スライム大発生
「うまい話には裏がある。だけど本当にうまい話もあるんだよね、これが。
だからそれを見極めるのが俺っちの仕事ってわけ。」
――by,とある情報屋
「おいこれで本当に全部なんだな?」
俺は今地下室で尋問を受けている。
俺の周りには逃亡対策なのか、
黒いフード月のマントをかぶった男たちが並んでいる。
しかも魔法具でいろいろと拘束されている。
正直膝ががくがくしてる。
なんでこんなことになったんだか?
思い出したのはあの依頼だ。
あの以来さえなければこんなことにはならなかったのだ。
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「俺はここにオーガをに十匹討伐したことを誓うぜ。」
そういうと俺が手をかざしていた水晶が青く光った。
この愚者の水晶は魔力をかざしてから言ったことが本当だと青く、
嘘だと赤く光る。
ギルドではこれで依頼をちゃんと達成したか判断する。
「はい、オーガの二十匹討伐を確認しました。こちらギルドカードです。
報酬は一匹三千フランですので合計六万フランです。」
ちっ、しけてる。
普通の食堂でちょっといい食事をしたら一回で八百から千フランとんでく。
そこに宿屋代、装備の修理代、壊れたら新しく武器や防具も買わねばならん。
正直カツカツだ。
冒険者で本当に儲かってるのは一部の強者だけだ。
これでも俺はここらへんじゃかなり知れた名なんだがな。それでも儲からん。
「おう、でなんかうまい依頼ないか?
装備がダメになってしまってよう。修理するにしても新しく買うにしても金が入用でな。」
こうやって受付で聞くとまだボードにはってない良い依頼を教えてくれることがある。
情報収集は大切だ。
「えーっとあなたの戦闘ランクはCランクでジョブは魔法剣士でしたよね。
ええ、ありますね。」
ほらな。
「依頼はスライムの討伐です。一匹につき千フランです。
南の森で大量発生してまして、
あの森ではいい薬草が取れたんですが今では取りに行くこともできなくなっています。」
大量発生系は力量さえあればかなりの稼ぎになる。
ただ気になることがある。
「いやスライムの討伐自体は良いんだがよ。報酬が高すぎねーか?」
スライムは物理攻撃こそ効かないものの火魔法さえ使えれば簡単に殺すことができる。
だから初心者魔法使いのいい稼ぎ相手だったはずだ。
そんなスライムの討伐でこんな高値がついている。
ギルドからの依頼だから裏はないと思うんだが疑っておいて損はない。
「それがですね、そのスライムが魔力を吸収する性質があるみたいでして、
その上レジストも高いみたいで魔法が効きにくいんですよ。
それで戦士系の人たちはなにもできませんし、
魔法使いの人も数にやられてしまったのか死んだ人も多いですし、
正直人手不足もいいところなんですよ。」
ん?それがなんで俺にとっていい依頼になるんだ?
そうやって疑問に思ってると受付が馬鹿にしたように見てくる。
くっ我慢、我慢。
良い依頼をもらうためには仕方がない。
「魔法剣はレジストされにくいという特性を持ってるからこのスライムの討伐にうってつけなんです。」
「おっおう、そうか。」
「それでこの依頼受けますか?
討伐最低数はなしですから受けるだけ受けてもし遭遇したときに倒すということもできますよ。」
「それじゃあ受けとくぜ。」
「はい、ではギルドカードをお渡しください。
・・・・はい、依頼の登録完了しました。それではまたのご利用をお待ちしております。」
フランという通貨は
コンゴ共和国の貨幣であるコンゴ・フランからとりました。
価値としてはだいたい日本円と一緒ぐらいと思っておいてください。
ただ武器などはこちらでは日常的に使われるものなので、
大量に作られているため日本で買ったり、修理するよりか安めになっています。
こんな感じに物価の関係もありますので日本円とおんなじぐらいというのは大体の目安でしかありません。
それとこの冒険者がいるのはかなりの田舎です。
名がしれてるといっても世界的にはそこまで強いということではありません。