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2・ 青空

2・  青空



 雷雨が過ぎ去った翌日。早朝。

 ナガのワーリズム城館は、深い霧に包まれた。

 ……

 昨日、女城主の敵である従弟が大雨の中に去っていくと同時、ワーリズム城館は籠城戦への準備に入った。

 誰もが口にはしなかったものの、誰もが今回のコルムとの戦役には、苦戦を予想していた。会戦に敗れて包囲戦に突入するとは、ある程度は予測していた。ゆえに武器や食料などの篭城の必需品は備蓄準備がされおり、その点では問題は無かった。

 問題は、女城主だ。

 シャダーについては、身の安全の為に城外への避難が決まったのだが、

「私は嫌よ、逃げるなんて嫌。それにラディンもまだここへ戻って来てないのよ」

 彼女は散々に喚き続け、周囲を困らせた。散々の苦労の末に何とか説得が叶ったものの、それでも彼女は嵐の一夜を、苛立ちをまき散らしながら待ち続けたのだ。

「ラディンは今どこにいるの? すぐ帰って来るはずなのに。敗戦なのに――。

 まさか何かあったの? 今どこにいるの?」

 大切な弟は、戻ってこなかった。


 白い霧の早朝に、ナガ城館の人々は篭城準備に忙殺されている。

 ゆえに城門の前、たっぷりの雨にぬかるんだ斜面に女主人を見送るのは、老ワシール卿ただ一人となった。ナガ・ワーリズム家の誇る最長老の忠臣は、いつもの通り感情を押さえた顔で、やっと馬車に乗った女主人に、静かに声をかけた。

「道中にお気を付けください。一刻も早く貴方様の御帰還が叶うよう、包囲戦に最善を尽くします」

「本当にそうしてね。本当に」

 昨夜来の不満と不安と苛立ちとが、シャダーの顔を強くとらえている。

「全く――、ラディンは今、どこにいるの? 戻って来るって報告があったのに、結局一晩経っても戻って来なかったのよ」

「何人かの兵を派遣して、様子を見させています。おそらくは戦況の大事に気づいて、そちらへ戻られたのだと思いますが」

「本当にそう思う? 何かあったのじゃない? ねえ、ワシール。本当に今ラディンは無事なんでしょうね? 今の居場所が知りたい。もしかして本当に何か――」

 ゴトリという音が響いた。シャダーが言い終える前に、車輪はぬかるんだ泥の上を動き出す。ナガ城館の女主人の馬車は、六人の兵に囲まれながら、城門前の斜面をゆっくりと下りだした。

「ラディンの事が分かったら、すぐに私に知らせて。いいわね、必ずよっ」

「お気を付けて。良い道中を」

 たっぷりと湿度を含んだ霧の中を、馬車は斜面を下りてゆく。右に曲がってゆく。そのまま濃い霧の中に吸い込まれてゆくのを、老ワシール卿は静かに見送る。

 その輪郭線が完全に霧に飲まれてゆくのを最後まで見送り、それでも呼吸数十回の間、全てを覆う霧の白色を見守り続け、それからようやく踵を返し、城館の門へと戻ろうと踏み出し、

 その時、気づいた。――踏み出した足が完全に止まった。

 霧の中、左手の丘陵から一騎の影が浮かび上がっている。影は近づき、みるみる内に明確な輪郭になり、それが小柄な人間の騎上姿だと判るまでには、ろくに時間もかからなかった。

(どうするか?)

 ワシールは迷った。

(充分に間に合う。知らせるか? すぐに馬車に知らせるか? どうするか?)

