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異世界で幸せを手に入れました。  作者: 諏訪弘
プロローグ
18/40

広い湯船と禁断の森

宜しくお願いします。

 私は、ドゥ―シャー。ユーシャ(勇者)でもエイユー(英雄)でも無い。


 私は、臨時で設けられた冒険者ギルドランクS5の冒険者だ。ランクは、『S』『S+』『S2』『S3』『Le』『My』。1つの国だけでの功績では『Le』と『My』には成れないそうだ。


 ファイアーポヨポヨ☆8とアイスポヨポヨ☆7の(つがい)を討伐した功績が認められ『S+』から『S2』に昇格した。


 数分後、オレンジポヨポヨ☆5を3匹討伐した功績が認められ『S3』に昇格した。


 その数分後、グレープポヨポヨ幼体☆10を7匹討伐した功績が認められ『S5』に昇格した。そんなランクは存在しない為、ルシミール王国以外の国では、ギルドランクは『S3』という事になる。


 私は、ルシミール湖を眺めながら、丸形桧葉浴槽に湯を張り、入浴を満喫していた。


 プライベートビーチに、丸形桧葉浴槽と桧葉の簀の子。桧葉の湯椅子に桧葉の湯桶。頭に手拭。実に良い感じだ。広く開けた空間に……湯船が狭いっ。空間に対して湯船が狭い。


「トシ様。トシ様は、毎日必ず入浴しますよね。多い日には2~3度入浴しますよね。どうしてですか」


「ローザ姫様。それはですね。私が風呂や温泉をこよなく愛しているからです」


 あぁ~……狭いのはこれが原因だ。直径160cm高さ65cmの丸形浴槽。違和感無く湯船に居るせいで気付くのが遅れてしまった。間違い無い。私が入浴する時には何故かローザ姫様が一緒だ。


 広い湯船を準備するかっ。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 私は、湯船から飛び出すと、浴衣を羽織り下駄を履き。サスナーの街の万屋へと駆け出していた。時系列の記憶の中に僅かに残っていた記憶。


 森を抜け王都を迂回し道無き道を目立たぬ様に全力で駆け抜けた。約914Kmを約2時間47分。時速約328Kmで走った事になる。


 門は有って無い様な物だ。今の私の身分証を拒める物など、ルシミール王国には無い。まぁ~厳密には全く無い訳では無いのだが……


 足が速くなっている。駆け出して早々に気付いていた。私は暇な時間を億劫で後回しにしていた各種確認に当てる事にした。視線だけで操作出来るのは殊の外便利だ。



 宝石拾集 S  ☆☆☆★★★★★★★★

 薬草採集 S  ☆☆★★★★★★★★★


 手拭戦技 A  ☆☆☆☆☆☆★★★★★

 魔剣戦技 N  ☆☆☆☆☆★★★★★★

 聖 戦技 S  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

         ☆☆☆☆★


 亡者集結 A  ☆★★★★★★★★★★

 人魂集結 A  ☆★★★★★★★★★★


 下駄歩行 S  ☆★★★★★★★★★★

 俊足歩行 A  ☆☆☆★★★★★★★★


 聖 魔法 S+ ☆☆☆★★★★★★★★ 

         ★★★★★

 土 魔法 A  ☆☆★★★★★★★★★

 水 魔法 S  ☆☆★★★★★★★★★

 火 魔法 A  ☆☆☆☆☆★★★★★★

 風 魔法 A  ☆☆★★★★★★★★★

 光 魔法 A  ☆☆★★★★★★★★★

 無 魔法 A  ☆★★★★★★★★★★

 闇 魔法 F  ☆☆☆☆☆★★★★★★

 ※聖魔法S+、修練度☆3時に習得※

 雷 魔法 F  ☆☆☆☆☆★★★★★★

 ※聖魔法S+、修練度☆3時に習得※



 ≪神聖魔法≫


 聖属性:習得難易度☆3 キュア

 修練度:☆★★★★★★★★★


 聖属性:習得難易度☆7 ヒール

 修練度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

     ☆☆★★★★★★★★

     ★★★★★★★★★★

     ★★★★★★★★★★

     ★★★★★★★★★★



 ≪便利魔法≫※生活魔法※


 土属性:習得難易度☆1 ピソーク()   

 修練度:☆☆★★★★★★★★


 土属性:習得難易度☆2 スカラー()

 修練度:☆★★★★★★★★★


 水属性:習得難易度☆1 ヴァダー()

 修練度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(カンスト)


 水属性:習得難易度☆1 リョート()

 修練度:☆☆★★★★★★★★


 火属性:習得難易度☆1 アゴーニ()

 修練度:☆☆☆☆☆☆★★★★


 風属性:習得難易度☆1 ウラガーン(疾風)

 修練度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(カンスト)


 風属性:習得難易度☆2 ヴィチローク(そよ風) 

 修練度:☆★★★★★★★★★

 ※ウラガーン、カンスト時に習得※


 光属性:習得難易度☆1 スヴェート()  

 修練度:☆☆★★★★★★★★


 無属性:習得難易度☆1 ミュスクル(筋肉)

