化学実験と夏芽姉
「えー、今日は水素の燃焼実験のおさらいをしていこうと思う」
「中学校の時やりましたよ?」
「元素の状態変化を知るには一番手っ取り早いんだ、一応危ない実験だから注意しとけよ」
「はー……い!?」
樹の第六感に訴えるものがある、そう、皆さんは覚えているだろうか…一昨日の調理実習を
ボンッ!
ボンッ!
ボンッ!
爆発に次ぐ爆発、ただの調理実習でアレだ、化学の、よりによって水素の爆発実験などやれば…
速報!
県内私立高校で大規模な爆発!
死傷者多数、化学実習室で水素の爆発があった模様
〜〜〜
パシャッ!パシャ!
「あーフラッシュ焚かないで」
「校長先生!今回の件で高校側の杜撰な実習環境が公に出ましたがそのことに関しては如何お考えですか!?」
「今回亡くなった生徒とそのご家族にどんな思いをお持ちですか!?」
「えー…会見をこれで終了します」
パシャ!パシャ!
「逃げるんですか!?」
「会見はここまでです!!!」
〜〜〜
「えー、7月8日、お昼のニュースのお時間です」
「まず昨日福島県で起きた化学の実習中の爆発事故、これについて実験を担当していた大西教務員は事件性を否定しておりー」
〜〜〜
なんてことになりかねんぞ!!
化学の実習中に焼死とか洒落にならん!
「せ、先生、失敗しても死にませんよね…?」
「あぁ、よっぽどの間抜けやらない限り大丈夫だろうw」
先生、笑い事じゃない
「今日家に帰ったらうまい焼酎が待ってるんだよ楽しみだな〜」
「つまんねぇことでフラグ建てんなバカ」
「え?」
「いやナンデモナイデス」
ーーー
「じゃあみんな試験管の中に水素が詰まってる状態だから間違っても押さえてる指話すなよー」
ははは…まさかな、夏芽姉ぇも流石に
くしゅん!
え?
「あ…指離しちゃった…」
バカ野郎
「はーい、一旦実験中止空気の入れ替えして実験再開な、落ち着いて、間違っても火なんて起こすn」
シュボ
「あ…」
おい長内、お前か
「離れろ!!長内から離れろぉおおおおおおお!!」
お前それでも教師か
ほらみろ、お前が騒ぐから混乱して入り口に人が集中してるだろ
俺が逃げられないから早よどけ
「まってぇええええええ!!」
「ちょ!マッチ振り回すなバカ!そしてそのままこっち来んな!!」
ブンブンとまぁよく腕を振り回して元気な事…
そういや夏芽姉ぇはどうした
……
あいつ真っ先に逃げてんじゃん
人としてどうなんだあれ
ん?何か言ってるな
「い い の こ す こ と は あ る か」
縁起でもないこと言うな
「ふひひひひひひ!!!」
「薬丸君が恐怖で狂った!!」
「落ち着け雪さんいつも通りだ」
先生は何やってんだ
「どけ!!先生はこんな所で死んで良い人間じゃない!!」
ゲス野郎だな
「ふぇぇうぇえええええええええ」
長内、落ち着け
あぁ…もう本当にカオスだな
すると、騒ぎを聞きつけ隣の教室にいた女教師がやってくる
「すみません…元気なのは結構ですがもう少し静かに…!?」
彼女が見たもの、それは
「どけぇええええええ!!幸枝、今帰るぞおおおお!!」
「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「うぇええええええええん」
阿鼻叫喚の地獄である
「あの…大西先生?これは一体…」
「あ…佐川先生…水素の燃焼実験でですね」
〜〜〜
「なるほど、大体は理解しました、ですが最初に叫んでいた幸枝って誰です?」
「えっとその…妻…?」
「あなた結婚してなかったでしょ」
は?
「いや…その…これはですね」
「まさか…自分が逃げる為にそんな嘘を?」
こいつガチなクソ野郎だな
みろ、周りの目を
先生失望した、って顔だぞ
「ははははっは!!」
夏芽姉ぇは爆笑してるな
「全く…今回の事は校長に報告ですね…」
「それは勘弁をぉぉお…」
「いえ…流石に」
「靴でもなんでも舐めますんで…!」
お前プライド無いのか?
「先生…あの、生徒の前ですし…」
ちょっと違うけどよく言った佐川先生、あんたは立派な教sー
「保健室でやりましょう」
は?
「へ…?」
言い出しっぺはお前だろ大西
「まずは肥料撒きたての花壇を歩いた長靴から舐めてもらいましょうか」
「いやっちょ」
「さ、いきますよ〜」
あの先生めっちゃ生き生きしてたな
大西…お前は同情の余地がない
ーーー
「おい、聞いたか…大西先生クビになったらしい」
ヒソヒソ
「あぁ…なんでも人間としてクズな事やったとか…」
ヒソヒソ
「被害者は佐川先生らしいぞあの優しい佐川先生に何やったんだあの先生」
やっぱ教師の失態は噂になるか
でも3時間でここまで広まるか普通
というか俺は佐川先生の裏側を覗いたかも知れん
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