 口の中で短い念句を唱えた。彼は泥道を蹴った。馬車ではなく、近づいて来る騎馬の方を目指して、

「ラディン殿!」

と叫んだのだ。

 ナガの領主は走り寄ってくる臣下が見えないかのよう、完全に無視する。その歩みはワシールが強引に手綱を掴み引っ張ることで、初めて止められた。

「ラディン殿、なぜ戻ってこられた? 一人なのか?」

 驚いた眼の老臣に、不愛想に振り向いた。

「その顔はどうなさった、その傷は?」

 右の頬から首にかけて、べったりとした擦り傷がこびりついていたものを、ラディンは丸切り他人事として言った。

「街道で馬がぬかるみに滑った。その時に落馬した」

「街道を使って戻ってこられたのか? 人目に付く街道を――どこで敵兵と鉢合わせるかも知れない街道をたどってこられたのか?」

「早く帰りたかったのに。糞が。落馬で肩を打ち、手間取っている間に暗くなった。たかが平地からの帰還に、野宿する破目になるなんてな。悪魔は呪われろ」

「街道を使って――、しかも怪我を負って――」

 呆れたのではない。怒ったのだ。相手の考えの無い無防備さに。

 ワシールの怒りはさらに増す。ラディンは彼を無視して、そのまま城門をくぐろうとした。

「ラディン殿、止まりなさいっ。城館に入ることを禁じます」

 途端、無関心の顔が強い不服の目に転じた。

「なぜ貴様が俺に命ずるんだ」

「平地での会戦に敗北を喫したとの報が届いています。あちらは今、混乱をきたしているはずです。貴方様が必要です。城館には構わず即座に軍勢の許へお戻り下さい」

「それは俺が決めることだ。貴様に命じられる筋合いは無い」

「シャダー様ならば、とっくに城館から去っています」

「何だって?」

と言った瞬間の、驚きと緊張の眼――。

 ワシールは、この主君が赤ん坊の時から見知っている。その彼をしても、どこか生理的な不穏と嫌悪を覚えた。それ程にぞくりと生々しい感情を含んだ眼だ。

「どういう事だ? シャダーはどこへ行ったんだっ」

「敗戦の第一報はすでに昨日の内に、ハンシス自身が伝えに来ました」

「――。ハンシスが」

「有能なハンシスのことです。時間を無駄にせずに速やかにこちらに進軍してくると判じ、シャダー様には早目に西のシュリエ城砦へと避難して頂きました」

「シャダーはいつ出発したんだ?」

「既に。――昨夜の内に」

 この一言とともに、生々しい不穏の色は消えてゆく。鞍上から西の方向を、ただ霧の遠くを見つめ出した。

「……」

 遠くを掴みにくい表情で見つめながら、何かを考えている。それを見る老臣もまた、無言で考えてしまう。

 子供の頃から姉に甘え続け、姉の干渉を受け続け、ゆえに領主となった今、周囲の信頼を失いかけているこの少年は今、何を考えているのだろうか。霧を見つめ終えたらまた、飛んでも無く愚かなことを言い出すのだろうか。

“俺もこれからシュリエ城塞へ行く”

「俺はこれから軍勢のところに戻る」

「――」

「シャダーがいないなら、ここにいる意味はない。確かに貴様の言うとおりだ。軍勢の皆が俺を待っているはずだな。直ぐに戻らないと」

 子供のような素直さで言う。 ワシールをさらに当惑させる。

「……。確かに、それがよろしいでしょう。しかし取り敢えずその擦り傷の手当をしないと。右肩の打撲も」

「構わない。ここまで傷みなく来れたのだから。戻ると決めた以上は、少しでも急ぎたい。敗戦への、向こうでの対応の様子が気になる」

「――。その通りですね」

 またしても、この若い主君への評価に困惑してしまう。本当に、身の毛もよだつほどに傲慢かと思えば、驚くほど素直にもなる。生まれて七日目の赤子程にしか物を考えないかと思うと、適切に事態を判断し、他人の忠言もしっかりと受け取る。

 ナガ領主・ワーリズム家当主のラディン。

 一年半前、父卿の病没でワーリズム家を引き継いだ十六歳の少年。小柄な体躯の、黒い髪と黒い眼の。人好きのしない印象の。

 未知と不可解が多すぎる。この先どのような道をたどるのか、どのような主君となるのか予測がつかず、不安を覚えさせる……。

 不機嫌な馬のいななきに、ワシールは我に返った。目の前でラディンはもう、霧の中に馬を進め出していた。

「また街道を使って戻られるのか?」

「使わない訳にいかないだろう? 急いで戻れと言ったのは貴様だ」

「ならば護衛を付けますのでお待ちください、今すぐ兵を呼んで――」

「護衛ならいるぜ」

 え? と一瞬思い、次の瞬間虚を突かれた。息を飲んだ。

 全く唐突に、ラディンの横に現れていたのだ。いくら霧が深かったとはいえ、気配に一分も気付くことが出来なかったなんて。

 領主より十歳ほど年上の友人・カティルだ。

 素性は良く分かっていない。とにかく、何とも冷淡そうな、近寄りがたい印象だ。何よりもその薄い目の色と髪の色が異質だ。

 ラディンがどこからともなく見つけてきて、いつの間にか横に置いてしまった異国人の護衛役は、雨と泥で汚れた姿で馬に跨ったまま、ラディンに並んでいた。

「……カティル。いたのか。……ともかく、御領主を護れ。何が有っても」

 会釈もない。面白くもなさそうに口端を上げただけだ。

 ラディンは、動き出した白い霧の向こうに微かに浮かび上がっている城館を見やった。

「シャダーに会いたかったのにな。その為に強引にここまで来たっていうのに」

「……」

「シャダーに会う為には、一刻も早くハンシスの軍勢を追い払えって事か。面倒だな」

 丸きり子供の様な吐露に、ワシールの心は僅かだけ揺らいだ。

(すぐに追いかければあっという間に追いつく程にしか離れていませんよ。貴方と姉上は)

