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真夜中に、ジョーヌは磨く?!

今回は少し短めです!

シーニー様と別れ、部屋に戻ると、私はさらに頭がスッキリしてきた。


私たちの部屋にはメイドさんはいない。……なぜなら連れてきたメイドさん達はすべてアーテル君とヴァイオレッタ様の部屋に居るからだ。……シーニー様なりに心配で、事情を知ってるメイドさん達を側に置いているのだろうと思う。


私たちの部屋にも、頼めばこの国のメイドさんを手配してくれたのだが、夫婦が入れ替わっているのがバレちゃうから、それはしなかった。


まあ、私はご令嬢育ちじゃないので、大体の事は自分で出来ますし……。


……とは言え、せめて後ろのリボンはシーニー様に緩めて貰えば良かったかも?


私はドレスを脱ぎ始めて、いきなり後悔した。

かなり固く縛られているらしく、どう頑張ってもリボンが緩まない!


……イヤイヤ、そんな親しくないし、そんなお願い無理だよ。恥ずかしすぎる。……でも、このままじゃ苦しいし、これで寝る訳にはいかないよね?……どうしよう。でもでも、シーニー様はかなりお酒臭かったし、きっともう寝てるだろう。……ううう。やっぱり1人でなんとか頑張らなきゃだ。後ろに回した手が攣りそうだよ……。


そんな感じで、悪戦苦闘しながら、私は小一時間かけてドレスを脱ぐ事に成功した。


うん、ジョーヌはやればできる子!!!


脱いだドレスはハンガーに掛けて、クローゼットに押し込む。……ちょっとシワになっちゃうかもだけど、ドレスの管理の仕方なんて良く分からないから、仕方ないよね?


あ、……あれ???


なんかもう、酔いが醒めてない、私?


それならば、お風呂にでも入ろうかなと、私は準備してバスルームに向かう。……なんか色々あって疲れたし、シーニー様も寝ちゃってるから、のんびり長風呂するのも良いかも知れない!


……リビングにあるシーニー様の部屋に繋がるドアの前を通ると、やっぱり相当酔っていたのか、中から軽くイビキが聞こえてきた。


お酒を飲むと……完璧紳士なシーニー様でも、そうなるんだー……?なんて思って、ちょっと笑ってしまう。


父さんも、酔っ払って帰ってくると、ものすごいイビキをかいて寝ていた。母さんが、眠れないわっ!て騒ぎながら、私や姉さんの部屋に避難してくるくらいに……!


そこで私はハッとする。


……さっき、リビングで少し休んでたけど……わ、私……ウトウトしてイビキかいてませんでしたよね?!?!


う、うう。

なんか、最近のジョーヌってば、散々だ。


アーテル君にはテスト明けに臭いと思われ、シーニー様にはイビキ……下手したらすごい爆音のやつ……を聞かれたかも知れない。……私の体質は父さんにソックリだから、かいてる可能は特大だよぅ……。


私ってば、女子力ってものが行方不明なんじゃないかな、これ?

……肩を落として、トボトボとお風呂に向かった。



もう二度とアーテル君に、臭いとか思われたくない私は、しっかりと体を洗って、ゆっくりとお風呂に浸かる。


そうして、思い出したかのように、お風呂でマッサージを始めた。


……だってね、アーテル君のところの戦闘可能メイドさんたちによると、マッサージでお肉は動くらしいよ?


メイドさん達は、私のお腹や腕、そして背中なんかもゴリゴリ揉んで、それを胸に集めようとしていた。その時は……胸とかもうイイよ……!って思っていたのだけど……。


うん……間違ってました。


だって、女の子でお肉がたくさん付いていても許される場所は、胸とお尻しかない。邪魔なお肉はそこに持って行くしかないんだよねぇ……。


私は溜息混じりに、ぷにっとした脇腹をつまんで、ヴィオレッタ様のほっそりとした腰を思い出した。……ジョーヌはデブじゃない、ただの健康体……。そう思っていたけど、掴めるって……やっぱりマズイのかも……???


それに、アーテル君は今夜の夜会で、あの細い腰を抱いてリードしたのだ……。……私がダンスの時に、シーニー様の背の高さを実感したように、アーテル君もヴィオレッタ様の細さ……もとい、ジョーヌの太さを実感したはずだ。


ううう……!!!


あ……。そういえば、ラランジャもスレンダーだし、ローザ様は全体的に線が細くて儚げなイメージだ……。


も、もしかして……。


貴族の女の子って……みんな細め???


私が……逞しすぎ???


マッサージしつつ、私はそんな事を思い、腕に力がこもる。


ジョーヌは平凡だけど、それでもやっぱり好きな人には可愛いとか綺麗って思われたい!!!

太いとか臭いは、嫌だ……。


そうだよ。下らないヤキモチ妬くより先に、もう少し自分を磨かなきゃ……。

平凡だってさ、何もしないよりは、頑張ったら少しは良くなるよね???


こんな私だけど、アーテル君に好きになって貰えるように、もうちょっとビジュアルとか女子力磨きも努力してみるべきなんじゃないかな……?


そ、そうだ……。


ヴィオレッタ様だって、あんなに美人で細いのに、下着までこだわって気合を入れてる。


み、みんな……実は陰で努力してるのかも?!?!


考えてみたら、今までの私って、全ての労力をお勉強に集約しすぎていたのでは???


この前のテストなんて酷すぎだ……。オムツまで覚悟してお勉強したり、お風呂も適当に済ませてアーテル君に臭いと思われたり、クマが酷すぎるのも指摘されんたんだっけ……。あんなボロボロになってお勉強してたの、私と王子様だけ……だよね?!?!


私はそれらを思い出し、アワアワとなった。


ちょっとソレ、女の子としてどうだったのかな?!


……どうやら成績は十分だったみたいだ。


ならば、学園にいられる、残りあと1年と少し……。


ジョーヌなりに綺麗になって、アーテル君に振り向いて貰いたい!!!……最後に……結婚とかそういうのとは別に、ちゃんと好きって気持ちは伝えたい……。


お嫁さんとして条件が合うからじゃなく……ジョーヌとして……お嫁さんにしてくれますか?……って……。


……。


よし!!!


私は体だけなく、お顔のマッサージも一生懸命にはじめた。





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アーテルの元婚約者、ヴィオレッタが主人公の前日譚はこちら↓↓↓
短編「悪役令嬢に転生したけど、心は入れ替えねーよ。だってヒロイン、マジムカつく!」
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