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授業開始と、魔力測定?!

学園での授業が始まった。


初日は、この国ではこの魔術学園にしかないという、巨大な魔石を使った魔力測定器での正式な魔力測定(15歳で受ける魔力判定は、魔力の有無と大体の量が分かる簡易版だそう。)が行われた。


この測定器を使うと、正確な魔力の保有量が分かるそうだ。その後、それによって魔力量が近い人と3〜4人組みで班を編成して、座学以外はこの班で一緒に学ぶという。


その測定が終わり、昼食後に班分けが発表になったのだが……。


「……は、は、は……。はわわわ……。」


「ジョーヌちゃん、思ったより上にいったね。まさか、ここまでとは僕も思って無かったよ……。」


ランチを終えて帰ってきた、私とアーテル君は、魔力ランキングとそれによる班分けが発表された掲示板の前で、唖然となってしまったのだ。


1. ()()()()()()()()()()

2. ヴァイス・アルブス

3. シーニー・ブラウ

     ……1班(3名)


4. ルージュ・ロッソ

5. ()()()()()()()()()

6. リュイ・ベルデ

     ……2班(3名)


7. ローザ・コルデホーザ

8. ヴィオレッタ・パールス

9. …

10. …

     ……3班(4名)


11.ラランジャ・オランジュ

12. …

13. …

     ……4班(3名)



「……女子ではトップの魔力かぁ……。さすがにこれは僕もびっくりだよ……。しかも、リュイを抜いてるとか……。ラランジャさんは余裕で抜くと思ってたけど……。船着場で君を捕獲できて、僕って本当にラッキーだったんだね。……それと同時に、15歳の魔力判定の時に、どんだけ泣いたんだろ?って、むしろそっちが気になってきたよ……。」


「い、いやね!私っ、私が魔力がすごくあったってのもビックリなんだけど、それよりさ、な、なんでアーテル君が1位なの???……お、王子様より魔力持ちって???普通は、王家の人が1番になるんだよね?」


だっ、だって……。


魔力測定の前に「魔力は、王家が1番高いから、だいたい王族がトップで、あとは爵位順になる感じかな?男性の方が何故か魔力が高くなるから、女の子はちょっと違うけどね。」って、コソッと教えてくれたじゃない?!


なのに、王子様、抜いてるんですけど、この人……。


「ん……。まあ、僕は王様の甥だしね?……それに、前にも言ったよね?僕は国王になっちゃうかもなんだよって。……ヴァイスが僕を嫌ってるのは、魔王うんぬんよりも、僕の方が魔力が多いからなんだ。自分の立場を脅かされそうだから、取り巻き3匹を引き連れて、僕に意地悪くしてるんだよ。子供の頃からね。面倒くさくて、ちょっと面白いだろ?……そんな事よりも、ジョーヌちゃんだよ!!!……いやぁ、男子でトップの魔力持ちの僕と、女子でトップの魔力持ちのジョーヌちゃん……僕たちってさ、子供にも期待が持てちゃうよね!!!」


アーテル君が嬉しそうに手を握ってくる。


「アーテル君、あのさ、私まだ子供は……。」


だからさぁ……。


婚約はしたけど、結婚するとは言ってないからね?!まして、子供ってさ……なに言ってんの、アーテル君……。


「……ん。分かってるよ。()()考えられないんだよね?!……確かに僕たちはまだ若いし、2人の時間を楽しんでからでも遅くないって僕も思う……!!!」


アーテル君はわざとらしく嬉しそうに、私を抱き寄せる。


……あっ!!!


もう、なんで?!


なんで、こう……こう引っかかっちゃうんだろ、私???

結婚どころか、子供の話まで出てきちゃったし……なんか、どんどん流されてってる気がするよ……。


「それにしても、僕はヴァイスとシーニーと同じ班なんて、最悪だなあ……。コソッと言うとさ、ああ見えて、ヴァイスはドSなんだよ。シーニーはヤンデレだろ?……凡庸な性格の僕としては、あの仲間になんかなりたくないんだよね?」


なんだろ……聞いて良かったのかな、この情報。

睨んでくるだけの、キラキラ王子様の本性とか知りたくなかった気がする……。


でもね、アーテル君、詐欺師も、ドS、ヤンデレに引けをとらないって私は思うよ……。どこが凡庸な性格、なんだろ……。


「……でも、ジョーヌちゃんが、思った以上に魔力があって、ルージュとリュイと同じ班になれたって言うのは、ちょっとホッとしたかな?!……魔力量的に、ローザやヴィオレッタあたりと同じかなって思ったから、ローザと同じ班になったらどうしようって、ちょっと心配してたんだよね……。」


「えっ?えっ???……な、何で?……ヴィオレッタ様じゃなくて、ローザ様と一緒だと心配なの???」


ローザ様は挨拶を返してくれたり、お優しい感じだったよね……?キツくて意地悪そうなヴィオレッタ様と同じ班なのが心配ってなら分かるけど……???


「ん……。あのさ、……ヴィオレッタって高飛車でツンツンなんだけど、実情はシーニーの誘惑に簡単にのっちゃうような、ただのアホっ子なんだよね?だから、見た目よりぜーんぜん怖くないんだよ?……厄介なのはローザだから、覚えといてね?」


……は、へ???

そ、そうなの???


「で、でも、唯一、ご挨拶も返してくれたよ???晩餐会の時も、ずーっとニコニコしてて……?」


「それが、ローザの手だからね?……ねえ、考えてもみなよ。本当にいい子なら、晩餐会でジョーヌちゃんが無視されてて、何も手を差し伸べないってある?……彼女も無邪気を装って、僕らにしか分からない話に花を咲かせてたろ???」


い、言われてみると……。

そ、そうだったかも……???