 そう告げるべきかと呼吸一回分の間だけ思った。

「もうシュリエ城塞に到着して、落ち着いているでしょう。シャダー様は」

そう伝えた。為にラディンと姉との再会は、遥かに遠い、そして遥かに異なった未来へと移っていった。

 霧の中、呼吸二回分だけ西のシュリエの方を見つめた後だ。もう別れの言葉も残さない。ラディンはカティルと共に、泥道を歩みだしていった。

「……」

 ワシールもまた何も言わない。ただ、主君の後ろ背が白色の中に消えていくのを無言で見送り、そして籠城準備真っ最中の城内へと戻っていった。

 冷えた風が吹き始めた。

 間もなく深い霧は消えるはずだ。


             ・        ・        ・


 肥沃なナガ平野を真っ直ぐに西へ進んで丘陵地へ入る頃には、空の様子は一転していた。

 霧はとっくに消え、上空は一面の青色に抜けていた。昇り出した太陽の陽射しは、再び夏へと時が戻ったかのようだった。

 この空の下に、ワーリズム家のシャダーもまたとっくに、不機嫌から転じていた。生来のはっきりとした喜怒哀楽の中から、今は陽気を取り出していた。明るく楽しく喋り続けることで、決して整った美形という訳ではない顔立ちは空と同様、生き生きと輝いていた。

「私だって別に憎しみが有る訳じゃないから。あの男が十三歳でワーリズム城館にやって来た時から三年間も面倒を見て来たのだもの。丸切り弟同様に接してきたのだし」

 周りの風景もまた、空と同じく変わっている。

 水路が張り巡らされたナガ平野の農地は終わり、ひなびた灌木の連なりが始まっていた。土地も空気も乾き出し、単調になり、その真ん中に街道だけが真っ直ぐ延びていた。

 シャダーが乗る馬車は、陽射しの街道を順調に進んでゆく。周囲は、六人の衛兵達が囲んでいる。だが彼らはいつの間にか、馬車の間近から離れていた。女主人とはあまり話をしたくないという態がいかにも表れていたのだが、当の女城主は全く気づいてないようだった。

 唯一の例外は、今回初めて女城主に側仕え、初めて言葉を交わすことになった少年兵だ。

 彼だけは、この任務が嬉しくて仕方ない様子だった。馬車の窓から顔を出す女主人の横で無邪気に、夢中で話を聞いていた。

「それにしても、こっちは陽射しが強いわね。真夏のままみたい。晴れ渡って良く見通せる、気持ちの良い天気だわ。

 ――ねえ。お前も昨日、ハンシスを見た?」

 少年兵・ティフルもまた、嬉しそうに応じた。

「はい。私も城門の脇にいたので、よく見えました」

「優れた男だと思わない? 落ち着いて、堂々としていて」

「はい。思います。敵方の館の前だというのに怖れることもなく、礼儀正しく、はっきりと自身の意見を言っていました。あんな堂々とした方は初めてです。本当に優れた人だと思いました」

「でしょう? そうよね。そう思うもの当然よ。そう。――でもだったら、

どう思う? 私の従弟は、私の弟よりワーリズム家の当主に相応しいと思う?」

 あっ、と初めて少年は失言に気づき慌てた。

「済みません! シャダー様、ハンシスはラディン様にとっての敵です。それなのに私は賞賛してしまいましたっ、済みません!」

「別に謝ることは無いわよ。お前が感じたことは聖者の名において真実だもの。それに何度も言うけれど、別に私はハンシスの全てを憎んでいる訳ではないのよ。今回はあの男が私とラディンをうるさく非難して、果ては戦まで仕掛けてきたから許せないというだけよ。

だって、私達とあの男は、三年間も一緒にいたのよ」

 上機嫌は崩れていなかった。窓から顔を大きく出し、荒れ地の上の抜けるような、夏のような青空を見上げ、楽しそうに笑った。

 ……五年前の、夏の夕刻。

 最初に、ハンシスは言った。

「事情により、当分の間こちらに逗留させて頂くことになりました。ご迷惑をおかけ致しますが、どうかご容赦を下さい」

 あの最初の時に、こう言ったのだ。

 ナガ城館の、風通しの良い居室だった。当時のワーリズム家当主である自分の父親と向かい合っていた。父親の無関心な視線を浴びながら、まだ幼さの残る十三歳の少年は独りで立っていた。付き添う従者もなく、僅かばかりの荷物も自分で運び、たった独りでここまでやって来たところだった。

「初めまして。お手間をお掛けしてしまうことをお詫び致します。申し訳ございません。どうか、よろしくお願い致します、シャダー姫」

 自分を振り向いて、そう頭を垂れたのだ。

 その瞬間、見抜いた。

“この子は今、不安に怯えている”

