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第6話

華美の言葉を聞いて、氷麗は我が耳を疑った。

この小さな、小学生にしか見えない男の子がフェイステン?それも、第1位?


「う、嘘です!こんな小さな子がフェイステン。それも第1位だなんて!」


氷麗がこう言うのも無理はなかった。

フェイステンとは、学校の顔だ。

しかも第1位となれば、学校の顔以上に様々な責任や重圧を負うことになる。

なのに、目の前にいる小さな子供が毘沙門のフェイステン。それも第1位。

これを嘘と呼ばずには言えない。


「嘘じゃねーよ」


そう答えたのは、他でもないフェニックス本人だった。


「こんな見てくれはしてるが、俺はフェイステンの第1位だ」


しかし、かっこよくセリフを言っているものの華美に抱き抱えられた姿では、説得力のかけらもなかった。


「し、信じられません」


フェニックス自身の言葉を聞いても氷麗は信じることが出来なかった。

氷麗も言わずと知れた特別人間(スペシャル)だ。

戦闘を行わずとも、相手の力量くらいは見ただけで、感じただけでなんとなく分かる。

しかし、その特別人間(スペシャル)が持つ観察力を用いても、目の前にいるフェニックスは強敵とは察しれない。感じられなかった。


「どうにかこうにかして俺の力を探ってるようだが無駄だぜ?たかが人間如きに俺の力量が分かってたまるかってもんだ。俺の力量を触れずに察せれるのは勇者か、この華美クラスの人間じゃないと無理だろうな。伊達に魔王の息子じゃねーし。普通の人間に分かられてもやだしな」


「勇者?魔王?一体何の話を……」


「言っても無駄だろうから実際に交えた方がいいんじゃないー?」


困惑する氷麗にたんぽぽが進言する。


「実際そうしたもんねー?たーくんー?」


ゆるふわとした口調で猛にたんぽぽがつついた。


「そ、そうですね」


たんぽぽに言われた猛は、驚きと言うより、引き攣った感じで返事を返す。


「私がこの小学生と戦闘をしろと言うことですか?」


たんぽぽに言われた氷麗は、自分が舐められていると思い、若干噛み付く勢いで物申す。

首席入学の自分が小学生と戦闘をしろ?

舐められるにも程がある。


「うん。そうだよー」


若干イラついている氷麗とは違い、いつも通りのゆるふわな感じでたんぽぽは返した。


「い、いいでしょう!戦闘をやろうじゃないですか!私もここまで言われて黙ることは出来ません!」


この言葉を聞いてフェニックスは誰にも分からない角度でニヤッと笑った。

戦闘が出来るという喜びに対して。


「いいぜ。やろう。だかな?一つだけ言っておくぞ?」


瞬間、見えるはずのない黒いオーラが氷麗には見えた。フェニックスの身体から放たれている黒いオーラを。


「身の程をわきまえろよ?人間。戦闘をお願いしますだ」


背筋に、これまで感じたことのない恐怖が氷麗には走った。


「華美。演習室は空いてるな?」


「空いてるよ!フーちゃん!」


「華美に聞いたんだが、俺は」



演習室の控え室では華美と紅葉、フェニックスが氷麗との模擬戦に備え準備をしていた。

準備と言っても特にすることの無いフェニックスは実にリラックスした状態で華美の膝の上に座っている。


だんだん人の膝の上に座るのが慣れてる自分が居る事にフェニックスが気づいた。


ちなみに、華美と紅葉のジャンケンの結果、華美の膝の上に座る事になった。


「フー君。手加減はちゃんとするのよ?」


「わーてるよ」


「フーちゃんハンカチは持った?」


「お前は俺のお袋か!」


実にリラックスしていた。



一方氷麗の控え室には、たんぽぽと猛が助言をしていた。


「最初から全力ででいい。情けは無用だ」


「だめだーと思ったら、すぐに降参するんだよー?」


助言ではない助言を2人はしていた。


「分かっています。あんな子供に負けるわけにはいかないので」


「分かってないなー」

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