「ヴィオレッタがローザをライバル視するようになったのだって、ローザがヴィオレッタを苛つかせる天才だからだよ。……ムッとしてローザに喰ってかかるだろ?そうすると、人当たりが良くて、一見いい子なローザにヴィオレッタが意地悪をしてるようにしか見えないんだ。……すごーく巧妙で厄介な子なんだよ。」


「な、な、なにそれ。怖いんですけど……。でも、アーテル君は良く気付いたね?巧妙、なんでしょ???」


「……うーん。僕ってさ、なーんかさ、ローザが考えてる事がわかっちゃうんだよね?なんていうの?嘘っぽいな?とか、騙そうとししてるよね?とか、嵌める気なの?とかさ。……だから、僕はあの子って、なんか苦手なんだよねー……。」


な、なるほどねぇ……。同族嫌悪ってヤツ……?

詐欺師vs猫被り女って事なのかな???


「……とにかく、ローザは曲者だから、あの物腰の良さに迂闊に近づいちゃ、ダメだよ?それでなくてもジョーヌちゃんは騙されやすいし、嵌められ易いんだから、気をつけてね?!……ジョーヌちゃんが騙されるのは、僕だけにして?お願い!」


「は、はぁ……。」


えー……。そんなお願い、聞きたくないなぁ。

できたら誰からも騙されない方向で……。


……でも、ローザ様には注意しておいた方がいいかも。女版のアーテル君なら、簡単に手玉に取られちゃいそうだしね……。


「それはさておき、そろそろ教室に戻ろうか?午後からは班に分かれて自己紹介や、班ごとのボランティア活動決めがあるらしいから。」


「……う、うん……。」


……アーテル君は、ルージュ様とリュイ様と同じ班で良かったって思ってるみたいだけど、私はやっぱり怖いなぁ。

晩餐会で無視されたのもだけど、ルージュ様には船で拘束されて痛かったし……。


はぁ……。

なんだかすごく気が重いよ……。


「ねぇ、大丈夫だよジョーヌちゃん?2人には僕からも丁寧にお願いしてあげるから、ね?……だから、そんな顔しないで???……ヴァイスが絡まなきゃ、ただの脳筋バカと臆病者だから、ジョーヌちゃんをイジメたりしないと思うよ???さ……行こう。」


アーテル君にそう言われ、私達は教室にいる2人の元へと向かった。



「ねえ、ルージュ、リュイ。君たちは、僕のジョーヌちゃんと同じ班になる訳なんだけど、ジョーヌちゃんを大切に扱ってよね?」


「はぁ?」


リュイ様と机で談笑していたルージュ様が不愉快そうに顔を上げる。


……まあ、お願いしているって感じの言い方や態度ではないしね。


「……なんだよ、それ。」


「だからさ、ジョーヌちゃんには優しくしてよ。無視するとか、女々しい真似はヤメてねって話し。……あ、あと、ジョーヌちゃんは僕のだから、絶対に手出ししないでね!って言いに来たの。……以上。」


「はぁ?……そんなブス、相手にしねーし。」


「ジョーヌちゃんはブスじゃない……!!!」


アーテル君はムッとした様にルージュ様を睨み、ドンと机を叩く。


……え、そういうの怒ってくれるって、ちょっと嬉しい。


「……すっごく平凡な顔なだけだ!!!」


……。


さすがアーテル君。ブレないくらいに、誠実な男だ……。


「じゃぁ、そんな平凡な女、俺は相手にしねーよ。そもそも、関心がない!」

「うん。僕も……そんなに……その子に興味ないよ……。」


黙って聞いていたリュイ様も呆れた顔で答える。


ん……。ですよね……。

お2人とも、美形サンですもんね……。


「え、ダメ。……関心とか興味は持って。……同じ班だし、イザって時はジョーヌちゃんを助けなきゃなんだからね?……あ、脳筋と臆病者には無理かなぁ?君たち、気が利かなさそうだもんね?……バカとビビリじゃ、僕の大事な婚約者を預けるの、ほーんと不安。……せっかく頼みに来たけど、無駄足だったかも???」


「はぁっ?なんだよ、それ。頼む態度かよ?」

「ねえ……アーテル、それで頼んでる気なの?」


「当たり前だろ?……大切なジョーヌちゃんの為だから、自ら、お前らごときに頭を下げに来てやったんだよ?……もちろん、頼んでますよ?頭も下げる気ですし?」


アーテル君と2人は睨み合い、少しすると、不遜な態度のままでペコッと頭を軽く下げ、小さな声で「ジョーヌちゃんを、よろしくお願いします。」と付け加えた。


えーっと……これのどこが『僕からも丁寧に2人にお願いしてあげる』になるのだろう……???

むしろ、怒らせてしまいそうなんだけど……。


でも、2人は驚いた顔で少し固まっていた後に……。


「……ま、まあ。ムカつくアーテルが、軽くでも頭を下げたなら、面倒見てやるかな……。おい、お前、こっち来い。」


「確かに、アーテルが頭を下げるとこ見れたって、かなりいい気分かも。……僕も、班でくらいは仲良くしてもいいと思う……。」


……2人は態度を軟化させると、睨むのをやめ、私の席を用意してくれた。


えっと……???

アーテル君って……今までどんだけ態度が悪かったの???






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アーテルの元婚約者、ヴィオレッタが主人公の前日譚はこちら↓↓↓
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