 すぐに見抜いた。自分に向けられるゆっくりの口調も、あまり動かさない表情も、それは何とか不安を隠そうとする必死さなのだと、シャダーの真っ直ぐの眼は一瞬にして見抜いてしまった。

 不安で当然だ。

 とっくの昔に実母と死別した。コルム領主である父親は先日病没し、後を継いだのは仲の悪い異腹の兄だった。生まれ育った城館から半ば追い出されるようにして、同じ血筋のワーリズム本家のナガ城館を頼ってきた。ここを拒絶されたらもう行く場が見つからないという不安に駆られながら、やって来たのだ。目の前に立つこの一つ年下の気の毒な従弟は。

 そう思った瞬間、シャダーの中に純粋な同情が生じた。

 不憫な従弟を守ってあげたい、この城館で安心させてあげたい、――そう一瞬で心に決めたのだ。

「シャダー姫じゃなく、普通にシャダーと呼んで。ハンシス」

「有難うございます。感謝を致します」

「敬語も要らない。今日から貴方は私の弟も同じなのだから。私達の母親もとっくに亡くなっているから、だから私は貴方の姉代わりだけでなく、母代わりにもなるわ。

嬉しい。ラディンに兄が出来たのね。すぐにラディンを呼んで会わせるわね」

 そう言って従弟に向かって両手を伸ばすと、当然のようにその掌を掴んだ。緊張した目を見張る従弟の掌を強く、包み込むように握り締めて、大きく笑んだのだ。

 五年前。夏の日の長い、暑い夕刻だった。

 ……

「誰とでもすぐ親しくなれる質だったから。だから誰からも好かれていた」

 灌木が続く丘陵地には、雨上がりの青空が輝眩しい。それを見上げながら、彼女は幸せな昔語りを続ける。

「勿論、私達とが一番仲が良かった。私ともラディンとも、本当の兄弟みたいに、本当に仲が良かったの」

「きっとシャダー様のことを、本当の姉上のように思っていたんでしょうね」

 その言葉を待っていたとばかり、満面が輝いた。

「お前、名前はティフルだったわね。歳は十三? 十四? そう言えば来たばかりの頃のハンシスに少し似てなくも無いわよ。

 ねえ。聞きたい? 聞きたければ教えてあげるわよ。あの男が来たばかりの頃、どんな少年だったか聞きたい?」

「はい。教えてください」

と嬉しそうに応えた瞬間、前方に騎乗していた護衛隊長・カワーイドが、こちらは見ずに鼻を白ませた。気分屋の女主人の下らない昔話を、まだ延々と横耳に聞かされる羽目になるとは。

「そうね……。あの子は誰の話にでも真剣に耳を傾けるから、みんながあの子と話をしたがったのよ。例えば――」

 例えば、

 ナガ城館でハンシスは、いつもよく動いていた。動きながら、いつも誰かと会い、何かを話をしていた。

 臣下達とも、兵士達とも、使用人達とも、領民達とも、誰とでもいつでも親しく話をしていた。余り人好きではないワーリズム家当主すらも、機を見ては捕まえて、何だかんだと話をしていた。話すことで雑多の、多数の、多彩の知識を自然と身に吸収していった。

 そして一度でも彼と話した者は、この少年のはっきりと聡明な思考と、裏表のない真っ直ぐの気質と、そして決して曇らない土色の眼とに魅力を覚えてしまうのだ。

 勿論、話ばかりしていたわけでは無い。

 育ち盛りの年令に相応しく、ハンシスは城館に出入る同世代の少年達とも夢中で交わった。剣術やら乗馬やら下らない馬鹿騒ぎやらの楽しさを、皆と遊びながらどんどん身につけていった。健康な仔犬か何かのように遊びながら、笑いながら、大切なことを全て学んでいった。

 そして。

「ハンシス、たった今ダラジャから干し果物が到着したわよ、ラディンも呼ぶから、一緒に食べましょうよ」

 いつでも素早く振り向いた。例えば老臣ワシール卿と軍策の作り方について真剣に議論している時でも、守備兵の一人に巻上式弩弓の扱い方を教わっている時でも、いつでも彼はすぐに振り向いて言った。

