表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法・・・時々超能力  作者: しう
気功の章
55/447

2章 14 ケイズ村へ

「脇が甘い!絞るように繰り出せ!」


見た目はオカマ、ボイスはいぶし銀のジャタンに指導されてる


なんでこんな事に・・・それはアイリン達の前を去った直後に起きた



螺拳道場を後にして俺は歩き始めた。目指す場所は決まっているけど、如何せん地理に疎い・・・適当に歩いていると後ろから声をかけられる。振り向くとそこには濃い2人組。ラカンとジャタン


仕返しにでも来たのかと思いきやそうではないらしく、ラカンは謎だらけの俺に興味を持ったらしく、ジャタンは行き場を失った責任を取れ、との事だった。知らんがな


ジャタン曰くラカンが他人に興味を持つのは珍しいと言っていたが、そう言われても嬉しくもなんともない。ラカンにとって強さの欠片も感じないのにガンズを圧倒したのが理解出来ないんだと


追い払っても頑として聞かず無視して歩いていたら言われた


「あんた道に迷ってるだろ?」


図星を突かれて言葉を失ってしまった


結局道案内がてら共に行動する事になり今に至る



んで、もう日課になった早朝の型をやっていると横からジャタンが口を出して来た。なんでも俺の型はダメダメらしい・・・螺拳が何言ってんだ、これは流拳だって言ったら見様見真似で俺がやってた型を軽くやりやがる・・・しかも俺より数段上手く・・・そして一言「ダサッ」と言われてムキになり・・・何故かジャタンに教わる事に・・・しかも螺拳を


「ほら!螺旋を描く!あー、そうじゃない!全身を使え!バカかあんた!本当に回転してどうする!?頭を使え!」


コイツ・・・好き勝手言いやがって・・・


今の俺は流拳の型をやりながら、螺拳の真髄を叩き込まれ絶賛混乱中・・・ラカンは腕を組んで見てるだけだし、何なのこいつら


日課が終わるとまた歩き出す


徐々に家が少なくなってくると村の境界が近いらしい


田んぼが広がりのどかな風景に心を癒され、後ろを振り向き濃い2人を見てゲンナリ・・・そんなこんなで珍道中は続いていた


と、ある時ここが異世界って事を思い出させる相手に遭遇


見た目・・・パンダなやつが現れた


もう本当にパンダっぽい・・・けどパンダじゃない・・・なんつーんだろ・・・ちょっと残念な・・・可愛さの欠けらも無いマッチョ偽パンダ?


俺らの前に現れたと思ったら軽くステップを踏んで威嚇する。もうこれ中身人間だろっと、思っていたら両手を広げて襲いかかって来た


「このっ!・・・え?」


飛び退いた俺と入れ替わるようにラカンが懐に飛び込み腹部に拳を叩き込む・・・拳を引き抜くとポッカリと穴が空き向こうの景色がこんにちは・・・もうなんか・・・怖いわ!


「何故退く?これぐらい余裕だろ?」


余裕じゃないって!念動力はなるべく使いたくないんだ・・・色々聞かれたら面倒だし。だからあくまでも気功で押し通す為にも使い方を模索中・・・まあ、こいつらにはガンズの時や螺拳の門下生達に使ったのを見られてるから今更なんだけどね


「お、俺が相手する程でもないかなーと」


「・・・そうだな」


「不思議だな・・・鋼拳ダルスの一番弟子を名乗った割には鋼拳を使っている様子もなく、流拳は下手くそ・・・かと思えば威空拳のような技を使う・・・あんた何者だ?」


蒸し返すなよ黒歴史を!やっぱり名乗らなきゃ良かった・・・一番弟子なんて・・・それより・・・


「威空拳?」


「まさか知らないのか?天下六拳の壱の拳である威空拳を」


天下六拳?何だそのラーメン屋みたいな感じは


「おいおい、どこの田舎に住んでたんだ?メイザーニクス出身でも・・・いや、だからこそ知ってないとおかしいだろ・・・威空拳・・・気功を飛ばす事の出来る流派でかつては大陸全土にその名を轟かせた流派だぞ?」


知らんがな。こちとら日本生まれの日本育ちだ


それからジャタンはパンダっぽい魔物を調理しながら色々と教えてくれた



天下六拳



武術大国シューリーにおいて特に優れた六つの流派をそう呼ぶ


壱の拳 威空拳


弐の拳 仁王拳


参の拳 斬武拳


肆の拳 指拳


伍の拳 鋼拳


陸の拳 流拳


へえー、あれ?鋼拳?


「ふ、ふーん・・・そ、そんなの知ってたし・・・」


「・・・怪しいものだ」


「そ、そう言えばお前らの螺拳は?雑魚か?」


「あんたねえ!・・・確かに負けはしたが、本家が出れば流拳なんて・・・まあ、今更言っても仕方ない。負けは負け・・・本当なら圧倒的な勝利を見せつけて流拳の代わりに天下六拳を名乗る予定だったんだけど・・・」


一瞬素が出たぞ?


