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入道の差す山道 、君の居た夏

突如我が家にやってきた悪魔(親戚)の手によって俺の日常生活が…!?

(いつき)?明日学校でしょ?早く弁当箱出しちゃってね」


「あーい」


「毎日ゲームばっかりやってるけど、成績は大丈夫?」


「あーい」


「全く…お母さん心配だわ…あそうそう、明日から夏芽ちゃんうちに泊まることになったから〜」


「あーい……え…?はぁあああああああああ!?」


毎年と変わらない夏、平凡な夏が母のこの言葉によって一気に流される


「あら…これには反応するのね」


「夏芽姉ぇが!?」


「そうよー、部屋は樹の部屋を貸してあげることになってるわ」


「なんで俺の部屋なんだよ」


「ベッドも無いし部屋の空きもないし」


「リビングにソファがあるだろ」


「あなた…女の子をそんな所で寝かせる気?」


「いやそんなことは…」


「それとも…」


母がニヤリと人の悪い笑みを浮かべながらこっちを見る


「夏芽ちゃんに悪戯しようとか考えてるんじゃないでしょうねぇ…?」


「馬鹿かおい」

「まぁ…!お母さんに向かって馬鹿だなんて…」


そんなにわざとらしくよろめいても何も起こらんぞ


「でもお母さん嬉しいわ…!反抗期なんて息子の成長を実感出来ちゃうじゃないの〜」


そう頬を赤らめながら腰をクネクネするな気持ち悪い


「…そうでもないよ……結衣(ゆい)さん」


「まだ……お母さんっては呼んでくれないの…?」


「…ごめん…」


「いいのよ〜…樹にはいつも変に気を使わせてるみたいだし…でも、いつでも甘えていいのよ…?」


「うん…ありがとう」


今の俺の家族は結衣さん一人だ


家族と言っても血は繋がってない、数年前に両親が交通事故で死んだ、その時天涯孤独の俺を引き取ってくれたのが今の母…結衣さんだ、


義理の家族とは言っても険悪な仲でもないし結衣さんも務めて明るく振る舞ってくれる


今年で25歳になるが腰までかかる長い髪と物憂げな瞳、柔らかな物腰で家族である自分から見ても贔屓なしの美人だ、遠縁の親戚らしいが記憶にある限り引き取って貰うまであった事はない


「さて、じゃあ晩ご飯にしよっか、用意できてるよ」


「ん…ありがとう」


「どう致しまして」


食卓を2人で向かい合うようにして囲む、サバの味噌煮の甘い匂いが漂い食欲を刺激する


ゴクリ


抑えきれずに溢れ出た生唾を飲み込む


いただきます、そう呟くと俺はサバの味噌煮を白米と共に掻っ込んだ


〜〜〜翌日〜〜〜


今日も暑い日が続き、熱中症の恐れがー


朝、朝食を取りながらニュースを見る、


あぁ、1日の始まりを感じる


セミたちは爆音を撒き散らし


窓から見える入道雲は7時だと言うのに天高く聳え立つ


そんな何気ない日常は…突然に崩された


長い髪を後ろで纏め、品の良い白いパジャマを着て降りてきた()()

によって


「ふぁ〜……よく寝た、結衣おばさんおはようございます、樹もおはよう〜」


「あ、夏芽ちゃんおはよう〜、でもおばさんじゃなくて結衣さんって呼んでね…?」


その笑顔が怖いぞ結衣さん、両手で握り締めたおたまがミシミシ言ってるからやめてやれ


「お〜う…おはよ…!?」


結衣さんの自然すぎる挨拶によって違和感が消されていたが、此奴、いつのまにうちに来ていた…!?