「有難う、シャダー」

 嬉しそうに笑みながら応えたのだ。そのような三年間だったのだ。

 ……

 車輪はゴトゴトと、規則的な音を刻みながら西を目指す。空はどこまでも広がり、陽光は眩い程だ。

 まるで少女のように幸せそうに話し続ける女主人を、ティフルはずっと素直に聞いていたのだが、

その顔が急に、素朴な疑問を示し始めた。眉を歪め出したのだ。

「どうしたの?」

「いえ……。でも……でしたら――。いえ。済みません」

「何か言いたいの? 何よ、はっきり言いなさいよ」

 迷いながらの呼吸三回の後、ティフルは馬車の窓越しに自分を見る女主人に、訊ねてしまった。

「そんなにナガ城館に親しんで、貴方様ともラディン様とも仲良しだったのに、なのに、どうしてハンシスは戦を仕掛けてきたんですか?」

「貴様、いい加減に黙れ!」

 鋭い声で先頭のカワーイド隊長が怒鳴り、びくりとティフルは身を縮める。その真横で、シャダーもまた不快の顔を示した。

「済みませんっ。シャダー様、申し訳ありませんっ」

 だが。

「大丈夫よ」

 彼女は、穏やかな顔を取り戻してゆく。

「大丈夫だから。神の御名において」

 それ以上はもう答えない。独りで静かに微笑み、眼は広々の青空と乾いた丘陵地を見ている。見ながら彼女の心中には、二つの大切な記憶が続き絵となって現れてゆく。

 一つ目は、二年前の。そして二つ目は、僅か一月前の。

 ……二年前。

 ハンシスの顔が唖然の驚きを示していた。

 それは全くの偶然だった。三年前に彼がワーリズム城館にやってきた時と同じ居室に、同じ三人が集まっていた。

 ワーリズム当主である父親が、ぶっきらぼうな口調でもう一度繰り返す。

「コルムの領主が、狩の最中に落命したそうだ」

「私の、義兄が……」

「落馬での事故死という話だが、実は謀殺かも知れない。奴には息子がいない。このままだとコルムの城で争いが起こるぞ。お前はすぐに帰れ」

「帰れって……コルムへ――」

「早くしろ。早く帰って後継を宣言しろ。さもないと他人が割り込む。ワーリズム家のコルム領支配に穴を開けられる。早く、今すぐに帰って、領地を継げ」

 ハンシスはまだ現実を受け入れられない。見慣れた緑色の胴着姿で、右手にはたった今まで遊んでいた弩弓を握ったまま、立ちつくしている。その姿のまま、部屋にいる従姉の顔を見る。

 シャダーもまた、相手を見る。感じる。

 そこにはもう、孤独と不安に圧し潰されそうな少年はいない。この三年で上背も顔つきも、さらに存在感そのものも見違えるほどに成長させた青年が、突然の命運の変化に困惑している。

(ちがう。困惑だけじゃない)

 三年前にいとも簡単に相手の不安を見抜いたシャダーは、今回もまた的確に見抜いていた。

(困惑しながら、でも期待している。やっと巡ってきた己の力を試せるこの機に、高揚している)

「またすぐに会えるわよね」

 本人すら自覚していない興奮を、シャダーは先取った。僅かに声を上擦らせながら、続けた。

「またすぐよ。すぐに会えるわ。その時には貴方は、コルム領主になっているはずよ」

「――。すぐに貴方に会いに戻ります。領主になって。聖者の名において」

 困惑の中、しかしはっきりと頷いた。ハンシスの曇りの無い眼はもう、先の未来を見ていた。

 ……しかし、その約束が果たされるまでには、コルムとナガの両ワーリズム家の上に、波乱の二年間が必要だった。

 曲折と辛苦の果てにハンシスがコルムの臣下達からの忠誠の儀を受け、コルムの領主座に就いた頃、今度はナガに急変が訪れた。

『ワーリズム豪族家当主・ナガ領領主、病没。――新当主、誕生』。

 ワーリズム家のラディン。

 十五歳にも満たない少年が、広大なナガ領の新領主に、そしてワーリズム豪族家の新当主となった。

 そして、この少年を全面的に補佐するのは、彼を愛して止まない姉となった。先代以来の優秀な臣下達を差し置いてだ。

(それのどこが悪いの?)

 弟が当主座に就いた瞬間から今日に至るまで、ワーリズム家のシャダーは思っている。

(私の父親は早死し過ぎたわ。そして私の弟は貴方より二つも年下で、しかもナガは領地も城館も貴方の所の二倍も広いのよ。私がしっかりと弟の補佐をして、それのどこが悪いの? ハンシス?)

