表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/145

CASE:008 青い靴の人 報告書

東京怪異捜査録 − 警視庁特対室CASE:XXX -

警視庁 特異事案対策室

特異事案報告書

───


【案件番号】

T-2013-27


【事案名称】

青い靴の人


【分類】

認識改変型三類 / 精神干渉型四類


【発生日】

2013年8月26日(最初の確認事例)


【発生地点】

東京都中野区 中央線沿線(中野駅周辺)


───


1.概要


「青い靴の人」は、鉄道車両内で目撃される異常存在であり、遭遇者の無意識に干渉する特性を持つ。対象者は、電車内で「青い靴を履いた人物」と目を合わせた後、その夜、夢の中で『どうでした?』と問われる。問いに対する適切な返答をできなかった場合、翌朝、対象者は青い靴を履いた状態で目覚める。以降、対象者は自身の「選択」に関する認識障害を発症し、日常生活における些細な決断に違和感を抱くようになる。


本事案の発生源は、2013年8月に発生した交通事故の生存者 田嶋圭介(当時42歳)に起因すると推測される。事故により田嶋は妻子を喪失しており、「自身の選択は正しかったのか?」という強い迷いが、本事案の要因となった可能性が高い。「青い靴の人」は、人生の選択に迷いを持つ者のみに干渉する傾向があり、選択の確信が持てない者ほど影響を受けやすい。


───


2.初動報告


特異事案対策室に「青い靴を履いた人物に遭遇した者が、その後、自身の選択に関する認識障害を訴える」という報告が複数件寄せられた。本事案は2013年8月より、東京都内の鉄道路線(特に中央線沿線)で発生していた可能性があり、都市伝説の形で拡散していた。2013年12月、特対室は都内の駅を中心に現地調査を実施。同月下旬、捜査官 蜘手創次郎、南雲美優が電車内にて「青い靴の人」との直接接触を確認し、調査を本格化。


───


3.発生条件


本事案の影響を受ける条件は以下の通り。

Ⅰ.東京都内の鉄道車両(主に中央線沿線)において、「青い靴を履いた人物」と目を合わせる。

Ⅱ.その夜、夢の中で『どうでした?』と問いかけを受ける。

Ⅲ.明確な返答ができなかった場合、翌朝「青い靴を履いた状態」で目覚める。

Ⅳ.以降、対象者の「選択」に関する認識に異常が発生し、日常の些細な決断に違和感を覚えるようになる。

Ⅴ.進行すると、自身の選択や記憶に対する不確実性が増し、自己同一性の喪失へと至る危険性があった。


───


4.特性


視認特性:本事案の対象は、特定の条件を満たした者にのみ認識される可能性が高い。

夢への干渉:対象者は、特定の夢を強制的に見せられる。

選択認識の改変:影響を受けた者は、自身の「選択」に対する記憶が曖昧になり、周囲の現実が乖離していく感覚を覚える。


───


5.対処方法


予防策

Ⅰ.鉄道車両内で不審な「青い靴の人物」を視界に捉えた場合、即座に目を逸らし、意識的に関心を向けないこと。

Ⅱ.「どうでした?」と問われた場合、明確な意志を持った返答を試みる(※有効な回答は未確定)。


解除策

Ⅰ.影響を受けた者が、自身の「選択」に対する確信を持つことで、事象が収束する可能性が高い。

Ⅱ.本事案の発生源とされる田嶋圭介に対し、選択の肯定を促すことで、影響範囲が縮小することを確認。



6.現在の状況


2014年1月現在、「青い靴の人」の目撃情報は大幅に減少しており、同種の怪異の発生は確認されていない。また、過去に影響を受けた者に対する追跡調査の結果、認識の乖離が自然消滅していることが確認された。発生源である田嶋圭介についても、特対室の非公式な経過観察の結果、大きな精神的変調は見られず、過去の選択に対する受容が進んでいると推測される。


したがって、本事案は完全収束と判断する。ただし、類似の現象が再発する可能性はゼロではないため、今後も中央線沿線における認識改変型事案の監視を継続する。


───


【報告書作成】

警視庁 特異事案対策室 捜査官 蜘手創次郎


Xの作品アカウントでは告知の他、怪異の正体のヒントや140字怪異録等も発信しています。ご気軽にフォロー、交流をどうぞ。

https://x.com/natsurou3

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