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異世界で幸せを手に入れました。  作者: 諏訪弘
プロローグ
31/40

属性の所持数とスキルの系統

 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽トシ視点


【レベル】31

【HP】35000【MP】20000


 攻撃力 A ☆☆☆★★★★★★★

  魔力 A ☆★★★★★★★★★

 防御力 A ☆☆☆☆★★★★★★

 魔耐性 A ☆★★★★★★★★★

  速度 A ☆☆★★★★★★★★

  幸運 A ☆★★★★★★★★★


 習得&再習得 フリー


 薬草採集 F ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★


 剣戦技  A ☆☆☆★★★★★★★

 突剣戦技 A ☆★★★★★★★★★


 視力強化 A ☆★★★★★★★★★

 

 ≪称号≫


 一応勇者※非表示※

 同業者の命を救いし者


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


「ドルの称号に非表示状態ですが一応勇者(・・・・)が増えたみたいです」


「勇者は勇者でも一応なのね」


「そのようです」


 ローザと私は、エレーナさんとドルを見送ると、冒険者ギルドベリョーザ支部の貴賓室へ移動し、ギルドの担当者を待っていた。


「あの子が生まれた日に喋ってた事は、創造神様からの本物の啓示なのね」


「生まれて早々に喋り出し、記憶は曖昧な感じの様でしたが知識や知恵がありました。普通の子供でない事は確かです」


「それは当然よ。だって、トシと私の自慢の息子ですもの」


「間違い無く自慢の息子だな」



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「今朝確認した時には、レベル1だったのですが、先程確認した時には31まで一気に上がっていました。驚きです」


「一度に30も上がったのね」


「しかも、HPは35000、MPは20000です。物凄い上昇です」


「1レベルでHPが1000、MP500は凄いわね」


一応(・・)らしいですが……」


「称号勇者は伊達では無いって事ね」


『トントン』


「ドゥ―シャー様。ローザ王女様。お待たせ致しました。入室しても宜しいでしょうか」


 男性の声だ。冒険者ギルドベリョーザ支部のギルドマスターの声だったかな。


「どうぞ」



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽ドル視点


 報告や事後処理を、父上と母上に任せてしまって良かったのだろうか。俺の薬草採集クエストまで頼んでしまった……。


「ドル様。悩み事ですか」


「薬草採集の報告まで任せてしまったので良かったのかなと不安になりまして……」


「ドゥ―シャー様ですよ何よりも安心じゃないですか」


「そ、そうですよね」


 俺の考え過ぎかな。


 エレーナさんと俺は、9時の門の近くにあるエレーナさんの自宅まで、たわい無いお喋りをしながら歩いて移動した。


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


「ここが、私の家兼製造所。工房です」


 エレーナさんの自宅は、9時の門の大通りに面した3階建ての建物の最上階だ。1階と2階の住人とは話をした事も無いそうだ。


「広いですね」


「下の階は3世帯ずつらしいですが、3階は元々大家さんの御家族が住まわれていたそうで丸々全部何です」


「ルシミール王国第二の都市ベリョーザの大通りに面した場所にこれだけの広さを……。HP回復薬って意外に儲けがありそうです」


「収入の7割8割が家賃に消えてしまう月もありますね。ヘヘヘェ」


「あらま」


「さてと、それでは素材調合で回復薬の製造とお茶の加工を始めましょう」


「おっ、いよいよですね。お願いします」



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽トシ視点


「すると、あのプリーズラク(死霊)カーネランダージョ(野犬)の群れは、禁断の森①の西側に張られた州兵の防衛ラインを突破。街道に沿って北上しベリョーザの西側周辺に群れていたという事でしょうか」


「7時の門より確実に西側に群れがあった事から、セーミャの森に比較的近い場所で狩りをしながら北上していたと考えられます」


「なるほど。東高原とセーミャの森に規模の小さな群れが残ってる可能性がありますな。ランクB以上のパーティーで討伐隊を組織し安全を確保したいと思います」


「それが良いと思います。東高原の騎士団と州兵には、御母様にお願いし索敵討伐しながら帰還する様に命令を出して頂きます」


「ありがとうございます」


「私達は、禁断の森①の奥を調査してみるつもりです」


「森の奥をですか……」


「私はドゥ―シャーです。しかも歴史上上位のドゥ―シャーらしいです。それに、息子は一応らしいですが勇者の称号を持っています。これ非公式でお願いします。ステータスの状態も非表示になってましたので」


