CASE:004 夢の出口 報告書
東京怪異捜査録 − 警視庁特対室CASE:XXX -
警視庁 特異事案対策室
特異事案報告書
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【案件番号】
T-2012-018
【事案名称】
夢の出口
【分類】
- 精神侵食型 三類 / 空間変質型 三類 / 情報伝播型 四類
【発生日】
2012年9月18日
【発生地点】
東京都内(特定地域に限定されず、全国的に影響が拡大)
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1. 初動報告
2012年9月18日、都内某医療機関より、「原因不明の昏睡状態に陥った患者が発生している」との通報を受けた。
当該患者は17歳男性であり、意識不明のまま約48時間経過していたが、脳波・神経系に異常は確認されず、通常の昏睡状態とは異なる症状を示していた。
同時期、インターネット上にて「夢の出口」と呼ばれる都市伝説が急速に拡散。
本件に関連する可能性があるとして、特異事案対策室は同様の症例が他地域にも存在するかを調査。
結果として、全国的に散発的な昏睡事例が確認され、複数の事案が同一の怪異によるものである可能性が浮上した。
本事案は特異事案として認定され、「精神侵食型・空間変質型・情報伝播型」 に分類し、調査および対処を開始した。
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2. 概要
本事案は、「特定の噂(都市伝説)」の認識を契機として、対象が異常空間に取り込まれる現象 である。
当該異常空間は、対象者の精神に依存した形で形成され、
特定の行動規範に従わなければ離脱不可能となる特性を持つ。
物理的・霊的手段による直接的な封鎖・制圧が困難であり、
「噂の拡散と変異」 により、発生条件および影響範囲が刻一刻と変動する特異性を有する。
本事案の影響を受けた対象者は、意識が異常空間内に囚われることで現実世界では昏睡状態となり、
外部からの通常の刺激による覚醒は不可能となることが確認されている。
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3. 発生条件
本事案の発生には、以下の要素が関与している。
(1) 情報の認識
- 「夢の出口」に関する噂を聞き、詳細を理解した者が影響を受ける。
- ルールの詳細を知ることで、精神干渉が強まる傾向が確認されている。
(2) 霊的感受性の影響
- 霊的感受性の高い者、精神エネルギーが強い者(例:霊能力者、恩寵保持者)が影響を受けやすい。
(3) 夢の中での行動
- 取り込まれた後、定められたルールに従わなければ離脱不能となる。
- ルールを誤ることで、対象の存在が「消失」する危険性がある。
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4. 特性
(1) 精神侵食型の影響
- 対象者の精神が異常空間と同化し、長期滞在による意識消失リスクがある。
- 一定時間経過後、対象者の意識が「夢の出口」の一部として機能する可能性が示唆される。
(2) 空間変質型の影響
- 取り込まれた対象者の夢の中に、「無限に続く同一空間」が形成される。
- この空間では物理法則が適用されず、外部からの介入が困難。
(3) 情報伝播型の影響
- 噂が変異・拡散することで、新たなルールが追加・変更される。
- 「いってらっしゃいと言うと帰ってこられない」等の新たなルールの発生が確認されている。
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5. 対処方法
(1) 個別救出手順
- 透視能力による空間構造の解析
- 霊糸を用いた精神干渉による救出経路の確保
- 境界操作による精神空間への侵入および対象者の離脱支援
- ルール変更による対象者の意識的脱出の誘導
(2) 事象封じ込め対策
- 噂の改変:情報伝播を利用し、新たなルールを形成し怪異を制御
- 改変後のルール:「遅刻しちゃう」と唱えれば脱出可能 を拡散し、被害抑制を図る
- 「間違えると脱出不可能」→「特定の条件を満たせば必ず脱出できる」 へと情報の書き換えを実施
(3) 情報管理
- 改変後のルールが一定の効果を示していることを確認
- 継続的な監視体制を敷き、噂の新たな変異を早期に察知・対処
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6. 現在の状況
1. 主要被害者(南雲美優および他6名)は救出済み。
意識回復後、経過観察を継続。
2. 改変後の噂が拡散し、被害件数は大幅に減少。
現在のところ、改変されたルールに従うことで脱出が可能であることが確認されている。
3. 新たな派生ルールの発生が確認され、継続監視が必要。
例:「"いってらっしゃい"を言うと帰ってこられない」等の変異が発生している。
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【総括】
本事案は、物理的・霊的手段による封鎖が困難であり、
情報伝播によってルールが変異・拡散する特性を持つことから、
今後も新たな影響が発生する可能性が高い。
特異事案対策室としては、
- 情報の継続監視
- 適正なルール改変の実施
- 新たな派生事案の早期対応
を基本方針とし、引き続き被害拡大の防止を図るものとする。
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【報告書作成】
警視庁 特異事案対策室 捜査官
蜘手 創次郎