にー
はあ、死ぬかと思った。
身体強化しないと死にかける情交ってなによ。最悪。
まあ、それに見合うだけの情報もえれたし、多分勇者の気持ちも私に向かった。
今回えれた情報の中で一番重要なのは勇者が一人じゃないっていうこと。
しかも直接戦闘では今ベッドで眠ってる勇者が一番弱い、いや一人だけもっと弱いのがいるといってたけど問題なのはこの勇者より強いのが五人もいるっていうこと。
本人は戦い方しだいだって言ってたけど、
エンチャンターっていう半分生産職な上に戦闘では支援職ではガチの戦闘職にはかないようがない。
ああ、けど勇者の中に一人鍛冶師っていうのがいた。
そいつにならあるいはっていうところか。
これは作戦にいろいろと修正が必要かな。
私は枕元に置いてある魔道具を取ってお風呂場に行った。
ここなら勇者が起きてもすぐわかるし会話が聞こえることもない。
これはうちの組が昔保護して今は職人に弟子入りしている子が持ってきたものだ。
そんなに遠い距離とは会話できないけど対の魔道具を持っている人と会話できるものだ。
正直質はよくないけど嬉しくて今も使っている。
私たちが保護した子が今は立派にやっているっていうのが。
「はろはろ、兄貴、調子はどう?」
魔道具を起動して話しかけるとすぐに返事があった。
「姐さんやめてくださいよ。姐さんに兄貴何て呼ばれてるなんて知ったら下のもんにどう思われるか。」
心底困ったという感じの声だ。
今は私が組のボスになっちゃったから距離が離れてるけど兄貴とは幼なじみだ。
昔はいろいろと助けられたものだ。
「いいじゃない、誰に聞かれてるわけでもないし。それに兄貴は兄貴だし。」
「はあ、で用件はなんですか?」
「うんうん、諦めがよくて大変よろしい。
それでね仕事の話なんだけど勇者って複数いるみたいなんよ。」
「ええ、知ってます。勇者が町に降りてこなかったらすぐにそれを報告しようと思ってたことです。」
ちぇっ、つまらん。
「それでね、それぞれのスペックが知りたいんよ。
城にもぐりこませてる部下に調査して報告するようにって言ってくれないかな。」
「それはもうしてあります。というより勇者が召喚されるって分かった時にもうその指令は出してます。
それと勇者同士の人間関係についても。」
有能だね。有能すぎて私のやることがないじゃない。
「ねえ、兄貴。いっそのことあなたがこの組のボスにならない。」
冗談半分で言う。
「いえ、何度も言っているようにあなたの方がふさわしい。」
「あーあ、また振られた。」
本気も半分ぐらいはあったのになあ。
「ねえ、にー、私上手くボスをやれてるかな?」
今回の事も失敗だったかも。私の体は一つしかない。
なら色仕掛けで切る人数も一人。それがまさか弱い勇者に色仕掛けしてしまうなんて。
本来なら部下の報告を待ってたらもっと良い策があったかもしれないのに。
不安で押しつぶされそうになる。
「姐さん・・・・・・リンリーお前はよくやってるよ。」
「そうかな?」
「ああ、そうだ。」
「えへへ。」
兄貴の前では素でいられるから好きだ。
けどそんな時間は長くは続かない。
いつだって邪魔が入る。今だってほら勇者が起きようとしてる。
「じゃあまたあとでね、にー・・・・・・兄貴。」
「後ではいいが言い直しても兄貴っていうのはだめだからな。」
「はいはい、わかってますよー。」
「おい、わかっ」
言葉のとちゅうで魔道具の通信を切ってやった。
さてさて、今からはお子様な勇者の相手をしないと。
とりあえずシャワーを浴びてるふりをするために蛇口をひねるかな。




