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異世界で幸せを手に入れました。  作者: 諏訪弘
プロローグ
21/40

入浴の追求は、薔薇の香り

 家に帰宅した。


 天災級の魔物アタマンキパリース危険度S(スーパー)☆3の討伐成功の報酬として大白金貨200枚を受け取った。


 冒険者ギルドランクは『S5』から『S7』に昇格した。勿論、ルシミール王国以外の国では、ランクS3だ。


 金銭の心配。住居の心配。飲食の心配。人間関係の心配。考え得る面倒な事に対しての心配事は無いに等しい。ただ、1つを除いて……そうっ。浴槽だ。


 私は、湯船に浸かりながら、再構築の機能や法則について模索していた。【☆再構築・所持品☆】【☆再構築・能力☆】【☆再構築・称号☆】【☆再構築・再構築☆】【☆再構築・記憶☆】。


 意味が分から無い。再構築を再構築する。それは、つまり再構築。何故に態々再構築する物を再構築した物に限定したのだ。元からあった物を再構築する機能とは区別した機能なのだろうか。


 【☆再構築・再構築☆】を視界中央にスライドさせる。


 視界中央に、


 ☆再構築を再構築しますか☆

  【☆YES☆】【★NO★】


 と、文字が浮かんだ。


 取扱説明書を使い仕様を理解したはずだ。だが、残念な事に絵は理解出来たが、記載文字が理解出来なかった。見た事も無い文字だ。模様の様にしか思えない文字だ。複写しろと言われれば間違える事無く書き写す事が可能だ。だが、意味は全く分から無い。


 イエス、ノーと聞かれても、イエスを選択した場合に何が起こるのか不明過ぎるだろう。……どうする私。


 ①.【☆YES☆】を選択。


 ②.【★NO★】を選択。


 ③.魔剣エクス。


 ④.暴れる。


 ⑤.腕時計。


 ④。……入浴中に突然暴れ出してどうする。……暴れて何かが変わるとしたら、それは、ローザ姫様や使用人さん達の私を見る目位だろう。パスだ。パス。無意味だ。私は自虐が出来る程、人間が出来てはいない。何よりメンタルが限りなくデリケートな仕様だ。うん。


 ならば、③だ。……③でどうする。魔剣エクスがどんなに素晴らしい剣だとしても、所詮魔剣は魔剣でしかないただの剣だ。桧葉の木の浴槽の代わりにも成れ無い。


 そうなると、⑤か。いや、寧ろこの腕時計で今悩んでいる。却下だ却下。お話に成ら無い。成ってい無い。つまり①か②だ。……ダメだろ。イエスかノーか。悩んだ挙句の果てに最終的に最初の状態に戻って来てしまった。


 う~ん。


「ト、トシ様ぁ~……」


 ふんむ~……


「トシ様っ」


 ……優柔不断な事は命取りになる。学んだはずだぞ私。確りしろ私。


「トシ様。今日は変ですよぉっ」


「……うん……あぁ~……あっはい」


「大丈夫ですか」


 ここは、ローザ姫様に決めて貰うか。なぁ~に、イエスかノーか2択の簡単な質問だ。……成仏をコントロールしダラダラゆったりのんびり時を刻む事にした私には難問だとして、彼女なら……そうだ。そうだよ。彼女は適任だ。きっとそうだ。