「ゆ、勇者の称号ですかっ」


「まだ一応らしいので、創造神様から頂いた啓示に従い正しく導くつもりです」


「啓示ですか……」


「ドゥ―シャーだと何かと想定外の事が起きるみたいでして」


「なるほど……。おっと、ギルドカードをお返しします。まずは、御子息ドル様のギルドカードです。討伐履歴を確認させて頂いた時には驚きましたが、勇者の称号をお持ちだったとは、納得しました。それと、入金は済ませてあります」


「ありがとう」


 私は、ドルのギルドカードを左袖に放り投げた。袖から小物を出し入れする姿に違和感を覚える者は少ない。


「そして、御二人のギルドカードです。ローザ王女様は討伐履歴に更新はありませんでした。ドゥ―シャー様は、ポルーション(汚染)ストレイドッグ(野犬)の群れが合流し合計244匹を討伐なされましたので、討伐履歴には危険度☆4のプリーズラク(死霊)カーネランダージョ(野犬)として記録が残ります。御子息様の討伐履歴も同様にプリーズラク(死霊)カーネランダージョ(野犬)70匹として記録されております」


「数で危険度が上下する統率型の魔物だったのですね」


「はい。素材食料としては全く価値がありませんので買取する事は出来ませんが、討伐達成臨時報酬が2ランクも上がった状態でこの数です」


 私は自分のギルドカードを手に取ると、入金された金額を確認した。


「なるほど。244匹分だとなかなかの金額です」


「それと、禁断の森①の調査依頼を改めまして、ギルドマスター権限で指名させて頂きます。今回は森の奥。場合によっては前人未到の魔王との遭遇も有り得ますので、そうですね……」


 ギルドマスターは、透明なボードを指で操作しながら、依頼書を作成している。


「……ギルドカードにクエストを送信します。確認をお願いします」


 ローザと私はギルドカードを操作し確認する。


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 緊急指名依頼


 禁断の森①最深部の調査


 依頼内容①:州都ベリョーザを大軍で襲撃したプリーズラク(死霊)カーネランダージョ(野犬)が禁断の森を抜けだした原因究明。


 依頼内容②:禁断の森①の魔物の討伐(間引き)。危険度ランクに応じた討伐達成臨時報酬と優先素材買取。


 依頼内容③:魔王アフグリエーフ子爵の情報収集。討伐の必要無し。


 コンプリート報酬金額:大白金貨10枚

 ※収集した魔王の情報により更に加算※


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


「調査にしては随分と金額が大きい様ですが……」


「禁断の森の最深部です。この金額でも少ないと判断し依頼を拒否する冒険者が多いと思いますぞ」


「トシ。この依頼には、ドルも同行させても良いかしら」


「ドルをですか」


「魔王は勇者に討伐される。勇者は魔王を討伐する。勇者の称号はそれだけで魔王討伐に有利だと言われているのよ」


「なるほど。ギルドマスター。このクエストは私のパーティーへの依頼で間違いありませんか」


「間違いありません。ドゥ―シャー様個人への依頼ですと、公的と言いますか、各国の許可も必要になってしまい手続きが……」


「政治の駆け引きは貴族達に任せるとして、私の任意で同行させる事に問題はない訳ですね」


「はい……。ですが、初心者を禁断の森①に同行させたりはしないで頂きたいと……」


「そうなると、ドルのギルドランクをFに上げてから調査になるのか」


「そうね」


「あぁぁ……。えっと、プリーズラク(死霊)カーネランダージョ(野犬)を70匹も討伐した者を、ランクNにしておく訳にもいきませんので、私の権限でランクCに致しました。既にギルドランクA以上の実力をお持ちの様ですが、薬草採集と臨時討伐だけでいきなりAにする訳にもいきませんので、今はCです」


「なるほど」


「今回の指名依頼をコンプリートされた暁には、ギルドランクCを私の権限でギルドランクAに致します。魔王の情報を持ち帰って頂いた暁にはギルドランクSをお約束致します」


