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剣と魔法・・・時々超能力  作者: しう
気功の章
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2章 20 気功の旅

沈んでいく・・・それはいつものぬかるみの中ではなく、徹夜でゲームをした後の布団の中や二度寝の際のまどろみのような心地いい感覚


声がする




気配 気持ち 気付き 殺気・・・


あらゆる『気』と言う言葉が入った行動や状態は気功に関連している


今の君は僕がどこにいるか分からないだろう


でもこれならどうだい?


見えるだろ?


これが気配だ


通常の人の気配は微弱だ


今僕は強く発してるから気付く事が出来る


殺気なんかはその最たるもの


気功を知らない者でも強く発すれば相手に気付かせられる


さて、これで君は気配・・・つまり気功に気付く事が出来た


でもこれはあくまでも他人の気功


自分の気功に気付かなければ使えない


自分の気功に気付くには、微弱な状態から探らないといけない


それが気功を使える人と使えない人が生まれる要因


武術家は他人を探る事に長けている


殺気はもちろん、気配を探るのも上手い


他人の微弱な気配を感じられるのに自分の微弱な気配を感じられないのは原因があるから


その原因とは慣れ・・・他人の気配は自分のものと違う・・・だから気付ける


自分の気配は当然常に共にあるから気付く事が出来ないんだ


君が他の人に気功を流してもらって修得しようとしたものはあながち間違ってはいない


他人の気功を感じる事により、自分の気功に気付けるきっかけを得るから


でもそれはなかなか難しい


その方法で修得出来る人は気功が元々強い人なんだ


他人から気功を流され反発する自分の気功を感じる事により気付く


だけど気功が弱いと反発しても弱く、気付く間がない


だからその方法は気付ける人とそうでない人が生まれてしまう


じゃあどうやって気付くのか


一番簡単なのが気持ち


動く時に使うのは筋力


ではその筋力を使わずに右手を上げようとして見てごらん


もちろん手は上がらない


けど僕から見ると右手に気功が集中しているのが分かる


今は分からなくていい


僕を試してるのかい?


左手に変えても分かるよ


じゃあ次に移ろう


先程の他人の気功を流すやり方


そのやり方の別バージョン


武術家が使うのは外気功


僕が今から流すのは外気功ではなく、内気功


大丈夫・・・外気功のように攻撃しない


足で失礼するよ


そう、右足から徐々に上に上がっていってるのが僕の気功だ


暖かい?それは君がそう感じてるだけで熱はないよ


僕の気功と君の気功が触れる事により反応している


これが外気功なら危険と判断して反発、今回は内気功だから受け入れている


ではここであえて内気功に反発してみよう


ゆっくりとでいい・・・君が感じた僕の気功を追い出そうとするんだ


そうだ。なかなか上手いよ


さて、ここで外気功と内気功の違いを話そう


その違いは単純に気持ちだ


攻撃する気持ち、守ろうとする気持ちは外気功


逆に自分や他の誰かを癒そうとする気持ちが内気功


では実践してみよう


今から僕は君の体内に敵意を持った気功を流す


その気功は痛みを伴うだろう


恐れてはいけない


自分の気功を信じて跳ね返すんだ


方法はいくつかある


口で細かく説明すると理解が遅くなるからイメージで感じてくれ


集中 囲う 吸収 いなす 反発・・・


さあ行くよ




大丈夫・・・そうだ・・・なるほど。君は流拳を学んだのだったかな?いなし方がとても上手い


集中は体内にある気功を相手の気功よりも高めて対抗する手段


囲うは相手の気功を文字通り囲みそのまま体外に運ぶ手段


吸収は難しいと思う。相手の気功を自分の気功として取り込む手段


いなすは相手の気功を導き体外に流す手段


反発は集中と違って入ってきた気功をとにかく全力で押し返す手段


え?囲みといなすの違いが分からないって?


そうだな・・・例えるなら井戸の中の水を、器を使って移動させるか手ですくって移動させるかの違いかな?


うん、そうだね。普通は器を使うだろうね


でもその器が運んでいる途中で壊れてしまったらどうだろう


水は全て零れてその場はビショビショだよね


もし体内で同じ事が起こったらどうだろうか?


右肩より体内に入った気功を囲んで運んでいる途中・・・心臓付近で破裂したら・・・右肩だけの損傷のはずが心臓を破壊してしまう事になりかねない


すぐに体外に出してしまえばいいって?それもそうだね


でも戦っている最中に連続で叩き込まれたらそうも言ってられない


まあこれは実践でやってみるしかないかもね


囲みは危険を伴う・・・それだけは覚えといてくれたまえ


全てを使いこなす必要はないと思うし、これだけが全てじゃない・・・この後は自分で見つけて欲しい


最後に右手に集中してごらん


最初よりも強く大きい気功を練れるはずだよ


そう・・・自分でも感じるだろ?そこには気持ちは乗ってるかい?


ただ強く大きく練れても意味はなさないよ


相手を倒したいなら、相手の攻撃を防ぎたいなら、相手を癒したいならその気持ちを乗せるんだ




本当はこれは教えてはいけないのかもしれない・・・けど君は僕とユンの為に涙ながらに語ってくれた


その恩に報いたい


ユンと手合わせしたと言ったね?


その時に使ったかどうか分からないが、ユンが物凄い速度で移動したのを見てないかい


うん、それだね。それは気功の一つの使い方・・・でもこれはかなり危険を伴う・・・使う相手にね


君の想像通りユンは足に気功を集中させた


そのまま移動しても普段より速くなる程度・・・しかし更に速くなる方法がある


それは気功を爆発させる事


ああ、大丈夫


気持ち・・・いわば方向性を持たせてあげれば気功は決して自らの肉体に影響しない


試しにやってみるかい?


今度は左手に集中してみようか


そう・・・それを爆発・・・そうだな何と説明すればいいか・・・え?爆発は分かるって?・・・それなら話が早い・・・その場で爆発させてみるといいよ




うん・・・凄いね。ユンは説明しても理解するのに時間がかかったけど・・・今筋力を使わずに左手が跳ね上がったのは気功の力だよ


その力を利用してユンは移動したんだ


え?なぜここまで教えてくれるのかだって?


それは君の為でもあるし僕の為でもあるからだよ


君が・・・僕とユンの未来を切り開いてくれるから


お願いだ・・・僕に生きてる価値を与えてくれ


君は僕の希望だ


だから・・・共に底から這い上がろう


暗い暗い底にいた僕を・・・引き上げてくれた君ならば──────



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