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天啓の海  作者: 古寂湧水こじゃくゆうすい
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薩摩の当代藩主継豊の、重度の疝癪を治療して全快。\(^o^)/藤堂藩の家老がお家騒動で、蕎麦屋に身を落としているのを復活させました。

明日香の王様が将軍吉宗の双子の舎弟になっていますけれど、大活躍ですね。

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側用人の加納正直と息子が挨拶に来た。用人[旧年中はとてもお世話になり、特に種芋の件では多くの大名たちから、とても感謝をされています。どうぞ、今年もよろしくお願いします。


どうぞ料理を楽しんでください。失礼します。]辰五郎[上様の次に権力があると言われる側用人様から頭を下げられるなんて、なんだか偉くなった感じですよ。はっはっはっ。]


娘[正月の的屋さんは半端なく儲かるんですよね。][ボクは毎日グチャグチャだったジョー。]辰五郎[江戸の正月は3が日で終わるのでなく、松の内一杯は忙しいです。


盆と正月で、稼がないといけませんので必死ですよ。][正月飾りの評判はとても良かったですよ。特に百貨店のものは今までで最高の物だって言うのが、江戸っ子たちの評価のようです。]


辰五郎[ありがとうございます。みんなに認められて光栄ですよ。飾りつけにもいろいろな流儀がありまして、師匠から教わった基本に自分なりに枝葉を付けました。]


残留の王様たち以外は、十分に江戸の正月を楽しんで帰って行った。


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下谷の王様の事務所に薩摩藩の筆頭家老と次席家老がやって来た。


薩摩藩はこの時期検地で71万石とされ琉球を含めると90万石と言われていたが、幕府の有力藩から財力を搾り取る課役で、財政はひっ迫しているということだった。


筆頭家老[はじめてお目にかかります。筆頭家老の安藤と申します。こちらは琉球からさつま芋が入ってきていて、広く普及していますので種芋の提供は、辞退をさせていただきましたが、


申し出にはとても感謝をしています。そこでかってですが2点お願いがございまして、1点目は当代の継豊様が強度の疝癪で体調がすぐれずに、10年ほど国元に帰っていません。


是非とも病気を治して国元をもう一度見ていただきたくて、おじゃまをさせていただきました。お礼として些少ですが300両をご用意できます。


あとは薩摩藩の琉球を含めた領内でしたら、好きなところにいつでも行けて、店舗の設置もできるようにします。]


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筆頭家老[ご舎弟様に来ていただくには心苦しい謝礼ですが、何とかお願いしたいのですが。][ゴンちゃんにユリちゃん、何とかなりますか。]ワンワンワン。ワンワンワン。


[それでは明日の10:00に行きますので、準備をしておいてください。]次席家老[2点目がありまして申し訳ありません。藩主は病気がちですが芋焼酎が大好きで、ご舎弟様が芋に詳しいって言うことだったら、


焼酎造りにも最適な品種を知っていると思うので教えてもらって来いということで、厚かましいようですがお願いで来ませでしょうか。][黄金千貫で大丈夫ですよ。


そういう申し出があると思いまして2種類の特上と上級を用意しました。特上を作るのは難しいけれど、上級までは何とか造れるはずです。1斗樽を2種類持ってきてありますので、持って帰ってください。


これで作るんでしたら種芋は無料で用意しますよ。私の好みで特上は麦麹で上級は米麴にしてありますけれど、好きにすればいいです。]


次席家老[ありがたくいただいていくとともに、あす、お待ちしています。]


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サスケ[薩摩藩も幕府にかなり痛められていて、財政が厳しいと思います。何とか工面したっていう感じですか。琉球の王様にでも会いに行きたいですね。それと面白い焼き物がありそうです。]


[沖縄の陶芸家よりも、この時代の作品の方がはるかにいいものがあると思うので、沖縄の売り場に大量に置いても面白いわな。]サスケ[ホテル周りで、壺屋よりも人気の陶器街を持っていますからね。]


翌日、三田の薩摩藩藩邸にやって来た。


すぐに藩主の所に案内されたが、藩主の隣には藩医が控えていた。藩主[ご舎弟さんにわざわざ来ていただいてすみませんね。]上半身裸になった所に手をかざした。


[これは労咳から来ている腹膜炎ですね。ゴンちゃんユリちゃんお願いできるかな。]ワンワンワン。ワンワンワン。”グッ”[ゴンちゃんにユリちゃんありがとうね。]


[これで大丈夫です。徐々に体力をつけていけば、国元にも帰ることができますよ。後のことは藩医の指示に従ってください。]


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藩主[この2匹は有名な観世音菩薩と吉祥天の化身ですか。][その通りです。普通ではなかなか直すことができません。]藩主[芋焼酎は2種類ともとてもうまかったです。すみませんが種芋を回していただけますか。]


[決められた場所に5千貫届けますよ。こちらからのお願いですが琉球に行って陶芸の窯元や王様に会いたいので、行った時の宿泊場所を決めておいていただけますか。20人ぐらいですよ。]


筆頭家老[承知しました。琉球藩に連絡をしておきます。薩摩まで10日で琉球には17日で伝わるので、その後でお願いします。種芋を運んでいただく場所は後ほど連絡をさせていただきます。


これはささやかですが謝礼金です。]


[病気のことで相談事がありましたら、気軽に来てください。それでは失礼します。]すず[野っぱらの中ですが、おじいさんと孫娘の蕎麦屋が美味しいって評判がありますので、行ってみますか。]