 修練度:☆★★★★★★★★★


 無属性:習得難易度☆1 ムイースリ(精神)

 修練度:☆★★★★★★★★★



 ≪便利魔法≫※応用魔法※


 土属性:習得難易度☆1 グリャージ()

 ※解放条件:土魔法F&水魔法F※ 

 修練度:☆☆★★★★★★★★


 土属性:習得難易度☆2 シチナー()

 ※解放条件:土魔法E&水魔法F&火魔法F※

 修練度:☆☆☆★★★★★★★


 水属性:習得難易度☆2 リカー()       

 修練度:☆☆☆★★★★★★★


 水属性:習得難易度☆2 オーショード(熱い水)       

 ※解放条件:水魔法F&火魔法E※

 修練度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(カンスト)


 水属性:習得難易度☆4 アゴスマ(聖水)

 修練度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(カンスト)

 ※体力回復の簡易魔法※

 ※ヒール習得済の為カンスト※


 火属性:習得難易度☆2 ブラーミア()

 修練度:☆★★★★★★★★★


 風属性:習得難易度☆4 イコチル(聖風)

 修練度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(カンスト)

 ※状態異常回復の簡易魔法※

 ※キュア習得済の為カンスト※


 無属性:習得難易度☆3 ラダール(探知)

 ※解放条件:風属性F&雷属性F※

 修練度:☆★★★★★★★★★

 ※半径20mを電波探知※

 ※建物や森の中では有効だが

  開けた場所では視覚の方が早い※



 ≪初級魔法≫※活用魔法※


 土属性:習得難易度☆2

 シュタインクーゲル(石の球体)

 修練度:☆★★★★★★★★★


 水属性:習得難易度☆2

 ヴァッサークーゲル(水の球体)

 修練度:☆★★★★★★★★★


 火属性:習得難易度☆2

 フランメクーゲル(炎の球体)

 修練度:☆★★★★★★★★★


 風属性:習得難易度☆2

 ヴィントクーゲル(風の球体)

 修練度:☆★★★★★★★★★



 ≪中級魔法≫


 風属性:習得難易度☆3 ブーリァ()

 修練度:☆☆★★★★★★★★

 

 雷属性:習得難易度☆3

 グロームストリエラー(雷の矢)

 修練度:☆★★★★★★★★★



 ≪称号≫


 魔物殺し  ☆☆☆☆★★★★★★

 亡者殺し  ☆☆☆☆☆☆☆★★★

 人魂殺し  ☆☆☆☆☆★★★★★

 悪人退治  ☆★★★★★★★★★


 人命救助  ☆☆☆★★★★★★★


 奇跡を与える者  ☆☆★★★★★★★★

 湯船を愛する者  ☆☆☆☆☆☆★★★★



 ≪状態≫


 レベル84→99


 HP1169→1999 MP1389→2399


 攻撃力 S  ☆☆☆☆☆☆☆★★★★

 【 S + 魔剣エクス 】

  魔力 S  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★

 【 S 】

 防御力 S  ☆☆☆☆☆☆☆★★★★

 【 S + 手拭 + 浴衣 + 下駄 】

 魔耐性 S  ☆☆☆☆★★★★★★★

 【 S + 手拭 + 浴衣 + 下駄 】

  速度 S  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆★

 【 S + 下駄 】

  幸運 S+ ☆☆☆★★★★★★★★

 【 S+ + 腕時計 】 


  習得ポイント8260


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


「おぉ~先日の兄ちゃんじゃねぇ~かぁっ」


 この店に間違い無い様だ。この店の御主人は私の事を知っている。


「御主人。先日購入した丸形桧葉浴槽より更に大きな浴槽が欲しいのですが、売っていますか」


「おいおいっ。そんなおっかねぇー事出来るかっつぅーのっ」


「そうですか。分かりました」


「おーい。いったい何に使うんだよぉっ」


「入浴する為ですね」


「そりゃぁ~そうだろうなっ。聞きてぇーのは、そんなにでけぇー風呂何か邪魔だろうぉーって」


 なんと……風呂を邪魔だと……。あぁ~この店の御主人はたった今私の視界から消えた。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 記憶には無い。だが、何となく知っている様な気がしないでもない。複雑な感じだ。


「トシ様っ」


 巫女装束姿の少女。誰だ。……私の事を知っている人の様だ。記憶障害を起こしていた13日間の時に知り合った人だと考えるべきだろうな。記憶障害を起こしていた時の私はいったい何をやっていたのだろう。どうやったらこの様に美しいお嬢さんと知り合えるのだ。


