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第二話 解放軍の名

これで追いつきましたので、次話からは完全に新しい内容となります♪

本日は、19時にも更新します♪

『皆、私に力を貸してくれ!

 お前たちに「解放軍」の名を授ける!

 どうか、私の矛となり、国を取り戻してほしい!』

 その凛とした声、たたずまいにその場にいたものは皆跪いた。

 圧倒的なカリスマ性。

 彼女のそれは、この時点から既に開花していたのだ…。

 フィリア帝国史記 女帝シンシア編 第一章「解放軍」より

















「よし。全軍散開!」

 各自休息を取り、命令に備えよ!!


 俺が出した指示は一瞬で全体に浸透し(人数が少ないのもある)、各自その場に座るなどして休息をとる。

 まあ、戦。それも、十倍以上の敵、さらに初陣とあって、全員の表情に緊張の色が濃く表れているが、それは仕方がないだろう。


 ひとまず張った簡易テントに幹部陣を呼び、軍議を開く。


 軍議では、主だった幹部が円上に並ぶことになっている。

 総大将、ユウこと俺を12時、反時計回りに、

 右軍大将 ヤグモ

 右軍副将 リリイ

 左軍大将 タクヤ

 左軍副将 マリア

 諜報部長 ロウリイ

 正体不明ということになっている シンシア

 そして最後に、俺の右隣が、副将であるマナだ。


 全員が着席したのを見計らって声をかける。

「よし。早速だが、軍議を始めよう。

 ロウリィ、集めた情報を頼む。」


「はぁ~い。」 

 甘い声と共に立ち上がったのは、諜報部長ロウリィ。

 長髪の美女で、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。

 つまり、スタイルが超良い。


 ぶっちゃければ、きょに――――っ!


 足に鋭い痛みが走った。

 思わず右をみると、マナがものすごい笑顔でこちらを見据えている。


――こっわっ!!


 俺はあわててロウレィのほうをむき、話に集中する。


「ユウ様の予想のとおりぃ、あちらさんは盛大に油断をしているようでぇ~、毎日のように酒盛りしているわぁ~。


 兵力わぁ、およそ五千。七日後にこのあたりに到着すると思われるわぁ。

 これも事前情報と大差はないわねぇ。


 で、肝心の指揮官だけどぉ、総大将がベクターの子飼いの部下、アリアンス。

 副将が、ウリエンスよぉ~。

 どちらもぉ、金だけで成り上がった無能よぉ。


 各部隊長も似たようなものねぇ。

 偵察をだすということも知らないみたい。

 馬鹿正直に街道を全軍で行列作って進んできてるわぁ。


 正直言ってぇ、有能な人物は軒並み落ち延びるか処刑されるかしてるから、これからも似たようなものだと思うわぁ。

 流れの傭兵とかのほうが危険でしょうねぇ。


 あちらの指揮は、むしろ馬鹿なのが影響してそこそこ高いわよぉ~


 あちらには、『敵には反撃する力は既に全くない』とかいう、根も葉もない噂がどこからか広まっているるしぃ、自分たちの圧勝と、その先の略奪しか頭にないみたいよぉ~~


 そんな奴らがぁ、思わぬ攻撃を受けたらぁ、一体どうなるでしょうねぇ~。」

 最後にクスクス笑い、着席するロウリィ。


 末恐ろしいやつだよ全く。

 たった十人の諜報部隊であそこまで調べ上げたんだからな。

 大方、噂を流したのもロウリィだろう。


「ありがとう。助かるよ。」

 ロウリイはまたクスクスと笑い、


「これが仕事だからねぇ~

 それにぃ、ちょっーーと誘惑するだけでたくさん情報くれるしぃ、そこまで大変でもないわよぉ?」


 嘘を付け。

 敵陣まで入り込んで、細かい情報まで調査するのがどこまで大変か、平和ボケ日本在住だった俺でもわかるわ。

 幹部たちも、ロウリィの振る舞いと、任務の大変さのギャップに苦笑している。


「さて、情報がそろったところで、作戦を発表するよ。

 ここの街道は、そこまで広くないうえに、西側は林だ。

 それを最大限活用するぞ。


 まずは左軍。君たちは街道の中心に巨大な穴を掘り、その春来側で待機。

 敵が来たら、作業している姿を一瞬みせた後、相手にこちら資材がみえるように動け。

 欲に目がくらんだ奴らは、猛然と突撃してくるだろう。

 そして、君たちが掘った穴に見事にはまる。

 そこを攻勢に出るんだ。


 次に、私が率いる本体だが、こちらは左軍の攻撃に合わせ、背後から敵本体を急襲する。

 ロウリィによると、敵の指揮官は後ろでぬくぬくとしているらしいから、それを討つ。

 敵はさらに混乱する。


 敵の中には、森の反対、平原方面へと逃げるものが多いだろう。

 右軍は、敵の逃走ルートをある程度誘導したうえで、そこへ兵を伏せ、叩き潰せ。


 大まかには以上だが、何か意見、質問は?」

「以上で、軍議を終了とするが、ここで、正体不明(笑)のシンシア様からお話があるらしい。」

 話を振られたシンシアが立ち上がる。


 シンシアは、皆の顔をぐるりと見渡すと、おもむろに開いた。

「まずはみなさん。

 私のような恥さらしを匿ってくれた上に、挙兵までしていただけたこと、本当に感謝いたします。


 いまのフィリア王国は、民は重税に苦しみ、大臣はベクターの言いなりの、私腹を肥やすことしか考えない輩ばかり。

 こんな状態では、この国は近いうちに崩壊します!


 この軍に、『フィリア解放軍』の名を与えます。

 どうか、逆賊ベクターの手から、この国を取りもどして!!」


 その場にいた全員がひざまずき、彼女に忠誠を示す。


 特筆するような言葉ではなかったものの、彼女の言葉一つ一つには深い思いが込められているのを感じた。


 彼女の凛としたたたずまいには、現代日本育ちのユウたちでも思わず従ってしまうようなカリスマ性がにじみ出ていた。



 


 彼女の本名は、シンシア=フィリア。


 後のフィリア王国第九代女王にして、初代フィリア帝国女皇。


 ユウたちが生涯忠誠を捧げる人物である。
















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