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初心者の杖

作者: 四季 畑

 それは一つの杖でした。


 飾り気はなく、秘められた特別な力もなく、基となった素材も大したものではなく、名のある魔法使いが作り出したものではありませんでした。

 しかしその杖にはある特徴がありました。それは、とても頑丈なことです。

 

 数十人の魔法使いがその杖を取り、魔法を使いました。かといってそれは目を見張るほどの出力ではなく、下級のもの。

 上級のような強すぎる魔法なんて使ってしまえば杖は壊れてしまいます。ですので、杖は初心者用として働きました。


 その杖から魔法を学び、英雄となった人もいます。悲しいことに道半ばで歩みを止めてしまった者も存在しました。

 しかし杖と別離を告げる時、誰もが決まってこの言葉を送りました。


 「ありがとう」


 こうして今日も杖は新たな主人を待ちます。

 杖を作り、初めに愛した店主も売り文句を言ったりはしません。

 まるで必ずその杖が選ばれることを分かっているかのようにお客を待つのでした。


 さあ、今日も年若い魔法使いが店にやってきて、言いました。


 「この杖を下さい!」


 こうしてまた、初心者ににたくさん親しまれ、たくさん支えてきた杖は、新たな主人に寄り添うのでした。



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