 しかし、彼女の従弟はそう思わなかった。

 半月前のあの日。突然、

 ……

「コルムの従弟殿が、我々を攻めてきます」

 夏の乾いた陽が射し込む午後だ。

 明るい光と心地良い風が抜ける上階の一室で、シャダーは干し果物をつまむ手を止めた。勿論、愚者祭が近づいているのに引っかけた詰まらない冗談だと思った。

「何の企み? そんな面白くも無いことを言い出すなんて」

 だが、ナガ・ワーリズム城館が最も信頼する生真面目な老臣・ワシール卿は、普段の数倍も生真面目な顔で続ける。

「たった今。ハンシス殿から書状が届きました。

 現在の一族当主であられるラディン殿に対する非難を公表しました。ワーリズム家のラディンは、一族当主という重要な座に就くに相応しい力量を満たしていないと。ゆえに、自らが当主座に就く意志だと。もしもラディン殿がそれに従わない場合は、武力をもってこちらの領へ侵入すると」

「……。何を、言っているの? それって……?」

「――」

「それって、つまり――まさか。ハンシスがここに攻撃を仕掛けるって事なの? 軍勢を使ってこの城館と当主の座を奪うって事なの?」

「はい」

 途端、彼女は椅子から立ち上がる。眉が猛然と釣り上がる。

「なぜ! なんでハンシスはそんな事を言い出すのよっ。その書状を見せて!」

「書状は貴方様宛ではありません」

 老臣の眼はとっくにシャダーから外れ、部屋の奥の窓を見ている。そちらに声掛ける。

「また窓枠の上に腰かけているのですか? それは危険だと、何が起こるか分からないから止めなさいと、何度も言いましたよ」

「――」

「それから、頻繁に姉上の部屋を訪れる事も。ラディン殿」

 ナガ領主・ワーリズム家当主は無言で、ゆっくりと振り向いた。

 窓枠の上に背を丸めて座る姿は、どこか大きな猫を思わせた。不思議と身に付いて似合う黒色の服。物音をたてない動作。それに、この経験豊かな老臣をしても何を考えているのか掴みきれない深く黒い眼の色との、それら全てが相まって。

「あの男が攻めてくるって?」。

「はい。貴方の従兄殿は、本気で貴方から当主座を奪取するようです。より詳しい事由についてはこの中に」

 ワシールは主君の許に歩み寄り、書状を差し出す。――が。

 無視された。ラディンは受け取らなかった。眼はとっくに相手ではなく別のものを、怒りに顔を真っ赤にする姉を見ていた。

「聞いた? あの男が攻めてくるんだって」

「そうよ! 神様、信じられません! 何だって言うの? どういう事? 何でハンシスはいきなりこんな恩知らずな真似をするのよ!」

「久し振りにあの男に会えるんだ。嬉しいな」

 その抑揚の無い“嬉しいな”に、ワシールは不穏を覚えた。言葉の意味するところが真実なのか皮肉なのかそれ以外の何かなのか、判断出来なかったのだ。

 大きな窓からは、夏の乾いた風が吹き抜けていた。

 風の中、窓枠から降りてラディンは喚き続ける姉へと歩む。その手を掴み握る。それから、ようやく、初めて、差し出されたままの書状を受け取った。

 ……

 灌木が生える乾いた丘陵地に、まだ夏が続いている。強い陽に溢れている。

 馬車の車輪は、単調な音を立て、真っ直ぐの街道を西へ西へと進んでゆく。

 少年兵ティフルは、口走ってしまった軽率な言葉をまだ後悔している。しかしシャダーは柔らかく相手に言った。

「大丈夫よ」

「本当に申し訳ありませんでした。シャダー様。――それから。……済みません、“大丈夫”とは何の事ですか?」

「今回の騒動の事よ。大丈夫。心配は要らない。

 だってあの二人は三年間も一緒にいて、本当の兄弟の様に仲が良かったし。本気で憎み合っている訳では無いし。きっと間にワシールが入ってまとめるでしょうし。

 何より。神様、あの従弟は驚くほど利口よ。私はあの従弟の分別を信じているから」

 馬車の周りでは、横耳にはさんだ兵達が苦笑を示していた。ほんの昨日、今すぐこの男を捕えて 獄に落とせ! と雷雨の中でわめいていた女主人の姿を、彼らはまじまじと思い出せたのだ。

 しかし、

「私もハンシスと仲良しよ。彼はラディンと同じく、私の大好きな弟よ。

だから、聖者様。大丈夫。今回の騒動はすぐに落ち着くわ。私も、ラディンも、ハンシスも、みんな大丈夫」

 シャダーは、鮮やかに言い切った。

 馬車の窓から身を乗り出すように前方を見る。その視界の中で、延々と広がる灌木の丘陵は晴れ渡り、光に満ちている。

 目指すシュリエの城砦へは、乾いた丘陵の街道をあと数刻の里程だった。


               ・      ・      ・


 始まったばかりの秋は少しずつ少しずつ、湿度と冷気と雲という形で姿を現し出していた。

 ナガ平野の耕作地では、すでに春蒔き小麦の刈取りが終わっていた。何本も張り巡らされた水路の間で、畑は剥き出されていた。

 ナガ・ワーリズム本城館もまた、この広く豊かに連なった耕作地のただ中だ。そして今。包囲戦の真っ最中であるこの巨大な城館を、コルム・ワーリズム家の家臣・ルアーイドは独り、じっと凝視していた。

