スラム街
「それで、どこまで行くんだ?」
そう遠くないとか言いながら結構歩かされてる。
しかも周りはかなり治安が悪そう。
行ったことはないけど地球のスラムみたいな感じだ。
こいつらぐらいどうにかできると分かっていても緊張する。
「ここからならもうすぐだな。途中で尾行がいたからまくためにここまで歩かせちまったからな。」
「はぁっ、尾行?」
全然気づかなかった。
索敵とかはフィリーに任してたからな。
それにしても尾行とか誰がしたんだろう?
ってまあ俺がカモに見られてたのかもな。
だいたいレベルが分かるって言ってもそれもある程度以上強い人しか感じれないみたいだし。
俺のアバターはこの世界では普通だと思うんだけどなあ。
やってたVRMMORPGは外国のだったから西洋風の顔を作ったし。
こっちの人日本人のような顔つきじゃないし。
まあ、それでもゲームではあえて日本人の顔にしてるやつもいたけど。
なんか日本人風の顔は世界観を壊すとかで
課金しないとできなかったからこっちに飛ばされてきた他の奴も外国人風だし。
まあ、あまねさんは自前の体だからまるっきり日本人の顔だけど。
「まあ、もうまいたからこれからは時間がかからないぜ。
だからそうピリピリしなさんな。
あんたほどの奴がそうピリピリしてると俺たちは生きた心地がしないんだからよ。」
「それにしては平気そうだが?」
それなら言葉遣いとかもっと丁寧にしてもいいと思うけど。
いや、敬語とか求めてないけど。
「いやいや、内心ビビりまくしだぜ。
部下の手前おびえてらんねえだけで。
ほら俺の部下たちを見てみろよ。顔がめちゃくちゃひきつってるぞ。」
確かにこいつは大丈夫そうだけど、
離れてついてきてるこいつの部下たちは顔が引きつってるし顔色も青色だな。
「ふむ、努力はしよう。」
相手は友好的なんだから脅しちゃだめだよな。
「ああ、お願いするぜ。っと見えてきた。あれだ。」
男がさしたところにはこのスラムのようなところには大分似つかわしくない立派な建物があった。
向こうの感覚で言えば中国建築だな。
そういえばこの人たちの顔つきも中国人風だな。
「すごいところだな。こんな所にこんな物があるとは思ってもみなかった。」
「そうだろ、そうだろ。うちの組はここら辺のアウトローたちをほとんど仕切ってる。
だからこんなに建物も立派なんだ。
あんたは幸運だぜ。そんな組のボス直々の勧誘なんだからな。」
男が自慢げにいう。
確かにこの建物を見たらそれもわかるな。
「で、そろそろ入ってもいいかい?一応ボスを待たせてるんでな。」
男が建物に感心して入って行かなかった俺に少し笑いながら言う。
ちょっと恥ずかしい。
「いいぞ。」
ちょっと語調が強くなったのは気のせいだ。




