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第5話

1年生の教室がある廊下を上級生である華美と猛が歩くのは、やはり不思議というか、違和感があるらしく、1年生たちはヒソヒソと話していた。

華美が生徒会長というのも理由の一つかもしれないが。


やがて、目的の教室に着いた華美たちが教室の中を除くと、お目当ての人物。雪城氷麗がたくさんの人に囲まれているのを発見した。


「ちょっといいかしら?」


何事にも動じない華美は、スタスタと教室の中に入って行くと、雪城氷麗に話しかける。

すると、雪城氷麗に集まっていたクラスメイトたちは、その場からさっと離れ邪魔をしないようにした。


「私に何か御用ですか?」


「生徒会に興味はないかしら?」


「生徒会……ですか?」


「えぇ。そうよ。詳しく話をしたいから生徒会室に来てくれる?」


「別に構いませんが」


「ありがとう。じゃあ付いてきて」


「はい」


そう返事し、氷麗は立ち上がった。

別に生徒会に興味があった訳ではない。

氷麗が興味を示したのは、わざわざ自分の所に勧誘しに来た2人の人物、舞桜華美と連夜猛だ。

フェイステンの1位になると豪語した手前、この2人のことは知っておかなければならない。

なぜなら、フェイステンの3位と7位なのだから。華美と猛は。



「どう?学校の雰囲気は」


生生徒会室へと向かう道すがら、華美が氷麗に尋ねる。

華美の半歩後ろを歩く氷麗は、なにか意図があるのかと思案した後、これはただの世間話だと判断し答えた。


「どうでしょう?まだ初日なので分かりません」


「それもそうね」


「あの華美会長」


「あら。もう私のことを会長と呼んでくれるの?」


「あぁいえ。どう呼べばいいのか分からなかったもので」


「会長でいいわ。皆そう呼んでるから」


「分かりました。では、華美会長」


「何かしら?」


「どうして私を生徒会に勧誘したのですか?」


「優秀な人材に声をかけるのは当たり前だと思わない?」


「はぁ」


「自分を優秀だと否定しないあたり、去年の首席と同じね。連夜くん」


「か、会長!」


いきなり自分に振られたことに対してでなく、皮肉のこもった言葉に対して猛は焦った。

去年の首席の猛は自分がエリートだと信じこんで周りを卑下していた。



「さぁ、入って」


生徒会室に着くと、先導して華美が生徒会室に入った。

その後を付くようにして氷麗も生徒会室に入る。


氷麗が生徒会室に入ると、すでに全生徒会メンバー+フェニックスが席にそして膝の上に鎮座していた。


「来たねー雪城氷麗ちゃんー。つーちゃんでいいよねー?あ、私は生徒会副会長のなのはたんぽぽだよー」


ゆるふわとした雰囲気を持つたんぽぽが、ゆるく自己紹介をする。


「私は会計の紅葉だよ!よろしくね!氷麗ちゃん!」


続けて人見知りをしない元気のいい挨拶で紅葉が自己紹介をした。


「会長の私。そして、副会長の連夜くんを含めた4人が現生徒会メンバーよ」


そして、会長である華美が統括する。


「あの、一ついいですか?華美会長?」


「何かしら?」


「その子は誰なんですか?ていうかなんで高校に小学生が居るんですか?」


「ぶふっ!!」


氷麗の質問にまっさきに吹いたのは紅葉だった。

言われてる本人、フェニックスを膝の上に抱えているのにも関わらず、ケタケタと笑っている。


「ふ、フーちゃん。し、小学生って言われ、言われてるよ……?ぶふっ」


「てんめ笑いすぎだぞ!」


「そうだよーくーちゃんー?笑っちゃだめだよー?」


そう言うたんぽぽも、そして、顔をそらして猛もまた笑っていた。

華美と言えば、周りから笑われているフェニックスが必死に抗議している姿を見て、愛おしく思い頬を染めていた。


「え?どういうことですか?」


周りが笑っている状況が分からない氷麗は困惑する。この見た目が完全に小学生の男の子がもしかしたら小学生じゃないのかもしれないと考えるがどう見ても小学生にしか見えない。


「彼はね、小学生じゃないのよ。でも本当は高校生でもない」


困惑している氷麗に対して華美が説明する。


「高校生でもない?」


「それは、おいおいと説明するわね。ただ一つ言えるのは」


華美はそう言うと、紅葉の所まで行き、紅葉の膝の上に座っているフェニックスを抱えあげる。

そして、途中で辞めていた言葉の続きを言う。


「フー君は毘沙門の1位。つまり、フェイステンの第1よ」

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