「ローザ姫様。YESですか。NOですか」


「え」


「ですから、答えてください。YESかNOか決めて欲しのです」


「イエスかノーかっ……」


「そうです。良いのかダメなのか決めてください」


「……イ、イ……」


「YESで間違いありませんか」


「イエスで間違いありませんっ」


「分かりました。ローザ姫様。感謝します」


「わ、私達も、そろそろ叔父上様達の様に……前に進むべきですからっ」


 そうだ。躊躇し停滞してどうする。この世界で私は何をやっているのだ。確りしろ私。


「そうですよね。分かりました。もう迷いません」


「はい」


 私は、【☆YES☆】を視界中央へスライドさせた。


≪パチン


 ▽▲▽世界停止中▽▲▽


「またかね。次は何だね」



「再構築。何の話だね。【☆構築☆】【☆再構築☆】」



「不要な機能は停止で良いね。一 十四にはだね。自動更新に手動更新は要ら無いね。英雄王の剣は、あたしが要ら無いね」


≪パチン


名称  高級手拭

格付け ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

等級  大上神級品

備考1 能力【混浴風呂】

    ※混浴で入浴する事で、

     レベル99(上限値)を突破※

    ※同時入浴者・異性の人数が

     多ければ多い程獲得経験値UP※

備考2 メンテナンスフリー

備考3 防具にも武器にも鉢巻にもなる

所有者 ニノマエ トシ


「英雄王の盾もあたしは要ら無いね」


≪パチン


名称  高級浴衣

格付け ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

等級  大上神級品

備考1 非物理攻撃耐性☆2

    ※各種属性攻撃99%カット※

    ※各種属性攻撃30%確率反射※

備考2 物理攻撃耐性☆2

    ※各種物理攻撃99%カット※

    ※各種物理攻撃30%確率反射※

     1.攻撃と同時に【ON/OFF】

     ※オート反射ダメージ100%※

     2.10秒後【ON/OFF】

     ※オート反射ダメージ110%※

     3.蓄積【ON/OFF】

     ※攻撃時蓄積分加算上限無し※

     4.寿命変換【ON/OFF】

     ※HPダメージ1=寿命1年延長※

備考3 弱者回避☆2

    ※己よりレベルの低い者からの

        攻撃を全て回避し、

           備考2の3か4に変換※

備考4 危険回避☆2

    ※戦闘時のみ敵対する者の

     移動行動速度が20分の1で見える※

    ※HP&MPが30%以下に減ると

     HP&MPを自動で何度でも全回復する※

    ※聖人教会で家族の加護を受けた者の

     HP&MPが10%以下に減ると

     半径20m圏内にいる場合全回復する※

備考5 メンテナンスフリー

所有者 ニノマエ トシ


「英雄王の剣と盾は間違い無く渡したね。前の手拭と浴衣はだねぇ~」


≪パチン


名称  高級シャンプー&リンス―

格付け ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

等級  神級品

備考1 永久物

備考2 神の世界と同一商品

備考3 各属性攻撃・状態異常攻撃耐性UP

    ※持続時間は使い続ける事で変化※

    ※耐性値は使い続ける事で変化※

備考4 香りお好み選択システム採用

所有者 ニノマエトシ+家族


名称  高級ボディーソープ

格付け ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

等級  神級品

備考1 永久物

備考2 神の世界と同一商品

備考3 美肌美白効果

    ※持続時間は使い続ける事で変化※

    ※効果は使い続ける事で変化※

備考4 香りお好み選択システム採用

所有者 ニノマエトシ+家族


名称  高級洗顔フォーム

格付け ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

等級  神級品

備考1 永久物

備考2 神の世界と同一商品

備考3 美肌美白効果

    ※持続時間は使い続ける事で変化※

    ※効果は使い続ける事で変化※

備考4 香りお好み選択システム採用

所有者 ニノマエトシ+家族


名称  ボディータオル(入浴用手拭人数分)

