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剣と魔法・・・時々超能力  作者: しう
剣の章
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4章 68 不穏な空気

「誰が勇者だ誰が」


リーシャルの演説が終わり俺を含む四大組合長とヨドムは会議室に集まっていた。そこでリーシャルに問い詰めると女王スマイルで返してきやがる


「魔王を倒そうとする勇気ある者・・・略して勇者でしょ?」


「略すな略すな・・・それに勇気なんてこれっぽっちもないから!逃げ出したい気持ちでいっぱいだよ常に!」


「そう声を荒らげるなアタル。姫さ・・・女王陛下に失礼だぞ」


「・・・お前らグルだろ?フェリナスがリーシャルに野次る奴を見逃すはずがない」


「当然だ・・・あ、いや女王陛下の国民の声を真摯に受け止める姿を見習ってだな・・・」


「いいのよフェリナス・・・アタルの言う通り声を上げたのは私が命じた者・・・どのタイミングでどのような言葉かも全て決めていたの。上手くいったでしょ?」


だと思ったよ。リーシャル命のフェリナスが黙ってる訳ないし警ら隊も全く動かなかった。つまりリーシャルとしては暴動寸前になる事も最後に万歳されるのも予定通りだったって訳だ


「でも勇者が死んだって言って良かったのか?絶望する奴も出てくるぞ?」


「知らずにいて他から知って絶望するよりはマシでしょ?それに新たな勇者もいることだし」


「だから俺は・・・」


「いい加減諦めたまーえアタール。チミは魔王を倒すのであろう?呼び方がそんなに気になるかーい?」


「うるせえ黙ってろヒゲ!」


「ヒゲ・・・」


「ああそう言えばお母様があなたを見てヒゲ以外は及第点と言ってましたよ?」


「・・・ヒゲ・・・剃るか・・・」


「よせよせレジー・・・ファーミラ様のヒゲ以外及第点と言うのはお前の考えているのと逆だ。ヒゲは合格点で他は及第点・・・そう言いたかったのだろう」


いやそれはないだろ!てかどうでもいいし!


「なっ!」


「ファーミラ様の旦那様・・・つまり姫さ・・・女王陛下のお父様もヒゲを蓄えていた・・・レジーと同じような、な」


「なんと!」


「まあ!私も幼い時に父を亡くして知らなかったけどそんな事が・・・」


超どうでもいい。てかもしかしてリーシャルはレジーのヒゲに惚れたのか?潜在的に父親の姿を重ねて・・・うん、やっぱりどうでもいい


「とにかく!俺は勇者なんかとして動くのではなく俺として勝手に動く。9人の使徒を集めてるのも強い奴が必要だったからだ。神輿にゃならねえぞ」


「みこし?ええ構わないわ。アタルはアタルで好きなように・・・私達はただ道を切り開くだけ・・・その道を使おうが使うまいがアタル次第」


「・・・それなら今まで通り国を守ってた方がいいんじゃないか?」


「もちろん護りも固めます。スヴェンとチラスに残ってもらいますし・・・本当はヨドムにも街の守護をお願いしたかったのですが・・・」


「申し訳御座いません国王陛下・・・私は罪を犯した者・・・この身を賭して残りの人生を魔王討伐に注ぎたいと思います」


何言ってんだか・・・どうせアーニャ達が目的だろ?・・・まあ変な事しようとしてもアーニャ達の方が強いから何とかなるか。それよりも・・・


「スヴェンはともかくチラスで大丈夫なのか?魔物は凶暴化し動物や人が襲って来るようになるとてもじゃないけど戦力になるとは思えないけど・・・」


「『魔導』の組合員は連れて行かないから戦力的には充分足りるはず・・・それに貴方が思っているよりもチラスは優秀よ・・・口は悪いけど・・・」


優秀?チラスがねえ・・・


「我輩達の心配よりもチミはどうなんだーい?魔王に勝てるのかーい?」


うっ・・・確かに。魔王はおろか手下にも勝てない始末・・・しかも大体最初の方に出て来る敵って『あやつは我らの中でも最弱』みたいな事を言われるやつだし・・・


「勝つ・・・よ?」


「なぜ疑問形なんだ情けない。姫さ・・・女王陛下の期待に応えサクッと倒してこい」


コイツ・・・さっきから『姫さ・・・』ってわざと言ってないか?俺だってサクッと倒したいわ!


