CASE:008 青い靴の人 報告書
東京怪異捜査録 − 警視庁特対室CASE:XXX -
警視庁 特異事案対策室
特異事案報告書
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【案件番号】
T-2013-27
【事案名称】
青い靴の人
【分類】
認識改変型三類 / 精神干渉型四類
【発生日】
2013年8月26日(最初の確認事例)
【発生地点】
東京都中野区 中央線沿線(中野駅周辺)
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1.概要
「青い靴の人」は、鉄道車両内で目撃される異常存在であり、遭遇者の無意識に干渉する特性を持つ。対象者は、電車内で「青い靴を履いた人物」と目を合わせた後、その夜、夢の中で『どうでした?』と問われる。問いに対する適切な返答をできなかった場合、翌朝、対象者は青い靴を履いた状態で目覚める。以降、対象者は自身の「選択」に関する認識障害を発症し、日常生活における些細な決断に違和感を抱くようになる。
本事案の発生源は、2013年8月に発生した交通事故の生存者 田嶋圭介(当時42歳)に起因すると推測される。事故により田嶋は妻子を喪失しており、「自身の選択は正しかったのか?」という強い迷いが、本事案の要因となった可能性が高い。「青い靴の人」は、人生の選択に迷いを持つ者のみに干渉する傾向があり、選択の確信が持てない者ほど影響を受けやすい。
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2.初動報告
特異事案対策室に「青い靴を履いた人物に遭遇した者が、その後、自身の選択に関する認識障害を訴える」という報告が複数件寄せられた。本事案は2013年8月より、東京都内の鉄道路線(特に中央線沿線)で発生していた可能性があり、都市伝説の形で拡散していた。2013年12月、特対室は都内の駅を中心に現地調査を実施。同月下旬、捜査官 蜘手創次郎、南雲美優が電車内にて「青い靴の人」との直接接触を確認し、調査を本格化。
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3.発生条件
本事案の影響を受ける条件は以下の通り。
Ⅰ.東京都内の鉄道車両(主に中央線沿線)において、「青い靴を履いた人物」と目を合わせる。
Ⅱ.その夜、夢の中で『どうでした?』と問いかけを受ける。
Ⅲ.明確な返答ができなかった場合、翌朝「青い靴を履いた状態」で目覚める。
Ⅳ.以降、対象者の「選択」に関する認識に異常が発生し、日常の些細な決断に違和感を覚えるようになる。
Ⅴ.進行すると、自身の選択や記憶に対する不確実性が増し、自己同一性の喪失へと至る危険性があった。
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4.特性
視認特性:本事案の対象は、特定の条件を満たした者にのみ認識される可能性が高い。
夢への干渉:対象者は、特定の夢を強制的に見せられる。
選択認識の改変:影響を受けた者は、自身の「選択」に対する記憶が曖昧になり、周囲の現実が乖離していく感覚を覚える。
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5.対処方法
予防策
Ⅰ.鉄道車両内で不審な「青い靴の人物」を視界に捉えた場合、即座に目を逸らし、意識的に関心を向けないこと。
Ⅱ.「どうでした?」と問われた場合、明確な意志を持った返答を試みる(※有効な回答は未確定)。
解除策
Ⅰ.影響を受けた者が、自身の「選択」に対する確信を持つことで、事象が収束する可能性が高い。
Ⅱ.本事案の発生源とされる田嶋圭介に対し、選択の肯定を促すことで、影響範囲が縮小することを確認。
6.現在の状況
2014年1月現在、「青い靴の人」の目撃情報は大幅に減少しており、同種の怪異の発生は確認されていない。また、過去に影響を受けた者に対する追跡調査の結果、認識の乖離が自然消滅していることが確認された。発生源である田嶋圭介についても、特対室の非公式な経過観察の結果、大きな精神的変調は見られず、過去の選択に対する受容が進んでいると推測される。
したがって、本事案は完全収束と判断する。ただし、類似の現象が再発する可能性はゼロではないため、今後も中央線沿線における認識改変型事案の監視を継続する。
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【報告書作成】
警視庁 特異事案対策室 捜査官 蜘手創次郎
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