3章 シューリー国
「セイリュウ様面会の希望者が来ております」
ん?・・・ああ、俺の事か
リュウシではなくセイリュウと呼ばれて数日・・・まだまだ慣れずにたまに無視してしまう。住まいも王都に移し慣れない生活の中、四星拳として目まぐるしい毎日を送っていた
まさか自分がセイリュウとなるとは・・・ジンが候補に上がっていた時は自分の事のように誇らしく思っていたが・・・
着慣れない青の闘衣をなびかせて、部下の言葉に頷くと訪ねてきた者のいる場所へと向かった
城の入口に向かうとそこにはジャタンとホムラが居た
「久しぶりだな、リュウシ・・・いや、セイリュウと呼んだ方がいいか?」
「リュウシで構わん・・・で?2人揃って何用だ?結婚でもするのか?」
「バッ、バカ言うんじゃないよ!ワタシは今でもラカン一筋さ!・・・って、そんな事言わせんじゃないよ!」
「・・・じゃあ何の用だ?」
螺拳のジャタンと崩月拳のホムラ・・・異色の組み合わせだが雰囲気は何故か似ている・・・恋する乙女同士って事か?
「螺拳は俺・・・崩月拳はホムラだけになった。国から潰されはしなかったが、このままでは自然に・・・だからいっそうのこと新しい流派を作らないかって話になってな」
「螺拳と崩月拳で?」
「ああ・・・螺崩拳・・・気功を使えるホムラが当主となり、新たな拳法を開発する・・・本来なら完成してから立ち上げるべきなのだろうが、金に余裕がなくて・・・どうにか国王様に口添えしてもらえないかと・・・」
「螺崩拳か・・・別に完成してから流派を立ち上げる必要はないが・・・先の戦いの立ち位置的に申請しにくいってところか・・・」
螺拳は首謀者で崩月拳は螺拳に従っていた。螺拳はラカンの活躍により免罪、崩月拳も途中で改心した事により免罪されたが、死者も出ている為に世間がどう反応するか・・・
「罪は罪・・・俺は直接手を下してないがホムラはスザク様の隊員を1人殺っちまってる・・・新流派を立ち上げるなんて言える立場じゃねえがどうしても拳の道を捨てきれなくてな・・・」
「・・・国王様にはその旨伝えておく。許可が出るかは分からないが、な」
「恩に着る!・・・それと・・・」
「ん?」
「ア、アタルはどこに行ったんだ?」
「・・・恐らく大陸西のブルデン王国だろう。国王様から魔法道場の当主適任者を探せと言われたからな」
「・・・ブルデン王国・・・」
「まあ、その内戻って来るはずだ。アイリンが招待状を持ってアタルの元に向かったからな」
「招待状?」
「ああ。メイザーニクスでは結婚をすると結婚式なるものを開くらしい。その事を聞いた国王様が是非開催したいと仰って・・・国王様とジュラ様、ユンとヤクモの結婚式を大々的に挙げる。その結婚式にアタルを招待すると仰られてな・・・アイリンに白羽の矢が立った」
「なんで俺に・・・いや、それよりも1人で?」
「いや、護衛として3人・・・計4人でだ」
「ラコンを倒した女傑に3人の護衛が要るとは思えないが・・・しかしその護衛の人選になぜ俺が含まれない?声さえかけてくれれば新流派立ち上げなど二の次だったものを・・・」
「おい」
ホムラがジャタンを睨みつけるがジャタンは何処吹く風・・・恋する乙女は強いな
「人選は国王様の独断だ・・・その3人に見聞を広めて来いと伝えてたところを見ると何やら理由があるみたいだがな・・・俺には分からん」
「その3人って?」
「──────の3人だ」
「嘘だろ?国王様は何を考えて・・・」
「さあな・・・国王様のお考えは俺ら凡人には到底理解出来まい・・・まあ、その3人が一緒なら魔物などに後れを取ることはないだろう」
「いや、まあ、そうだけど・・・アイリンは大丈夫なのか?」
「・・・何とかなるだろう・・・」
そうとしか答えられなかった。アイリン本人が承諾したのだ・・・それに彼がいれば大丈夫だろう。ジャタン達はよろしく頼むと言い残し去って行き2人の後ろ姿を見届けていると伝令が近寄ってきた
「セイリュウ様、国王様がお呼びです」
「・・・また道場か?」
「は、はい・・・」
「分かった・・・すぐ向かう」
もしかして四星拳の仕事は国王様のお相手なのでは?と思う程よくお声がかかる・・・まあ天下六拳を決める試合も控えているので身体を動かせるのは有難いが、それにしても頻度が多い
ため息をつきながら踵を返すと国王様の待つ道場へと向かった──────