「そっちはどうするつもりなんだ?魔法部隊とエルフでおててつないで特攻か?」


「そうです」


「うおい!死ぬ気かよ」


「どの道貴方が勝てなければ人類は滅亡します。なればたとえ少しだとしても勝てるようにするには我々は命を懸けるしかないのです」


冗談で言ってる顔じゃない・・・リーシャルは本気でそう思ってる・・・そして行動に移そうとしてる・・・なぜそこまで・・・


「ただ無駄死にはしません。その為にまずテンナクス国に協力要請を出します。更にシューリー国にも。挟撃し道を作りますのでどうか大陸を・・・救って下さい」


「俺はただの・・・アタルだ。勇者じゃない・・・なぜそこまで俺に期待を寄せるんだ?まさか演説で言っていた神に言われたからって嘘を突き通す為にって訳じゃないだろ?」


「あら?信じてないの?私は確かに言われたわ・・・アタルが最後の希望だって・・・神じゃなくて私にとって神に近しい存在にだけどね」


「・・・ファーミラ・・・か?」


「そうよ」


ファーミラがなぜそんな事を・・・ファーミラに手も足も出なかった俺になんで・・・リーシャルに理由を聞いても細かい事まで話してないようだ。勘とかその類かな


「勝手に押し付けて昇天するなと言っといてくれ。それとシューリーへの伝言は俺が伝えとく。ちょうどシューリーに向かおうと思ってたからな」


「何しに?」


「決まってるだろ?魔王を倒す為さ」





リーシャルから伝言を預かり部屋を出ると殴りたくなる顔がそこに立っていた


「グハッ!・・・おい主!いきなり何をする!」


「殴った・・・てか今の今まで一体どこに居た?ベクトル」


テンナクスから共にブルデンにやってきたベクトル・・・ファーミラと戦い始めてから行方をくらませてやがった。そんなベクトルが平然と俺の前に現れたら殴るしかない、うん


「えっと・・・見回りに・・・」


「・・・そんなに焼き鳥願望があるとは思わなかったよ・・・手羽先って知ってるか?」


「待て待て!主・・・あの場にいても我は何も出来なかった!咄嗟の判断で言われてもいない見回りに行くなんて鳥類稀に見る好判断だと・・・」


「・・・なるほど・・・確かにな・・・でもすぐに戻って来なかったのは後ろめたさがあったからじゃないなのか?」


「やめろ!そのナイス笑顔!・・・ほんの少しだけ・・・グバァ!」


「まったく・・・ちょっとブルデンを離れるからここの守備頼んだぞ・・・間違ってもアーニャの所には・・・行くなよ?」


俺に蹴られたベクトルは立ち上がりながら首を傾げる


「・・・それはフラグってやつか?」


「ちげえよ!・・・頼んだぞ」


「・・・頼まれた」


ったく・・・4人の中でなんでコイツだけ・・・まあ最後まで従者になるの嫌がってたけど・・・ん?


「何か言ったか?」


「いや・・・空耳であろう」


何か隠してる?・・・でもアーニャは決して裏切らないって言ったし・・・気にしないでおこう。とにかく今はシューリーに行かないと・・・


そう言えばフェナスはまだ目覚めてないらしい。傷は完全に癒えているはずだと言うからもしかしたらフェナスの魂も闇と一緒に・・・考えるのはよそう・・・今は魔王を倒す事だけに集中だ


建物を出ると俺はブルデンの住民に囲まれる前に空を飛びシューリー国を目指した。後10日・・・被害が大きくなる前に決着をつけてやる・・・待ってろ魔王・・・そして闇王!


