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CASE:006 赤マント 報告書

東京怪異捜査録 − 警視庁特対室CASE:XXX -

警視庁 特異事案対策室

特異事案報告書

───


【案件番号】

T-2013-04


【事案名称】

「赤マント事案」


【分類】

霊的存在型三類


【発生日】

2013年3月16日


【発生地点】

東京都新宿区西新宿五丁目 / 東京都品川区東五反田二丁目 / 東京都大田区東雪谷三丁目(廃屋)


───


1.概要


本事案は、都市伝説「赤マント」に類似した事象を伴い、特定の人物が「赤いマントか、青いマントか」との問いかけを受けた後に襲撃されるものである。当室の捜査により、本事案は以下の二種の存在によって構成されていることが判明した。


Ⅰ.「赤マント」

事件現場に出現する赤いマントを纏った霊的存在。

直接的な加害行動は確認されず、むしろ対象に対し警告を発する意図が示唆される。

過去の「青ゲット連続殺人事件」の被害者の霊的残滓である可能性が高い。


Ⅱ.「青ゲット」

赤マントの問いかけ後に顕現する異形の存在。

体表は青い布で覆われており、身体の形状を自在に変化させる能力を有する。

直接的な物理攻撃のみならず、通過した空間に「断裂」を残す特性を持つ。

都市伝説「赤マント」は、元来「青ゲット」に関する事件が変容したものである可能性が高い。


捜査の結果、本事案は過去に発生した「青ゲットの殺人事件」の記録(新聞記事)が「核」となり、都市伝説として再構成されたものであると判断された。また、「赤マント」と「青ゲット」は異なる性質を持ち、本質的には「赤マント」は襲撃者ではなく、「青ゲット」の出現を警告する存在であると結論付けられる。


───


2.初動報告


本件に関連する先行事案として、以下の被害者が確認されている。


Ⅰ.佐伯慎一(42歳・飲食業経営者):3月14日未明、品川区大井三丁目の路地裏にて襲撃され、遺体で発見される。死因は絞殺とされるが、顔面に血色が一切なく、全身の血液が極端に薄くなる異常が認められた。また、首部に外部圧迫の明確な痕跡はなく、体内から酸素が強制的に奪われた可能性が示唆される。


Ⅱ.田中啓太(35歳・IT企業勤務):3月11日、港区芝五丁目のビジネス街において襲撃を受け、喉部を裂傷。重傷を負う。


Ⅲ.坂本義則(52歳・金融業):3月12日未明、新宿区西新宿四丁目の住宅街にて襲撃され、喉部を裂傷し、意識不明の重体となる。


本事案の発生状況、および都市伝説との類似性を考慮し、当室は捜査官である蜘手創次郎(恩寵「霊糸」)、轟雷蔵(恩寵「雷獄」)、葦名透真(恩寵「透視」)の3名を中心とし、速やかに調査を開始した。


2013年3月16日未明、東京都新宿区西新宿五丁目において、会社員三原俊哉(30歳)が帰宅途中に何者かに「赤いマントか、青いマントか」と問いかけられた後、襲撃を受ける事案が発生。同日、東京都品川区東五反田二丁目においても、フリーランスデザイナー大田瑞希(27歳)が同様の襲撃を受けた。両名は轟雷蔵、蜘手創次郎、葦名透真により保護された。


───


3.発生条件


本事案の発生には、以下の要因が関与していると考えられる。


Ⅰ.対象者の血統的要因

被害者は全員、過去の「青ゲットの殺人事件」の被害者またはその関係者の子孫であった。

福井県出身者の血統に関連する可能性が高い。


Ⅱ.特定の環境条件

夜間の単独行動中に限定して事案が発生。

都市伝説として「赤マント」の話題が再燃したことが、怪異の活性化を促した可能性がある。

事件の「核」となる新聞記事の存在が、怪異の顕現を助長していた。


───


4.怪異の特性


「赤マント」

敵対的行動は確認されていない。

「赤いマントか、青いマントか」との問いかけは、対象者に対する警告として機能する可能性がある。


「青ゲット」

物理攻撃を回避するため、身体の形状を自在に変化させる能力を有する。

腕を振る動作の軌道に「空間の断裂」を残す特性を持つ。

交戦中に於いては未確認であったが、何らかの方法で酸素を奪う可能性が考えられる。空間の断裂に関連すると思われる。


───


5.対処方法


Ⅰ.「赤マント」に遭遇した場合

問いかけが完了する前にその場を離脱することで、「青ゲット」の顕現を回避できる可能性が高い。


Ⅱ.「青ゲット」への対応

霊糸を用いた動作の封じ込め、および雷撃を用いた「核」への直接攻撃が有効であった。

戦闘後、「核」となった新聞記事を破壊することで怪異の活動を停止させた。


Ⅲ.「核」の処理

新聞記事が怪異の情報を保持する媒体として機能していたため、完全に焼却、もしくは封印を実施。

当事案においては雷撃により焼却されたが、封印を行う際は霊糸・符等、精神干渉の特性を持つものによる拘束が有効と判断される。核を拘束し浄化処理を施した後、指定の収容庫に隔離。

封印処理が遅れた場合、怪異の影響が外部に及び都市伝説の変容が進行する可能性があるため、速やかな対応が必要である。


───


6.現在の状況


「青ゲット」は、怪異の核(新聞記事)の破壊により消滅。

「赤マント」は、「青ゲット」の消滅後に自然消滅した。

ただし、都市伝説としての情報が残存しているため、今後の再発リスクは否定できない。

掲示板やSNS上で「赤マントの目撃情報」についての投稿を検知し、必要に応じて情報操作を実施。

当室が運営する「Tokyo Horror Hunter」のYouViewチャンネルにおいて「検証動画」として赤マントのフェイク映像を配信し、真偽不明の噂として拡散を図ることで、都市伝説としての矮小化を図る。

事案に関する記録、および関係者の証言については、公安経由で情報統制を実施。


──


【参考】「青ゲットの殺人事件」

発生場所:福井県坂井郡三国町(現・坂井市)

発生日時:1906年(明治39年)2月12日未明

概要:不審な青い外套の男による3名の殺害事件。犯人は逮捕されず、事件は未解決のまま風化した。詳細は別紙参照。

霊糸解析により「青ゲットの殺人事件」と本事案の怪異に関連がある可能性が示唆される。


───


【報告書作成】

警視庁 特異事案対策室

捜査官 葦名 透真

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