「トシはランクMyで、私はランクS3でしょう」


「そうですね」


「私はあと2つも昇級出来るのよね。魔王を討伐したらLe(伝説)とかMy(神話)に昇級も夢じゃないわよね」


「かもしれませんね」


「そっか。それなら、明日は早朝から禁断の森①ね。今日は家には帰らないでサテリット宮殿の家の居住区に泊りましょう。ドルが戻ったら明日の打ち合わせよ」


「そうしましょう」


 随分ノリノリだけどいったい何だ……。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽ドル視点



「抽出って魔法に近いんですね」


「素材調合のスキルは、素材を調合するだけでは無く、対象となる素材に最も多く含まれる成分のみを取り出す事が出来るんです」


「思ったんですが、それって元になる素材を1だとしますよね」


「はい」


「1には、2が多く含まれてるとして、1から2を抽出した素材を3だとしますよね。そうすると、3になった素材には4が最も多く含まれるとしたら、4も抽出出来るって事ですよね」


「理論理屈ではそうなります。ですが、残念な事に素材調合で可能なのは、1から2を抽出する所までなんです。3から4を抽出する為には、成分抽出のスキルや練成系統のスキルが必要なんです。成分抽出のスキルがあれば、5から6を最初から抽出する事も可能なんですよ」


「便利なスキルがあるのは知っていましたが、素材調合って練成系スキルだったんですね」


「ドル様。素材調合は、素材加工系統スキルで、練成系統のスキルとは少し異なるんです」


「ほう。勉強になります」


「ドゥ―シャー様は、どちらの系統も極められたこの世界唯一の御方です。今度お聞きになられてみては如何ですか」


「そ、そうですね……」


 父上が……。そうだったのか知らなかった。


「あぁぁぁ~~~。羨ましいです。ドゥ―シャー様とローザ王女様と同じパーティーに、ドル様はおられるのですよねぇぇぇ~~~」


「そ、そうですね……」


 長男だと言っても信じてくれないだろう。父上と母上のあの容姿では……。


「ところで、ドル様。お聞きしたい事があります」


「回復薬やお茶のお礼です。何でも聞いてください」


「ありがとうございます。子供の頃に大好きで何度も読んだ絵本も、大人になってから勉強した論文や資料も、ドゥ―シャー様やローザ王女様は、先程御会いしたままの御姿で描かれています。いったいお幾つなのでしょう。ローザ王女様が正妻様なのは世界中が知っていますが、ドゥ―シャー様には御側室様方はおられないのでしょうか」


 側室……。母上以外の女性か……。


 父上が記憶を無くしたと主張している13日間。


 俺は、直ぐにこの話を思い出した。


 俺の推測が正しければ父上は母上と結婚する為に身辺整理をしていたのだと思う。複数の関係者と出版されている沢山の本の情報を頼りに導き出した結果だ。


 サスナーの冒険者ギルドの職員でサザンカさん。種族容姿年齢不明。だがとっても怪しい。世界に来たばかりの父上の不思議な行動を優しく受け止めていたそうだ。父上が転生者だとは知らないだろうが……。


 サスナーの魔法資料館2階の受付カウンターのライチさん。種族容姿年齢不明。だがとっても怪しい。あらゆる属性の魔法書を読み漁る不審な父上の行動を優しく受け止めていたそうだ。


 そして、サスナーの聖人教会の姫巫女ヤナ様。種族年齢不明。容姿は母上の様に可憐。長髪の黒髪に淡褐色の瞳。肌は白く。母上よりも少し大きなお胸とお尻。う~ん……実に問題だ。現王都聖人教会の司祭長クレメント様と、現王都大巫女長インガ様。姫巫女ヤナ様。3人は、父上がドゥ―シャーとして聖人教会で最初に奇跡を起こした際の目撃者でその後は出世街道まっしぐら。何より姫巫女ヤナ様はドゥ―シャーとして父上が公で行動する時のパートナー(補佐役)だ。優しいお姉さんであり、尊敬する姫巫女様だ。


 そして、もう1人怪しい女性が居る。


 母上の腹心だったオルヒデーヤさんだ。彼女は母上の警護担当で魔導士として騎士団に所属していた。父上が宮殿に戻ると同時に暇を与えられ実家のあるマーク州へ帰って行った。その9ヶ月後に女の子を出産したらしい。……まさかな……。だが、こればかりは誰にも聞けない。もし……そうだったら。……俺のせいで家族が崩壊してしまうかもしれない。俺が黙っていれば全て丸く治まるんだ。……だが、これでは母上が余りにもお可哀想だ……。……いやいやまだ父上の……とは決まった訳では無い。


 父上に後ろめたい気持ちがないのであれば、忘れてしまいたい事等何1つ無いはずなんだ。忘れて良い記憶や思い出があるとは考え難い。辛い記憶や思い出ですら必ずその人間の糧に成るはず。俺は近衛騎士団で、失敗から学ぶ力と勇気を学んだ。過去を省みる事で人は強くなるのだと……。


