはパン屋の開店前にだけ立ち込めるような、淡い甘さ。

「気のせいだよ、行こうぜ」

 友人の声がする。だが、その少年は納得できずに鉄棒のほうへと歩き出す。


 昨日まで何もなかったはずの鉄棒の中央。

 そこにはうっすらと、薄茶色のシミのようなものが浮かんでいる。指で触れると、べたつきはない。ただ、ほんの少し──甘い香りだけが、指先に残った。

「……ドーナツの匂い?」

「置いてくぞ、遅刻しちゃうぞ」

 少年は慌てて友人のもとへ駆けていく。朝日が公園の遊具を照らし、少年たちはまたわいわいと流行りのゲームの話をしながら学校へと向かう。少年たちの賑やかな声だけが、かすかな甘い匂いと一緒に宙を流れていった。


 通勤ラッシュのバスは、今朝も満員だった。スーツ姿のサラリーマンたちは、誰もがスマートフォンの画面を睨みながら、じっと車内に立ち尽くす。車窓の向こうでは、晩夏の光がビルのガラスを白く照らし出している。

 バスが駅へと向かう途中、ふいに信号が切り替わらなくなった。赤信号のまま、バスは交差点の手前で停車を余儀なくされる。

 「おい、もう五分止まってるぞ……」

 小さな苛立ちが乗客たちの間に広がる。誰かが運転手に詰め寄り、遅延証明の有無を尋ねる。そのやりとりはどこかピリついた空気のなか、妙に湿っぽく響いた。サラリーマンの一人は腕時計を何度も見やりながら、今日の会議の開始時刻を計算していた。

「信号トラブルによる運行遅延が発生しております」

 車内アナウンスによる既にわかりきった状況説明が、乗客たちのため息と共に車内を満たした。


 昼過ぎ、近所の主婦はエコバッグを肩にかけ、急ぎ足で自宅へと向かっていた。駅前のスーパーは特売日。混雑しており、やっとの思いで買い物を終えたばかりだった。

 玄関のドアを開けようとバッグの中の鍵を探した瞬間、バッグの底に入れておいたはずの財布が見当たらないことに気づく。焦った手つきで何度もバッグをまさぐるが、出てくるのは野菜や惣菜、結露に濡れた牛乳バックだけ。

 不意に全身から汗が噴き出す。頭の中でレジのやりとりや帰り道を反芻しながら、どこで落としたのか記憶を辿ろうとするが、はっきりと思い出せない。玄関の向こう、母の帰りを待ちかねる子どもの声が漏れ出ていた。


 駅前のコンビニでは、レジ打ちの店員が謝り続けていた。電子決済の端末が突如ダウンし、ICカードもバーコードも読み取れなくなったのだ。

「大変申し訳ありません、現金でのお支払いのみとなります」

 その言葉に、レジ前の客が小さく舌打ちをする。何度も機械を再起動しようとするが、なぜか通信ランプが赤いままだ。並ぶ客たちの間にも、どこか重たい沈黙が垂れこめていく。

 レジの横に置かれたキャンペーン用の菓子パンだけが、照明を受けて妙においしそうに見えた。


 こうした『小さな不運』は、ある地点から半径1kmの範囲で発生していた。誰もがたまたまと片付けてしまうような、日常の歪み。それは風に混じる甘い匂いのように、はっきりとした原因も、輪郭も持たない。けれど、いつもの朝がどこか遠ざかり、見えない何かが都市の底に沈んでいる。

 子どもたちは気にも留めず遊び、主婦は財布を受け取りに交番まで走り、会社員たちは淡々と歩き出し、コンビニの店員は笑顔を貼りつけてレジを打ち続ける。けれど、朝の空気の中には確かに微熱のような違和感があった。それはすぐには消えず、人々の心にほんの小さな影を残していく。

 甘い香りだけが、気づかぬうちに日常の奥底へと染み込んでいった。



1-4. 拡散


 都会の片隅、どこにでもあるような小さな公園。鉄棒に刺さったそれを最初に写真に撮ったのは、どこにでもいる大学生だった。

『公園の鉄棒にドーナツ刺さってるんだけどww』

 SNS、ツブヤイタッターに投稿された何気ない一枚の写真。鉄棒のバー、その真ん中にあり得ないほど綺麗に嵌まったドーナツが映っている。光沢のある砂糖のコーティング。輪の内側には、微かに影が落ちている。