「王都から買い物でこの街に遊びに来たのですが……」


「王都にお住まいだったのですね」


「ドゥ―シャー様がお忍びでサスナーに滞在し、身分を隠し冒険者ギルドに所属していた何て、今でも信じられません」


「そ、そうなんですよね……」


「あの後、聖人教会と冒険者ギルドの皆でトシ様を探したんですよ」


 記憶障害中の私は、何か善からぬ事をやらかしていたのか。……いやいや、もしそうであるならば、今この場は修羅場に成っているはずだ。このお嬢さんはそんな感じでは無い。


「そ、それは申し訳無い事をしました。急いでいたもので挨拶も出来ず発ってしまった事を御許しください」


「そんなつもりでは……あっ。神官修道司祭(しゅうどうしさい)のクレメント様に伝えて来ます」


「あっ。ちょっと待ってください。用事があるので、また次の機会に会いに行きます」


「そうですか」


「それでは、急ぎますので、また会いましょう」


「はい」


 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 ふぅ~危なかった。誰なのか時系列の記憶を整理し、きちんと思い出す必要がありそうだ。しかし、今の巫女装束姿のお嬢さんはなかなかの美少女だった。いかんいかん。私はこれでもローザ姫様という美しい女性を妻に持つ身。浮ついた気持ちはいかん。


 しかし、巫女装束かぁ~……。この国にも神社があるのかっ。だが、しゅうどうしさいと言っていた。記憶の整理が終わった頃に挨拶に行く事にしよう。


 お嬢さんにでは無い。そのしゅうどうしさいの男性に会う為だ。そうだ。うん。


 さて、浴槽をどうするかだ。う~ん……再構築でどうにか……無理だな。桧や桧葉の大木を所持したとして再構築で浴槽は無理があるだろう。……待てよ。例えば手持ちの丸形桧葉浴槽と桧葉の大木で再構築出来たとしたらどうなるだろうか。


 ふむ。試してみる価値はありそうだ。……王都やベリョーザ周辺の森を片っ端から調べるかっ。いやそれは流石に止めておこう。幾ら私が足が速いといっても300Km以上の速度で走り回るのは疲れる。


 万屋の御主人に聞くのがベストなのだろう。だが、彼は風呂を邪魔呼ばわりした浴槽職人だ。彼の手から再び素晴らしい浴槽が生まれるまで付き合いは無しだ。風呂とは浴槽とは湯船とはストイックな物なのだ。


 ……最近の私の入浴スタイルは、些かストイックに欠いた状況ではあるが、湯船に対する思考や姿勢にブレ等は微塵も無い。寧ろ、愛するが故に1日に3度も入浴してしまう程だ。


 まぁ~当初はいつお迎えが来ても良い様に、自ら進んで己を磨き上げていた訳なんだが……成仏をコントロール出来る事を確信した今これはただの習慣だ。


 浴槽、湯船の衛生管理。心躍る言葉じゃないか。素晴らしい言葉だ。……決めた。ローザ姫様に桧いや桧葉の大木がありそうな森を聞いてみよう。ダメだった時は軍でも冒険者でも誰でも良いこの際背に腹は代えられぬからな。


 戻るとするか。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「ローザ姫様に聞きたい事があります」


「えっと……はい。何だかとってもお疲れみたいですが、大丈夫ですか」


「ちょっと、サスナーまで行って来たので」


「えっ」


「往復で5時間30分程全力疾走していたので疲れただけです」


「……そ、そうなのですね」


「それで、聞きたい事があるのですが」


「はい……」


「この家の周囲でも王都の周囲でもベリョーザの周囲。何処でも良いです。桧葉の大木が生えている森はありませんか」


「桧葉って、トシ様の浴槽の素材の木ですよね」


「そうです。丸形桧葉浴槽の素材と同じ木です」


「桧や桧葉や山毛欅や栗や胡桃の群生地はアルブス山脈の南側ですね。お母様の南アルブス州は木材の名産地ですよ」


 何て事だ。自ら楽園から地獄へ引っ越していたというのか。……だが、今更この家を南アルブス州の何処かに移す訳にはいかないだろう。う~ん…………伐採しに行くしかあるまい。


「それで、大木はどの森に多いのですか」


「大木が多いのは当然の事ですが禁断の森ですね。近付く事の無い森ですから、樹齢1000年以上の桧葉の木が沢山生えていると思いますよ。ですが、魔王アフグリエーフ子爵が支配しています。手頃な桧葉で良いのでしたら、スヴェーリの森が良いと思いますよ。トシ様も入浴を楽しまれていた運命の再会の地です」


 なるほどぉ~……魔王なのに子爵とか訳の分からない輩が、桧葉を牛耳っている訳か。…………そうだ。1本位ならこっそり伐採してもバレないのではないだろうか。……広い森だ。たぶん広い森だ。う~む……どうする私。


 ①.伐採しに行く。


 ②.伐採しに行く。


 ③.我慢してスヴェーリの森の桧葉を伐採する。


 ④.伐採しに行く。


 ⑤.諦める。


 ⑥ 伐採しに行く。


 ⑦.腕時計。


 ふっ。考えるまでも無いな。答えは、①②④⑥。多数決で伐採じゃないか。悩むまでも無い。


「ローザ姫様。ベリョーザの南東禁断の森に行く事にしました」


「えっ……えっと魔王アフグリエーフ子爵の森ですよ」


 最高の湯船の為には苦労は買ってでもするべきです。


「致し方がありません」


「……トシ様の無くした所持品があるかもしれませんね」


 所持品……あぁ~そんな話も合ったかっ。

ありがとうございました。

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