その電車の行き先は?①
どきどきの初投稿です。
優しい心で読んで頂けると幸いです。
保険でR15設定にしています。
実の娘よりも不倫相手を選ぶ父に、情緒不安定で毎日泣き叫び罵る母。
おまけに安月給で税金その他諸々差し引かれたら、手取りはすずめの涙ほど。
最近は仕事疲れに、精神的ダメージのコンボで疲弊困憊だ。
私ってけっこう頑張ってる方じゃない⁈
だって不倫してる父に(ファザコンだから嫌いになれない)、毒親の母(まれにある正気の時は面白いから嫌いになれない)。安月給(休憩ない日もあるけど、仕事は嫌いじゃない、断じてブラックでもない)に耐える日々。
……誰か褒めてくれないかな?頑張ってるよね、うん。
とりあえず今日も直帰しなきゃ。家では両親が喧嘩しているだろう。仲裁せねば!
――嗚呼、誰か私を労って下さい。とりあえず限定のハーゲンダッツ5個でいいので。
そして彼女は電車に乗り、コンビニに寄って帰宅し、喧嘩の仲裁をしつつ晩御飯(もはや、夜食)を食べ、シャワーを浴び、寝てを繰り返す――――はずだった。
――22時2分頃、〇〇駅で起きました人身事故の影響より、今から参ります電車は約25分程遅れて運行しております。お客様には………―――
あれ、遅延してる。困ったなぁ〜。
一応電車は動いてるみたいだし、来たのに乗っちゃおう。
―――ピカッ―――…
まるで白夜のように眩し過ぎるヘッドライトが暗闇から顔を出し、ホームを照らした。
ゔわっ‼︎眩しっ。でも電車すぐ来たわね。ラッキー♪
――え?誰も居ない?どうして、、これ始発だったの?いやでも、さっきまで並んでた他の人は?
あっ、まさか次の駅止まりのやつ乗っちゃった⁈え〜っ!
彼女は気付いていない。眩し過ぎたヘッドライトはおろか、自分が乗った電車が、そもそも存在しない車両である事に。当然、ホームに居た他の客が乗るわけもなく、さらに言えば、まだ駅には1本も電車が到着していない。
かくして、地球上誰にも気付かれぬまま、彼女は世界から消えた。