 二十歳という年齢ながら、コルムの重臣の一人に数えられた青年だった。生来の生真面目な質に加えて、主君への偽りのない忠勤と忠誠心を自負する、若い卿だった。さらに年齢の近さも相まって、コルム領主の一番の友人にもなっていた。

 彼は、小さな丘地に立っている。夕方の迫る頃合いに、城館の全景は斜めより陽射しを受けている。ごつごつと分厚い城壁も城壁に備わる五本の櫓塔も、影を長く引いている。

 さらに、これらを包囲している自陣の全体も良く見える。ルアーイドはそれを真剣な目で、細かく見据えてゆく。

 ふと、その視線が左に流れた。

 偶然に見つけた。左手の巨木の脇だ。夕日の逆光を受け、主君が立っていた。自分と同じく、城館の全景を見据えていた。

「ハンシス」

と、呼びかけようとした声が――、喉で止まった。

 何だ?

 あれは、何だ? ハンシスのあの顔と、眼?

 城館を一心に見つめる眼が、暗く、重く、淀んでいる。

 自分の知っている真っ直ぐに曇らない眼と、全く異なっている。濁った水のような粘性の眼だ。憑りつかれた様、暗く重たい眼で城館を見据えているのだ。

 この眼がハンシスか? 清廉で、明瞭で、誰からも好まれる気質の優秀なコルム領主の?

「……。ハンシス?」

 振り向いた。

 途端、淀みは消える。常通りの冴えた表情がルアーイドを迎えた。

「なんだ。来ていたのか、ルアーイド」

「――。ああ」

「こっちへ来いよ。この位置からが一番城館を綺麗に見通せる。見ろよ、

 駄目だな。今日も城壁にほとんど損害を与えられていない」

 この七日間と同じ通りの、引き締まった主君・ハンシスの姿だ。すっと伸びた健全な肢体に、整然と武衣をまとっている。切り揃えられた前髪の下では、濃い土色の眼が前を見捕え、芯の強さをうかがわせるくっきりとした横顔の線が刻まれている。

 で、さっきのあの奇妙な表情は何だったんだ? 夕刻の強い逆光のせい?

「何でそんなに私を見るんだ?」

「……。いや」

「今さら隠し事か? 言えよ」

 いつもの通り、気さくに言う。

 ならば――。ルアーイドは鎌をかけた。

「焦っているだろう?」

 途端、ハンシスの顔は不快に歪んだ。図星だっ。

「済まない、ハンシス。私がもっと早く察して気遣うべきだった。まさか貴方でも焦ることがあるなんて思わなかったから」

「何で謝る? それに、別に焦ってはない」

「本当に?」

「確かに戦局は、事前の予測から変わってきている。長引いてしまっているが、だからといって別に焦ってはないさ」

 二人は再び同時に前方を見た。

 そこには主君が敷いた陣図に従い、コルムの軍勢が包囲を敷いている。兵士達は指示の通りに、無駄なく動いている。小型とはいえ二台の投石機が配され、効果的な位置を選んで城壁に石塊を発射している。轟音を立てている。

 丘の上に、ほぼ同じ背丈の二人の影が並んで伸びている。じっと視線を包囲戦に据えたまま、

「コルム・ワーリズム家の若き力量者・ハンシスの立てた、完璧の攻略策」

 ルアーイドは着々と語り始めた。

「第一段階。

 ワーリズム家当主・ナガのラディンへの要求を宣言。

“現在、ナガ城館内で起こっている相次ぐ臣下豪族達の離反や反目は、深刻と呼べる状況である。このままワーリズム家当主の権威失墜を看過するわけにいかず、よって私・ハンシスは、現当主ラディンがその座を速やかに私に譲渡するところを要求する”」

「――」

「第二段階。

 勿論、ラディンはこれを拒否。両国は戦役へ。我々は事前にナガの有力者・イーサー卿の離反を画策。これによって、平地での緒戦に楽勝。

 これでもラディンが降伏しない場合は、次の包囲戦へ」

「――」

「第三段階。

 ナガ城館への包囲戦開始。おそらく三日目ぐらいから城内では厭戦の空気が発生する見通し。豪族達の離反が相次ぎ、五日目を過ぎるころにはラディンは籠城の維持が困難に。

 この機を読んで我々は、一斉攻撃もしくは降伏勧告へ」

「――」

「最終段階。

 ラディンは降伏せざるを得ず。戦役は我々の勝利で終息。全て計画通り。

 諸聖人は彼を祝福せよ。完璧かつ優秀極まりない力量者・ハンシスはめでたく、その力量に相応しいワーリズム家の新当主の座に――」

「うるさい! 黙れっ、殴るぞ」

 怒鳴った! ほら見ろ、やっぱり焦ってるじゃないか、

 ならばさっきの淀んだ眼も、焦りのせいって事か?