「な〜にこっち見てんのよ、なに、もしかして私に惚れちゃったとか〜?」


「そうじゃない…いつうちに来たんだ?」


「6時頃かな〜、東京からだからもうちょっと時間かかると思ってたんだけど…結構早めについちゃって」


「それはわかった…だけどなんで2階から降りてきたんだ?」


「えっとー…怒らないでね?」


「聞いてから決める」


「眠すぎて仕方なくてつい樹の隣で寝ちゃった☆」


「寝ちゃった☆じゃねぇよ」


全く…年頃の女の子とは思えんな


「あのなぁ、俺だったからよかったけど他の男に同じようなことをー」


したら、と続けようとしたが夏芽の言葉が被せられた


「樹以外に…やらないよ…?」


上目遣いで言われる、結局幼なじみだなんだ言っても女子だ、こうされると弱い


「もう……いい」


「ははははは!!顔真っ赤にしちゃって、本当に昔と変わらないわね〜、それに樹が無欲なんじゃなくて爆睡して気付かなかっただけでしょ」


「夏芽姉ぇ…」


「その呼び方も昔と変わってないわね〜、今じゃすっかり男の子っぽくなっちゃったけど、昔なんて「僕将来夏芽姉ぇと結婚する!!」なんて言ってたのに」


「やめろおおおおおおおおおおお!!」


あの、本当に、はい、お願いしますやめてください


「あらあら〜…樹ったらその頃から女誑しだったのね?夏芽ちゃん、後でその話お茶でも呑みながらゆっくり聞かせてね?」


「はーい」


詰んだ、うん、いろんな意味で詰んだ、さようなら、俺の穏やかな一夏よ…


「大変!樹が床の上で顔を覆いながらピクピクしてるわ!」


「あちゃー…こりゃ黒歴史を掘り下げすぎましたかね」


「死んだら庭の椿の下に埋めてください」


「そんな馬鹿なこと言う暇があるんだったら、早く準備しちゃいな〜、遅刻しちゃうよ」


「あ!本当だ!!今日朝会あるから早いんだった!」


この二人のせいで遅れる所だったジャマイカ


「私はすぐに準備出来ちゃうから、朝ごはん食べたら先行ってるわよ」


「あーい…」


ん?準備?先に行く…?


まさか…いやいやいや、流石にありえん、杞憂だろう…







だよね?



だがそんな淡い希望は打ち砕かれる


「今日から転入しました小鳥遊夏芽と申します、よろしくお願いします」


「よーし、今日から転入してきた小鳥遊夏芽さんだ仲良くしてくれ、席はそこの、樹という生徒の隣だ」


「はーい」


心なしか夏芽姉ぇが歩く速度が速く感じる


「よろしくね、樹君♪」


わざとらしく君付けされた瞬間、俺は理解した


これからの高校生活、ずっと夏芽姉のおもちゃにされる事をー


俺が通っている松代高校は一学年300人以上の割と多めの学校だ


その中のピンポイントでこの席を引き当てるとは…夏芽姉ぇ…恐るべし!!


ーーー


初日は何もなく終わった、さすがに学校の中では何も出来ないのだろう


てか…なんで幼馴染に再会してこんなビビってんだ俺…


さすがに夏芽姉ぇももう高2、低レベルな悪戯なんてするわけが無いよな…よし、今日は部活をサボって速く帰ろう…えっと…自転車はっと


あれ?なんか無いな…うわぁ…誰の自転車だよアレ…サドルが抜き取られてキュウリが刺さってるじゃん、電飾されてるし…よく先生に怒られないな…よく見たら俺と同じ自転車だし…


〜〜10分後〜〜


おかしい…無いぞ、盗まれたか?いや、まだ早い…登録番号で虱潰しに探せば……あった!!!


うん、確かにあった、そっかーこの自転車俺のと同じなんじゃなくて俺の自転車だったか〜


なんという事でしょう、匠の手によってサドルがキュウリになっているではありませんか、帰宅途中に脱水症状にならないようにという匠の心遣い…


いやサドル消えたんだけどぉおおおおおおおおおおおおおお!!!


what!?この際誰がやったかは見当が付く、だけど!!これどうやって帰る!?手押ししか無いよなぁ?


落ち着け、冷静になるんだ樹、そう…きっといい方法が…!


ーーー夜ーーー


ったく…結局手押しで帰ったけど無駄に時間かかるし通行人には笑われるしtwitterにあげられるわで最悪だったわ!


「あら〜、樹クン、お.か.え.り」


玄関に着くと夏芽姉ぇが迎えてくれた、事の張本人はわざとらしくクン付けし、人の悪い笑みを浮かべドアを開ける


「はぁ………ただ今」


でも、夏芽姉ぇの悪ふざけも、他の人にやられたらわからないけど…夏芽姉ぇにやられると怒る気になれないんだよな


少しだけ…ほんの少しだけだけど…こんな日々が続くのも悪くはないかと思ってしまいそうだ


明日は12時頃投稿の予定です、どうかよろしくお願いします

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