格付け ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

等級  神級品

備考1 永久物

備考2 神の世界と同一商品

備考3 防具や武器には成ら無い

備考4 美肌美白若返り効果

    ※持続時間は使い続ける事で変化※

    ※効果は使い続ける事で変化※

備考5 ボディーソープ効果UP

    ※ボディーソープと組み合わせて

      使用する事で効果が上昇する※

所有者 家族へのみ譲渡可能


「これだけ優遇すれば文句はないはずだね」



「なるほどだね。イポーニィの侯爵で魔剣エクスの調査の為にルシミール王国かね。従者は3人猿と豚と河童を連れて歩いたら流石に恥ずかしいね」



「猿犬雉。いまいちだね」



「面倒臭く成って来たね。従者は無し。居なかった事にするね」


≪パチン


「これでいいねぇ~」


 誰も見ていないがドヤ顔を決める。


「間違えて、イポーニィの公爵にしちゃったね。まぁ~問題無いね偉い分には困る事は無いね。うんうんだね」


「最後に確認しておくね。これを最後に呼ばれ無い様にだねぇ~」



≪パチン


 ▽▲▽世界起動中▽▲▽



 ▽▲▽世界作動中▽▲▽


「えっ。構築と再構築……」


「トシ様ぁ~」


 どういう事だ。再構築の再構築で、構築と再構築に成ったのか。


「この、シャンプー&リンス―とボディーソープとセンガンフォームというのは何でしょうか」


「えっ……」


 あれっ。シャンプー&リンス―やボディーソープやフェイスウォッシュ……そんな有難い物。何処にあったのだ。


『プチュッ』


「これ、とても良い香りがします。トシ様も……」


 私の鼻に手を近付けるローザ姫様。


「薔薇」


「はい。私の一番好きな花の香です。これは、液体の様ですが、いったい何なのですか」


「薄いピンクとホワイトの瓶に入ってたその手の液体は、髪を綺麗にする為の石鹸と、髪や頭皮の状態を整える成分。洗髪と同時に髪や頭皮の状態を整えてくれる物です。薄いブルーの瓶はボディーソープです。……プッシュすると、石鹸が泡の状態で出て来ます。身体を綺麗にする為の石鹸です。ホワイトの瓶は洗顔フォームみたいです。顔を綺麗に洗う為の石鹸です」


「石鹸ってあの石鹸ですよね」


「そうです。私の国では、赤ちゃんの為の石鹸。手を洗う為の石鹸。食材の為の石鹸。車の為の石鹸。動物(ペット)の為の石鹸。衣類の為の石鹸。食器の為の石鹸。石鹸は用途に合わ沢山あります」


「そんなに違う物なのですか」


「違いますよ。特に髪用と顔用と肌用や手用、衣類用、食器用。全く違う物ですね」


「ト、トシ様。私始めてですので、シャンプー&リンス―を使っている所を見せていただけませんか」


「いいですけど……普通に頭を洗うだけですよ」


 シャンプー&リンス。ボディーソープ。洗顔フォーム。全ての見本を頼まれ見せる事になった。別段、最初に洗うだけの事だ。特に問題も無く終わった。だが、瞼を閉じると髪が上手に洗えないと不可解な事を言われ、ローザ姫様の綺麗な銀髪は私が洗髪する事になった。


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


「髪も頬も腕も胸もお尻もとても気持ちが良いです。身体がとても軽くなりました。それに私、凄く良い香りがしてます」


 美少女と言っても良い美女が、目の前で身体のあちこちをスベスベナデナデ。目のやり場に困る。


「トシ様。ローザがローザの香りに包まれてます。ホラッ」


「そ、そうですね……」


 余り近付かないでください。……あぁ~良い香りだ。癒される。シャンプー&リンス―、ボディーソープの香りだけでは無い。……いかん。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 入浴を終え、中庭の東屋で寛ぎながら、構築と再構築について検証していた。だが、集中しようにも、ローザ姫様の姿が脳裏に焼き付き思う様に事が進ま無い。


 入浴中の女性が燥いでいる姿に耐性がある訳も無く。入浴中に女性の髪を洗うという思考が停止しそうな事態にも遭遇した。さっきの入浴は妙に距離が近かった。


 やはり早く広い湯船が……浴槽が欲しい。窮屈な入浴は私の求める極楽では無い。


 しかし疑問だ。神級品。永久物。所有者が私。効果も意味不明な物が多かった。……王妃様のメイド達から「おめでとうございます」と、ローザ姫様は言われていたが、今日は彼女の誕生日では無い。何かの記念日なのかもしれない。後でさり気無く探りを入れ場合によってはプレゼントを準備しよう。


 【☆所持品☆】を視界中央にスライドさせ、桧葉の大木の素材を適当に選択し中央にスライドする。視界に桧葉の説明が浮かび上がる。


 知っている情報だ。この桧葉の大木の素材で、今現在私に出来る事が何なのか。それが知りたい。

ありがとうございました。

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