 その投稿は、じわじわと波紋のように拡がっていく

『マジかよ』『どういう状況?』『誰かのイタズラ?』

 リプ欄にはさまざまな反応が踊る。

『オイドのメープルディップっぽくない?』『食べ物で遊ぶな』『こういうの好き』

 画面の向こうで、日常の隙間に生まれた異物が面白半分に消費されていく。だが、その投稿に呼応するように、別のユーザーが新たな画像を上げた。

『俺も見た。こっちは間違いなくオイドのサン・バ・リングだわ』

 画像には別の公園、違う鉄棒。しかし、やはりバーの真ん中には、同じようにドーナツが嵌まっている。よく見ると、種類も微妙に違う。

『メープル派? サンバ派?』

『どっちにしてもやべぇだろ』

 皮肉や呆れ声、でもどこか愉快そうなざわめき。気づけば『#鉄棒ドーナツ』というハッシュタグが生まれていた。

『次はベーグルで頼む』

『これオイドのステマ?』

 大半は冗談混じりの投稿ばかりだったが、中には『なんか甘い匂いがした』『ちょっと気味悪い』と、笑いの裏に影を落とす声も混ざりはじめる。


 昼下がりのタイムライン、眩しい光と一緒に奇妙な日常があっという間に拡散されていく。デジタルの波が現実のどこかにひそんでいた小さな異物を引っ張り上げ、それをネタとして消費する。

 やがて、鉄棒に刺さったドーナツは奇妙なバカ話として一日を賑わせながらも、都市の底に少しずつ違和感を残し始めていた。



1-5. 違和


 放課後。高架を駆ける電車の窓越しに、傾きかけた陽射しが街を淡く照らしていた。制服の襟元にはまだ昼の暑さがこびりつき、車内はどこか蒸し暑い。南雲(なぐも)美優(みゆ)はロングシートに浅く腰掛け、脚をだらしなく投げ出していた。

 カバンの中からスマートフォンを取り出すとホーム画面を指で弾き、息を吐きながらツブヤイタッターのタイムラインを眺め始める。目につくのは、くだらない写真や悪ノリ、誰かのランチ報告。

「……暇つぶしにもならないな」

 そう思いながらも画面を惰性でスクロールしていると、不意に小さな違和感が引っかかった。

『公園の鉄棒にドーナツ刺さってるんだけどww』

 画像つきの投稿。鉄棒のバーにドーナツが見事に嵌め込まれている。美優は一瞬、鼻で笑った。

「鉄棒ドーナツ? 何これ、バカみたい」


 美優は、投稿された写真をじっと見つめた。最初は本当にどうでもよかった。しかし鉄棒の背景──苔むした特徴的なブロック塀と、奥に見切れる鳥居。どこかで見た記憶がじわじわ浮かび上がってくる。

「……あれ?」

 ふいに胸の奥に、冷たいものが落ちた。一週間ほど前、別件の調査で訪れた神社の公園。現場検証の合間に、鉄棒で遊ぶ子どもたちの声が響いていた場所。写真に写っていたのは、どう見てもその鉄棒だった。

 偶然にしては引っかかる。だが、バズっている話題を追うのは、正直面倒くさい。

(ま、いっか)

 心ではそう思いつつも、手は勝手にスマートフォンを操作していた。


 特対室の内部システム──美優は慣れた手つきで端子にドングルを挿し、専用アプリを立ち上げる。そこには、葦名(あしな)透真(とうま)久世(くぜ)灯里(あかり)、そのほか捜査員の先人たちが集積した調査ログがびっしりと残されている。事件の記録、現場での異常値、結界や霊的反応の波形──

 少し前まで、こんなものには興味もなかった。でも今は、たとえ渋々でもこうした違和感に無関心でいられなくなっている自分がいる。

 美優は、現場周辺での異常反応を検索しはじめた。位置情報を入力し、時系列でソート。画面に現れたのは、過去に記録された微弱な結界波形のゆらぎだった。数値自体はごくわずか──だが、通常の都市生活の中でこれだけ明確な揺れが検出されるのは、決してありふれたことではない。