なるほどね・・・流拳に取って代わって天下六拳になろうとして喧嘩ふっかけたのか。でも本家とか言ってるから戦力温存してたのか?それで負けたら世話ないって話だが・・・ナハトとか強いのかな・・・ヤダなぁ、目付けられたら・・・


「心配しなくても報復とかはしない。あれは父の独断でやった事・・・弟だからと言って分家にされて見返してやろうと仕組んだものだ。本家からは監視としてアイネとクライネを付けられてやるなら全勝しろと言われて・・・結果このザマだ」


アイネとクライネ・・・あー、あの棄権した双子か・・・なるほど・・・元からあの二人は棄権するつもりだったと・・・分家の3人が1人でも負けると敗北・・・だからメンバー表を聞き出して勝てるようにメンバーを組み替えた・・・ジンが生きていたら、ジン、リュウシ、アイリンと揃うから負ける可能が高くなる・・・だから・・・あー、くそっ


「本家は天下六拳に興味はない。と言っても敬ってる感じではなく、天下六拳自体を見下している。だから流拳にやられた報復をするよりも、本家は関係なく分家が勝手にやった事と切り捨てるだろう。報復すれば否が応でも目立つからな」


「なるほどね・・・そう言えばナハトがラカンは連れて帰るって言ってたけど本家とやらに帰らなくて良いのか?」


「このまま帰っても埋もれるだけだ・・・帰るなら勝たねばならない」


「誰に?」


「・・・螺拳現当主ラモン」


「へえー・・・そう。って、もしかして勝てると思えるまで着いてくる気か!?」


「・・・」


この野郎・・・都合が悪くなったら無口キャラ演じやがって・・・




「そろそろケイズ村だ」


パンダっぽい魔物を食べた後、再び歩き始めるとジャタンが言った、それにしてもパンダっぽい魔物・・・大変美味しゅうございました。買っておいた塩だけで十分なお味・・・クセもなく肉汁たっぷり・・・また出ないかな


しばらくのどかな風景が続き、進むと人がちらほら見えてくる。ハモト村と同じで中心に行くにつれて栄えてるみたいだな。のどかな風景から徐々に建物も増えてきた


更に進むと景色は一変、人は行き交い、店が立ち並ぶ繁華街に突入する。そう言えばハモト村で螺拳道場を襲撃した時は日も落ちてたし、通り過ぎただけだったからよく見てなかったが、日中はこんな感じだったのかな?立ち話をしてる人達や走り回る子供達・・・昔の絵で見たような光景が広がっていた


「宿屋でも探すか・・・」


あまり野宿はしたくない・・・怖いんだよ・・・色々な意味で・・・


「どうせならこの町の道場を訪ねたらどうだ?見知った顔だ・・・いい宿屋を紹介してくれるやも知れないぞ?」


見知った顔?誰?


「知らないのか?この町の道場は指拳派だ」


指拳・・・おおっ!ユンさん!行こう行こう!目の保養になるし!


ちょっとキツめだが美人のユン。試合を終えた後、確か来てくれみたいな事言ってたような・・・テンション上がりウキウキ気分で道場を目指した



流拳派とは違い繁華街のど真ん中にデンと建つ指拳道場


見上げて思わず喉を鳴らすと中を覗いた


庭で修行する指拳門下生達・・・指に重りを付けてる人、指立て伏せをする人、指1本で逆立ちする人・・・指・指・指・・・想像以上に指だった


「・・・何か?」


俺らに気付いた1人が声をかけてきた


ちょっと不審がってる・・・そりゃあそうか・・・俺は流拳派の白の道着で2人は螺拳派の黒の道着・・・傍から見れば何だこの連中ってなるわな


「ユンさん居ます?」


あれ?更に表情が険しく・・・なぜ・・・


「何の用で?」


何の用って・・・うーん、確か


「指導?」


あらら?何か更に険しく・・・てか、親の仇でも見るような目で俺を見てるぞ?


「ほう・・・皆集まれ!どうやらこの人達が我らに指導してくれるようだぞ!」


え?いやだってユンさんが・・・助けを求め後ろを振り返るとジャタンは顔に手を当てて笑いを堪えてた・・・ラカンは無表情だが・・・


「俺まずいこと言った?」


「ぷっくっ・・・他流派が突然来て指導してやるって言ったら・・・殴り込みと思うの当然でしょ?何喧嘩売ってんのあんた」


知らんがな!指導してくれって言ったのはユンさんだぞ!?


ワラワラと集まる指拳の門下生達・・・ちょっとちょっと・・・オアシスを求めてやって来たのに地獄のような光景だ。修行途中の為か汗をかいていて熱気がすごい・・・湿度何パーセントだよ!


「何をしている?」


こ、この声は!?


門下生達も声に反応して左右に分かれる。そこで登場は待望のユン。地獄に仏とは正にこの事を言うのだろう


「君は・・・アタル?・・・は?」


名前を呼ばれてウンウン頷く。だけど後ろの2人を見て言葉を失ってしまった


「あの・・・これには事情がありまして・・・」


「なぜ螺拳派の2人が!?どういう事だ・・・まさか今度はウチを狙って!?」


いやいやそんなつもりは毛頭ございません・・・ほら、君達も何か言いなさい


「こんな弱小道場狙っても仕方ないだろ・・・何言ってんだオバサン」


コラー!ジャタン!舌引っこ抜くぞ!


「オバッ・・・貴様・・・尻の穴に指突っ込んでやろうかコラ!」


いや、それむしろご褒美!


「やってみな!吠え面かかせてやるよ!」


吠え面かくのは君でしょうが!ヤダもうこの人・・・


「まあまあ・・・ユンさん、俺達は別に争いに来た訳では・・・その指導に・・・」


「指導だと!?この指拳のユンにどんなエロい指導する気だコラ!」


ええ!?だってあの時・・・てか、なぜエロが付く!?審判してた時と全然違くないかこの人・・・


「何を騒いでいる?」


ここで救いの手が!落ち着いた雰囲気のおっちゃんがやって来た。これでまともに話せる・・・


「父上!螺拳派が道場破りに!」


「ほう」


ほう、じゃねえ!本当にもうヤダ・・・何なのこいつら・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