CASE:005 ひとりかくれんぼ 報告書
東京怪異捜査録 − 警視庁特対室CASE:XXX -
警視庁 特異事案対策室
特異事案報告書
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【案件番号】
T-2013-23
【事案名称】
吉祥寺市異常霊障事案(通称:「ひとりかくれんぼ事件」)
【分類】
- 宗教儀式型三類 / 霊障型二類
【発生日】
2013年10月23日
【発生地点】
・東京都武蔵野市吉祥寺北町 三宅悠人宅
・東京都八王子市上川小学校(廃校)
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1.概要
本事案は、都市伝説として広まっている「ひとりかくれんぼ」を起点として発生した異常霊障である。被害者・三宅悠人は、従来の「ひとりかくれんぼ」の儀式手順を一部改変し、特定の霊的実体を召喚・定着させる意図をもって 儀式を実施。その結果、未知の霊的存在(以下、鬼と記載)を喚起した。
鬼は、従来のひとりかくれんぼに付随する低級霊障とは異なり、長期間にわたり存在を維持し続ける特性を有し、特定のルールに基づいて行動する傾向が認められる。また、調査の過程で、2013年の発生以前に同種の事案が1983年(30年前)に発生していたことが判明。
1983年に八王子市の上川小学校(当時)において、当時小学生であった片倉翔(当時9歳)が「ひとりかくれんぼ」に類似した降霊儀式を行ったことが確認された。同児童は行方不明となり、数日後に校舎裏で転落死した状態で発見。事故として処理されたが、現在の調査により、儀式が終結しないまま30年にわたり継続していた可能性が高い。
鬼は、1983年の儀式を起点として儀式の終結条件を満たさないまま放置されたため、以降も鬼の役割を維持し続け、新たな儀式が行われるたびにその場へ顕現するという性質を持つに至ったと推察される。
2013年、三宅悠人が新たに儀式を実施したことで鬼が三宅悠人に対する活動を開始し、最終的に三宅悠人の死亡を引き起こした。
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2.初動報告
2013年10月23日、武蔵野市吉祥寺北町にて発生した死亡事件について、当初は自殺として処理される予定であったが、被害者の遺体状況および室内環境に不自然な点が多く、公安部を経由して特異事案対策室へ情報提供がなされた。
本事案の被害者である三宅悠人(享年21歳)は、死亡前に「ひとりかくれんぼ」と称される都市伝説を基にした降霊儀式を実施しており、遺体の状態、および残存する霊的痕跡から、単なる精神的錯乱による自死ではなく、外因的な霊的影響を受けた死亡事案と判断された。
特異事案対策室では、当該事案を「宗教儀式型三類/霊障型二類」に分類し、詳細な調査を開始。調査の結果、本事案は単発的な霊障事例ではなく、過去に発生した類似事案と連鎖する形で発生したことが判明した。
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3.発生条件
Ⅰ.ひとりかくれんぼに類似する降霊術の実施
Ⅱ.鬼が活動を継続するための環境(儀式の実施、執行者の存在)が維持される
※本事案では、過去の事案(1983年)との連鎖が確認されており、鬼が特定の条件下で継続的に存在し続ける特性を持つことが推定される。
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4.特性
Ⅰ.知覚特性
当事案における鬼に於いては物質的知覚を有し、特定の条件下で対象を認識する反面、霊的知覚は劣っていた。
音など外部刺激に反応し転移する能力を持つ。
視線による影響(邪視)を行使し、対象の精神および霊的存在を拘束する能力を持つ。
Ⅱ.行動特性
儀式の執行者を探索し、発見次第捕縛・霊的消耗を誘発。
鬼の存在が定着した場所では、空間が歪み、霊的結界が発生する傾向がある。
Ⅲ.持続性
通常の霊障と異なり、一度発生すると明示的に儀式を終結させない限り消滅せず、連鎖的に活動を継続する。
本事案においては、1983年の発生以降、30年間持続したことが確認された。
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5.対処方法
Ⅰ.儀式の終結条件を満たす
儀式を終結させることが根本的な対処方法となる。
Ⅱ.場の消滅
例外的に鬼の存続を可能にする霊的条件を破壊することで、継続的な顕現を阻止。
本事案では、捜査官・南雲美優が恩寵『分解』を行使し、霊的な場を消去することで鬼の存在条件を破壊。
Ⅲ.霊的影響の遮断
鬼の視線(邪視)に対し、鏡を利用して視線を反射することで一定の防御が可能であることを確認。
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6.現在の状況
本事案に於いて、儀式の終結を強制的に成立させることで、鬼の存在は消滅。
これにより、本件に関連する霊障は解消され、八王子市上川小学校(廃校)に発生していた霊的異常も消失。
現時点では、同類の現象が再発する兆候は認められず、本事案は収束済みと判断する。
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【報告書作成】
警視庁 特異事案対策室
捜査官 葦名透真