「……微妙」

 つぶやきながら、車窓に目をやる。ビルの谷間に、夕焼けがうっすらと沈み込んでいく。普通なら『ただのイタズラ』で済むはずだ。

 でも、何かが違う。美優の心にだけ、じっとりとした湿気のような嫌な予感が広がっていく。彼女はスマートフォンを閉じ、重いリュックを肩にかけ直した。

「……どうせまた厄介ごとでしょ」

 そうつぶやく声には半分の呆れ、半分の覚悟が滲んでいた。


 電車が停車し、雑踏に美優の姿が溶けていく。彼女の背中には、誰よりも鋭く異常を嗅ぎ取る直感が、確かに根付いていた。



1-6. 侵入


 特対室のオフィスでは、時計の針とエアコンの送風音だけが静かに時間を刻んでいた。美優はデスクに肘をつき、報告書の山を一枚一枚めくっていた。

 指先には微かな紙のざらつきと、インクの匂い。集中力の損耗を感じ、「これは大好きなオイド分を摂取しなければ」と息抜きのつもりでオイスタードーナツのメープルディップ──SNSの写真を眺めていたら、どうしても食べたくなり買ってきた──を箱から一つ取り出し、書類の端にそっと寄せる。

「……あーもう、終わらない」

 独り言がぼそりと漏れる。他の面々はそれぞれの仕事に散っていて、室内は一層静かだ。微かに鳴る蛍光灯のジジジというノイズとファイルをめくる音だけが耳の奥に残る。


 その時、不意に気配が変わった。──いや、気配というより空間そのものの濃度が微かに歪んだ。美優が紙ナプキンに乗ったドーナツに指を伸ばした瞬間、ぬるりと視界の端で何かが動いた。

「……っ!」

 グレーのデスクの端に、いつの間にかそれがいる。牛の身体に、無表情でつるりとした能面のような人間の顔──その顔は、年老いた僧侶にも、赤子にも見える。目鼻立ちはあるのに、どこにも感情の温度がない。手のひらサイズの小さな体。毛は艶やかで、首のあたりだけ少しふくれている。

 美優は、全身の毛が逆立つ感覚に襲われた。

(出た……SSRキモ牛)


 オフィスには大抵、室長の小動物の式神が居るが、この牛の式神──美優が内心、SSRキモ牛と呼んでいる──はその中でも極稀に現れる。式神は机の上のドーナツに興味を示し、短い前脚で器用に転がした。次の瞬間、牛のくせに人間のように口を開き、もぐもぐと食べ始める。その食べ方がまた妙に雑然としていて、美優は見ているだけで背筋が寒くなるのを感じた。

「……ちょっと、それ、私の……」

 声に出そうとするが、相手は式神だ。言ってもたいした意味はないだろう。美優が言葉を引っ込めると、式神は口をもごもご動かしたまま無表情のまま美優を見上げた。そして、低く、澄みきった──悟りきった高僧のような声が室内にしみ込む。

「信仰は形骸化し、形を変え生まれ直すのである」

 美優はしばし固まった。

「……は?」

 思わず素っ頓狂な声が出た。


 式神は美優の様子には構わず、ドーナツを最後まで平らげる。もぐもぐ。飲み込む様子もないのに、確かに減っていく。紙ナプキンの上には、丸い油染みだけが残された。

「何それ。てか、喋れるんだ……」

 式神は、美優の問いかけを受け流すように、一度だけ短く鼻を鳴らした。表情は変わらない。牛の体のどこにも緊張感がなく、ただ『そこに在る』だけ。まるで美術館の展示品のような静けさ。美優は、そっと椅子を引き、距離を取った。

「……やっぱり近づきたくない」

 だが、胸の奥には、式神の言葉が妙な重さで残っていた。意味があるのか、ただの思いつきなのかすらわからない。けれどそれは確かに、この街の空気の中にじっとりと染み込んでいく何かの予兆にも思えた。


 蛍光灯のノイズが一段高くなる。式神は何もなかったように机からぴょんと降り、棚の陰へと消えていく。残されたのは紙ナプキンの油染みと、妙なざわめきだけ。美優は小さくため息をついた。



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