・・・あれ?そう言えば風の精霊も消えちまったのか?──────






「ちょっと!貴女いつまで乗ってんのよ!空飛べるんでしょ!?」


「はあ?元々私の馬なのにあんたこそ何言ってんだよ!降りて走れ!それが水を噴射して飛べ!」


シャレンギートが突然シューリー国に戻ると言い出しランラは仕方なくチャチャの馬に乗りテンナクス国を目指していた。しかし馬は2人分の荷重のせいで馬の速度は落ち2人のイライラは募るばかりであった


ただ2人の苛立ちは決して馬の速度だけではない


「チッ・・・()()来たよ!」


「・・・ハア・・・そろそろ貴女がやりなさいよ」


「私は手綱握ってるだろうが!いいからさっさと蹴散らせ!」


「・・・ハア・・・凍てつく世界:アイスキャノン」


ランラが空に凍てつく世界を作るとそこから青白い光が幾つも出現し魔物を貫いた


メイザーニクス共和国に入ってからというもの魔物の襲撃は増えるばかり・・・それもシャドウではなく普段森の奥でしか見かけない魔物が街道をひた走るランラ達に襲いかかって来ていた


「・・・妙ね・・・」


「何が?」


「ゴブリンは臆病者よ・・・確実に勝てると思うか自分達の陣地を荒らされるかしないと出て来ない訳・・・それが五体だけでしかも走る馬に襲いかかろうとするなんて・・・」


「ハッ、どうせ私達がか弱い乙女に見えたんだろうよ」


「私はともかく貴女が乙女って・・・オカメの間違いじゃない?」


「・・・オカ・・・喧嘩売ってんのか?」


「事実を述べただけよ。あっ、それだとリュウシさんがオカメに惚れた事になるから訂正しとくわ」


「やめろ!あの男の話題を出すな!寒気がするわ!」


「あら?リュウシさん素敵じゃない・・・強いし見た目もそこそこ・・・それにシューリー国の四星拳って言ったら・・・」


「あんた理由を聞いてないからそんな事言えるんだ!幼い子が好きなんだぞ!?・・・変態じゃないか・・・」


「趣味趣向は人それぞれな訳」


「ならあんたにやるよ」


「・・・私は大人の魅力溢れる女性だから彼の趣向から外れる訳」


「変わんねえよ!クソが・・・それよりその『凍てつく世界』ってのは何なんだよ」


「何って・・・水の精霊を集めて陣を作って・・・って貴女炎の精霊王でしょ!?ガノス様に聞きなさいよ」


「答えてくれないんだよ・・・そうか・・・だから強力な魔法が唱えられないのか・・・」


水の『凍てつく世界』や風の『荒ぶる世界』は結界のようにも使用可能だが本来の役割は大魔法を使う為の準備に用いられる。気功の溜めにも似た力なのだが精霊王以外の魔法使いには使用する事は出来なかったが精霊王であるチャチャも未だに使用出来ていなかった


「それさえ使えればあんな奴に・・・」


「・・・チャチャ・・・」


旧炎の精霊王クラッタ・・・リュウシやランラが助けに来なければ確実に負けていた。その悔しさが込み上げてきてチャチャは唇を噛む


「いずれその場所まで辿り着くか・・・だけど()()()じゃ遅いんだよ・・・ガノス!」


ランラには聞こえないがチャチャは火の精霊ヴォグ=ガノスと話しているようで邪魔すまいとランラは景色を見ていると街道のすぐそばにある川のほとりにいくつものテントが並んでいるのを見つける


「・・・避難民か・・・ん?あれは・・・」


奈落の出現により近辺の町の住民は別の町に避難していた。しかし受け入れるにも限度があり溢れた者達は外にテントを張り野営しているのだがそこでランラは見知った顔を発見する


「確かアタルの・・・」


「なんだ?」


「いや、アタルの知り合いがあそこに居たの・・・でも知り合いって程でもないし早くテンナクス国に行かないといけないし・・・このまま通り過ぎて大丈夫」


「元から止まるつもりはないよ・・・強くならなきゃ・・・飛ばすよ!しっかり掴まってな!」


チャチャが足で馬の腹を叩くと馬は速度を上げた。ランラは帽子が飛ばされないように手で押さえると振り返り野営地を見た


先程のゴブリンのようにおかしな動きをする魔物が増えている。加えて野営地は町のように壁もなくいつ魔物に襲われるか分からない状態だ。心配で手を差し伸べたくなるがグッと我慢して前を見る


今自分が何を成すべきか改めて思い返しながら──────

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