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藁葺き屋根の一軒家だが、造りはなかなかのもので、昔は資産家だった感じである。メニューは自然薯そばに麦とろ飯だけである。すず[蕎麦を人数分いただけますか。]


親父[へい。わかりやした。]サスケ[あのおじいさんは、かなりの武芸者ですよ。この家の構えから見ると8万石大名の家老職という感じですか。]孫娘が蕎麦を運んできた。


すず[地味な格好をしていますが、商家の娘とは育ちがちがう感じです。]そばを食べていると5人組の武家が入ってきて、親父と問答をしている。武士[あなたも元藤堂家の家老なら、


旧主家がこの辺一帯をお殿様の別宅にするのに協力したらどうかな。]親父[何度来ても変わらんぞ。お家騒動で一旦、身を引いたがそろそろ本流の血筋に帰らんといけんわ。


別宅だなんかと極楽とんぼをやっているけれど、アンタラもいつまでいられるかわからんぞ。]武士[元家老だからと言って罵詈雑言は許さんぞ。]親父[面白いな、5人まとめて面倒を見てやるわ。]


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親父は心張棒を持って、5人の武士とともに外に出た。王様やスタッフは蕎麦を食べながら面白そうに見ている。親父[そんなへっぴり腰じゃあ、全員肩と腕を折られてのたうち回るがいいのかな。


後でやられたやられたって、ピーピー騒ぐんじゃあね~ぞ。ここにいる4人の方が証人だ。]武士[そんな町人証人になるわけないわ。]サスケがそばを食べ終わったので中に入っていった。


サスケ[あすこにおられる方は町人の格好をしているが、将軍の舎弟の葵屋正次郎様だ立会人としては不足はねーだろ。存分にやりなさい。]蕎麦屋の老人は王様に一礼して、5人に向かい合った。


老人[手加減はしねーから、思いっきりかかってきやがれ。]武士[しゃらくせー、やっちまえ。]5人が抜刀をして老人を取り囲んだ。3方向からいきなり切りかかったが、


敏捷に身をひるがえして一気に打ち据えてしまった。残った2人も大声を上げて切りかかっていったが、簡単に肩や腕の骨を折られてのたうち回っている。


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[見事な腕前です。このままでは必ず仕返しが来ますので、この5人の顎と手足の関節を外して千代田のお城の門前に並べましょうか。それから側用人に話して対策を立てます。


失礼ですがお名前は。][はい。元藤堂藩家老の渡辺帯刀と申します。]サスケはすぐに大手門の門前に5人を並べてしまった。[結果を報告に来ますので、しばらくお待ちください。]


老人[何卒、よろしくお願いします。]二の丸御殿の厩近くにいつものように車を止めて、側用人の息子と面談したい旨を伝えた。すぐに応接室に通されたが、


親父の側用人が何事か出来したと思い息子と同席をした。王様から話を聞いて、側用人が話した。側用人[前藩主が急逝して、息子が幼かったために成人したら交代することを条件に、


弟が藩主になっていたが元服を終えても譲らないためにお家騒動になり、多数派を占める現藩主がそのままということになっています。でも、そんないやがらせをするようじゃあ始末をつけないとまずいですね。]


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上様に話してから同意を得て、まず、仕返しをしないように命令を出して、それから老中評定会議で方針を出しますよ。5人は藩邸から迎えに来させて、その時に仕返し禁止を伝えます。


この問題は大きな出来事で、老中も詳細を知っていますので、すぐに結論が出ると思います。][わかりました。元家老の渡辺帯刀氏に伝えて、結果を待つように伝えておきます。]


しばらくして公儀命令で現藩主は退任して、藩の石高は変わらず元藩主の家禄は1千石の捨扶持に減封された。それと筆頭家老などの要職はほとんどが3分の1に減らされている。


反対に身を挺して新藩主を盛り立てた蕎麦屋の老人は筆頭家老になり、大碌の8千石を拝領した。


下谷の王様の事務所に藤堂藩32万石の新藩主と筆頭家老の、元蕎麦屋の老人の渡辺帯刀が、お供にたくさんの地元の特産品の和菓子やせんべいを持たせてやって来た。


藩主[どうもこの度はひとかたならぬお世話になりまして、御礼申し上げます。]家老[郷土の名物をお持ちしましたが、皆様で召し上がってください。][ご丁寧にすみません。ありがたく頂きます。]


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すず[元32万石の藩主が1千石では、殺さないようにしただけですね。みっともなくて世間に顔向けできませんよ。筆頭家老の渡辺帯刀さんは柳生新陰流の師範ですね。どうりで強いわけです。


お菓子は後でいただくとして、近くの蕎麦屋で天ぷらそばでもいかがですか。]


縄暖簾をくぐって蕎麦屋に入っていった。すず[エビ天2匹乗せそばでいいですか。][それでやってください。病院関係で800人ぐらいの明日香人がいるので、かなりの商売になっているようですね。


居酒屋も3件あるしね。日用雑貨店が病院内にあるので職員も入院患者も購入できるので、とても便利ですよ。]すず[藤堂藩のお家騒動は有名になっていて、瓦版にもなっているようですよ。


もちろん面白おかしく盛ってありますけれど、蕎麦屋にまで身を落としても、前藩主のいやがらせにも屈せず元家老の祖父と孫娘を窮地から救ったのは、われらが将軍様の舎弟の葵屋正次郎様だ。


急逝した前々藩主の息子が元服したら藩主にする約束で、弟に藩主をやらせたら約束を守らずに居座ってしまったんだな。]


薩摩藩の時代の琉球はどんな感じだったんですかね。窯元巡りが面白そうですよ。

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