 側室では無いしな……。


「側室がいる何て聞いた事が無いです。ローザさんだけだと思います」


「私とか、やっぱり無理ですよね……」


「……えっと、どういう意味でしょう」


「あんなにカッコいいと綺麗な女性からのお誘いも多いでしょうし……。ローザ王女様の次でも構わないって女性は多いでしょうし……あぁぁぁ~~~ドゥ―シャー様ぁ~。トシ様ぁ~~~」



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽トシ視点


 ローザと私は、冒険者ギルドの1階に常設された飲食フロアーの高ランク冒険者専用エリアの席に座り珈琲を飲んでいた。


「こういう場所で2人で御茶何て何年ぶりかしらねぇ~」


「私が記憶する限りでは、何年ぶりと言うよりも、始めてだねぇ~が正解かな」


「私達って、忙しいのかしら……。余り外で食事をした事が無いわよね」


「う~ん。どちらかと言うと外での食事の機会の方が多いと思うが……」


「それ食事じゃないしぃ~」


「クエスト中の昼休憩や夕方休憩も立派な食事だと思うが……」


「雰囲気が無いのは食事って言わないからぁ~」


「朝日とか夕陽とか海とか湖とか大自然って優雅で壮大で雰囲気は十分だと思うけど……」


「ルゥビーン議長国のビーチは確かに綺麗だったけど……」


「だろう。それに、私は家族と一緒に食事出来れば何処でも良い」


「トシ」


「ローザも同じだと思っていたが」


「えぇ。そうね」


「何やってるんだよ。4人用のテーブルに並んで座ってイチャイチャするな。恥ずかしいだろう。ここは、冒険者ギルドだって知ってるかっ」


「あら。ドルお帰り。待ってたのよ」


「回復薬の勉強になったか」


「同じ事をしている様にしか見えない事象が、実は加工系統と練成系統で系統が異なっているとか面白い事を教わりました」


 おや。私が思っていた以上にエレーナさんは優秀な娘さんの様だ。


「ドル様。クエストコンプリートです」


「エレーナさんも、ドルも席に座って」


「ローザ王女様。王女様と同席だなんて畏れ多くて私にはで、できません」


「ドル。彼女とお話がしたいのお願い」


「は、はい……エレーナさん、ローザさんがお話したい事があるそうなので、座りましょう」


「え……は……はい……」


 エレーナさんは、席に座るなり周囲をキョロキョロと見渡している。


「こ、こ、こ、ここ、ここってててて、て、ランクS+以上の爵位冒険者様方のせ、席……」


「席に1人でも、S+が居れば良いらしいから大丈夫よ。エレーナさん」


「ろ、ろ、ローザ王女様ぁ~~~……」


「それで、ローザさん。エレーナさんや俺に話って何ですか」


「明日の早朝の話になるんだけど、禁断の森①の最深部の調査に行く事になったの」


「禁断の森①の最深部……。やっぱり今回の魔物の襲撃は禁断の森が絡んでるんですね」


「その可能性が高いわ。今回の調査はドルも一緒よ」


「俺もですか。良いんですか」


「宮殿に戻ったら簡単な打ち合わせをするわよ」


「はい」


「エレーナさん。今日は薬草採集の指導だけでは無く、回復薬の生成までありがとうございました」


「こちらこそ多過ぎる報酬をありがとうございました」


「素材や資料や知識が入用な時は遠慮しないで言ってください。それと何ですが、禁断の森①の調査に同行しながらドルの指導を続けてみませんか」


「えっ……。トシさん。彼女ははっきり言って戦えませんよ」


「私が、き、きん、禁断の森にですかぁ~~~」


「ちょっと、トシ。エレーナさんを同行させるつもりなの」


「はい。ギルドマスターは、ギルドランクNでなければ誰を同行させても良いって言ってましたから」


「俺まだNですよ」


「おっ、忘れる所だった。ギルドマスターからお前のギルドカード預かっておいたぞ。権限でランクCにしたそうだ。それと、今回のクエストから帰ったら、ランクCなら、ランクAかSにしてくれるらしいぞ」


「ち、トシさん。ほ、本当ですか」


「ギルドマスターがダメでも陛下に頼めば上げてくれると思うけどな」


「それで、どうしてエレーナさんを同行させるの」


「ローザ。エレーナさんの魔力を感じ取ってみると分かると思います」


「エレーナさん手を貸して貰えるかしら」


「はい」



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「凄いわね……。水はまだ解放されていないみたいだけれど、火属性と風属性と闇属性を感じるわ」


