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CASE:010 マナババ 報告書

東京怪異捜査録 − 警視庁特対室CASE:XXX -

警視庁 特異事案対策室

特異事案報告書

───


【案件番号】

T-2012-010


【事案名称】

マナババ事案(寺田三枝子関連)


【分類】

妖怪型五類 / 憑依型五類


【発生日】

2012年6月5日(※初確認日)


【発生地点】

東京都練馬区内 某地下道周辺(都立S井高校近隣)


───


1.概要


本事案は、「傘を差したまま地下道を通行する」という特定の行動によって発生したと考えられる怪異現象である。

発生後、当該傘の内側に老婆の姿が恒常的に出現し、視認者に強い不快感と威圧を与える。

この老婆は後に「寺田三枝子(72歳・故人)」と同定された。

寺田は生前、地域において非常に厳格なマナー指導を行っていた人物であり、その過剰な礼儀感が死後も形を変えて残留、特異事案化したと推察される。

なお、対象は攻撃的な行動を取らず、ただ凝視してくるのみだったが、精神的な圧迫感はかなり大きかった。


───

2.初動報告


2012年6月5日、当室所属捜査官 南雲美優が下校時に、自身の所有物である傘の内側に老婆と思われる人物の姿が張り付いているという異常を確認。

当初は視覚的錯覚と判断しようとしたが、複数回の確認でも姿が変化しなかったため、特異事案の可能性を考慮し、傘を保持したまま帰室。

同日、室内にて他捜査官(葦名透真・久世灯里)による視認も確認され、未確認の怪異であると認定。

即日、調査対象として保管・記録を開始。


───


3.発生条件


以下の三点が同時に成立したことで、事案が発現したと考えられる。


Ⅰ.地下道(寺田が生前最後に注意を行った場所)を

Ⅱ.ビニール傘を差したまま(マナー違反とされる行為)

Ⅲ.スイカ柄の傘を使用して(生前叱責対象と同一の柄)


この条件に合致する人物が現れたことで、過去の叱責が再現され具現化したものと思われる。

なお、対象の憑依は当初の傘以外にも移る傾向を示し、単なる物品依存ではないことが判明した。


───


4.特性


対象は「物理的接触を伴わず、傘内部に視覚的に存在する」。

他者にも視認可能であるが、映像等の記録手段には写らない(※カメラ撮影試行済)。

害意ある行動は確認されていないが、長期の精神干渉により当事者に変化が見られる可能性あり。

過剰な正しさへの執着が反応条件であり、ある種のマナー強制型妖怪と見なせる。

一定以上の礼儀的動作を見せた際、対象の反応に変化(※詳細は下記5参照)。


───


5.対処方法


・第一段階:当事者(南雲)が、対象の礼儀的基準を上回る行動を実施

地下道通行時に、小笠原流を参考とした高礼儀動作を実施(轟雷蔵捜査官指導)。これにより、対象が「自分より礼儀正しい存在」と認識し、憑依状態が解除されたと判断される。


・第二段階:社会的形式による執着の吸収

 寺田の生前マナーと一致する内容の「注意喚起張り紙」を各所に設置(例:「傘を閉じて通行」等)。社会的にその正しさが受け入れられたという形式を提示することで、拡散・再発のリスクを低減させた。


───


6.現在の状況


対象は現在視認されておらず、傘への憑依も確認されていない。また、形式的注意書き掲出以降の発生確認もなく、事案は沈静化したとみられる。ただし、執着の本質は「自己の正しさの受容」であり、同様の価値観が再び特定条件で刺激された場合、類似の事案が再発する可能性を排除できない。


なお、対処の過程において、当室捜査官 葦名透真の行動様式にごくわずかな影響が見られたが、現時点では深刻な感染等の兆候はないと考えられる(※念のため、経過観察中)。


───

【報告書作成】

特異事案対策室 捜査官 南雲 美優


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