 自分より少し年下の主君が、苛立ちを剥いて自分を睨んでくる。その歳相応の未熟な様に、逆に安堵を覚える。相手の余裕の無い顔が少しずつ、潮が引くように落ち着くまでの時間を無言で見守りながら待って、ルアーイドはやっと声をかけた。

「落ち着いたか?」

「この戦況だ。私だって苛つく。腹が立つ。良いだろう?」

「勿論構わないよ。気が済むまで幾らでも苛立ってくれ。今まで気づかなくて、本当に済まなかった。

 確かに、予想外だ。包囲が始まってから今の時点まで、ナガ側は一人の離脱者を出していない。士気が落ちてない。思いの外の善戦だ。貴方の従弟がここまで頑張るとは、私も思わなかった。誤算の原因は何なんだ?」

 ハンシスの視線が、もう一度城館に移った。

 城の東側にある物見台。そこに包囲軍を見下ろしている数人の人影が見えた。その影の中の一つ――小柄な黒い武衣姿が微動だにせずに、じっと包囲軍の投石機の動きを目視していた。

「あそこでラディンが見ている」

 淡々と言う。

「確かに悔しいが、上等の篭城戦を展開している。ラディンはきっと、ワシール卿の忠言を良く聞き入れているんだろう」

「それが出来るなら、なぜ貴方の従弟は最初からそうしなかったんだ? この一年半、周囲の反感を買う身勝手ぶりで、すっかり臣下の信頼を失ってしまったっていうのに。なんでだ?」

「――。その理由を、知りたいか?」

 口調が微妙に変わった。

「え?」

 意味深長を帯びた。微妙に違和感を覚えた。と同時、ルアーイドの頭の中に一つの出来事が思い浮かんだ。

 六日前の嵐の中。主君の突然の単独での、ナガ城館訪問――。

 勿論すでにルアーイドは、その時ハンシスが誰を相手に何を喋って来たのかについては耳にしている。その奇妙な行動に、疑問を感じている。

(開城の説得と言っていた……が。一族の為、ラディンの将来の為に、ラディンの姉がナガ城館を離れるべきと言って。確かにそうだが……。でも……)

 何か、もやつく。何となく、重要な事の様に感じ、今こそこの件を訊ねてしまおうと意を決し、

「ハンシス、少し訊きたい事――」

 突然、巨大な破砕音が響いた。

 投石弾が城壁の角部を直撃し大きく破壊した。両陣営から大声が上がった。兵士達が大きく動き出したのだ。

「行こうっ」

 ハンシスとルアーイドも即座に丘の斜面を下り出したが、足はすぐに遮られる。

「御領主。伝言です」

 陣内で下働く小僧がいきなり現れ、告げてきたのだ。

「例の件は上手くいきそうとの事です」

「おいっ、お前! 何の事だ?」

 ルアーイドが声を上げたが間に合わない。小僧は瞬く間に走って丘を下りて行ってしまう。

「何の事なんだ、ハンシス!」

と振り向くと、ハンシスもまた早くも斜面を下り出している。そのまま振り返りもせず言う。

「陣に戻ったら、使者を派遣する準備をしてくれ」

「使者? 何をする気だっ」

「だらだらの膠着状態はもう充分だ。時間を無駄にしすぎている」

「だから――」

「私はラディンと会う」

 物凄い勢いで左の肩口を引っ張られ、ハンシスは足を止められた。振り返った。

 そこには、普段なら大人しく落ち着いた質のルアーイドの、本気で怒った顔が迫っていた。

「これでは、臣下を無視して離反させた貴方の従弟と一緒だ。独りで勝手に物事を進めるなんて、貴方のやり方ではないはずじゃないか?」

 呼吸四回分、見合っての沈黙。それから掴まれた肩から友の腕を外し、コルム領主は誠実に言った。

「済まない」

「どういう事か教えてくれっ、なぜ今、貴方がラディンと会うんだ?」

「勿論、こんなところでこれ以上もたつくのが嫌だからだ」

「――」

「早く、一刻でも早く勝利を収める為だよ。

 まあそれ以外にも、二年ぶりに馴染みの従弟と会って昔話をしたいっていうのもあるけれどな」

 にこりと笑むと、再び走り出し斜面を下っていってしまったのだ。

 それを、困惑気味に見てしまう。ルアーイドには、主君であり友でもある男の言葉が、奇妙な冗談なのか、本心なのか、そして自分はどう反応するべきなのか、上手く判断出来なかった。




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