「ローザもかなり魔力のコントロールが上手くなりましたが、見落としてます。彼女は無属性も持っています。それと、光属性の適正もあります。そして、魔族返りの称号が正しく機能すれば、土属性も解放されるはずです」


「あの私、魔法は1つも扱えませんよ……」


「魔法が扱え無い訳では無いですよ。魔法を覚えていないだけです」


「覚える……」


「はい。私の様に聖属性の魔法を扱う事は出来ないと思いますが、エレーナさんは私の魔力の波長に近くて似ています。非常に私と相性が良い様なのです」


「わ、私と、ドゥ、ドゥーシャー様がですかっ」


「はい。そしてこの相性が良い人達は例外無く、聖属性ではありませんが回復治癒治療の魔法を習得する事が出来ました」


「ヒーラーになれる……。わ、私がヒーラーに成れるんですかっ」


「大抵の場合ですが、2つ以上の属性を扱える者は皆ヒーラーですよ」


「そうなんですかっ」


「現時点で魔法さえ習得してしまえば、エレーナさんは4つの属性を既に持っているので、王国から上級魔術師として認定証明書を貰えると思いますよ」


「わ、私が……」


「はい。7属性全ての要素があるみたいなので、大魔導士として認定証明書を貰う事も可能だと思いますが」


「だ、だ、大魔導士……うは……無理ですって」


「そうですかね」


「トシ、エレーナさんに初級の属性魔法を試してみたら」


「習得ポイントが足りません。その為にも、レベルを上げる必要がります」


「それで、同行させたいと思ったのね」


「それもありますが、相性もあると思います」


「うっは……あ、あ、ああ、愛……相性ですですか」


「そうね。トシはオールマイティーとしても、ドルも私も前衛職だし、後衛職の大火力支援役がいると心強いわ」


「そういう事です」


「あのちょっと良いか」


「何だドル」


「ドルどうしたの」


「エレーナさんって同行決定なのかなっ……」


「ドル。それはエレーナさんが決める事で私には何とも」


「そうよ。トシにも私にも流石に決定権は無いわ」


「わ、私、ドゥ―シャー様の御傍にいたいです」


「私の傍というか、ドルの傍で指導をしながらの同行ですが良いですか」


「は、はい。こ、こ、これ」


 エレーナさんは、鞄から回復薬を4本取り出し、私の目の前に並べた。


「私が作ったHP回復薬です」


 えっ……、


「そ、そうみたいですね。それで」


 どうしろと……。


「4本とも同じ様に見えますが、少しずつ成分を調整して効果を調節してあるんです」


 私は回復薬4本に触れ【☆接続☆】を視線で選択した。


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


「通常級品の尻火付草の成分濃度を調整したHP回復薬ですね」


「触れただけで……凄い」


「ドゥ―シャーですからね」


「ドル様。瓶に触れて中味の成分を言い当てる何て普通は出来ない事なんですよ」


「は、はい……」


「ドル。エレーナさんの邪魔しないの」


「そ、そうですね……」


「通常級品の尻火付草の抽出成分でも、超純水に80%以上溶かすと、99.7%もの回復薬になるとは……。この350ccを80%以上にする為には、通常級品は何本必要になりますか」


「通常のHP回復薬(気付け薬)を1本作るのに通常級品が500本程必要になります。今トシさんが手に持っている全回復に近い効果がある回復薬は1本作るのに6000本程必要です」


「エレーナさん。6000本って。それを200本納品って……。まじですか……」


「ドル様。ですので、上物級品や特上級品や最上級品で採集時間を調整するんですよ」


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽ドル視点


「ごもっともです」


 あれ1本作るのに6000本って。それを200本も納品。定期的に商業ギルドにも納品してるってエレーナさんは言ってたよなぁ~。


「抽出効率が10倍以上になる方法があると言ったら、エレーナさんはどうしますか」


「トシ様。一生付いて行きます。ダメと言われてもっ」


 トシ様ねぇ~……。父上。母上に刺されない様に頑張ってください。


「ねぇトシ。エレーナさん。私聞きたい事があるんだけど良いかしら」


 母上……。もうですか……。


「質問ですか」


「はい。ローザ様。私でお答え出来る事でしたら何でも聞いてください」


「後の3つは何が違うのかしら」


 何だ……。そっちでしたか。

ありがとうございました。

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