テンプレ不良?
「カモがネギをしょってやってきたときの人の反応は二つ。
危ないよと注意してあげるか、おいしくいただくか。」
―by,とあるヤのつく御職業の人
メイドの態度が悪かったから町に降りてきたのだけど辺りから結構良い匂いがする。
ええっとなんだっけ、メイドがなんか言ってたな。
確か王都は観光地も兼ねてるから屋台が多くてその分競争も激しいからおいしいとこが多いって。
朝は弱いから全然朝ご飯を食べてなかったし、屋台で何か買って食べよ。
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そういえばこっちのお金持ってない。
現在の所持品はメインウェポンのワンドと、
見た目は普通の服なのに物理防御と魔法防御がかなり高い服だけだ。
だけど大丈夫。
俺にはインベントリがあるから。
メニュー機能のインベントリには今まで買ってきた魔物とかの素材や貴重なアイテムがごろごろと。
そこら辺のを適当に売ればいいだろう。
「メニュー」
そういうとブオンという音とともに青い透明な板が出てくる。
ゲームの時では単純にメニューボードと呼ばれてた。
ゲームでは用語集や魔物図鑑とか乗ってたから何気に重宝したものだ。
その中のインベントリの項目を押して・・・・・・・
「なぜだっ!!」
思わず叫んで道を歩いてる人の注目を集めてしまった。
恥ずかしいのでとりあえず横道に入る。
叫んでしまったのも無理はない。インベントリの中身がすべてなくなっていたからだ。
これは結構まずいのではないか。
今無一文の上に所持品が武器だけとか。
俺の持ってる武器も来てる服もかなりのものだけどこれは売れない。
この世界でも普通に魔物はいるのだ。
そんなところでメインウェポンを手放すことはできない。
さて、どうしたものか。
「ようよう、兄ちゃん、ちょっといいかい。」
ガラの悪いいかにも不良という感じの人たちが話しかけてきた。
これはあれか、この人たちからお金を巻き上げればいいのか。
えっ?そんなことしていいのかって。
これはあれでしょ、テンプレ通りに裏路地に連れてかれてそこでカツアゲとかでしょ。
それなら自分が奪われても文句言えないよね。
カツアゲしていいのはカツアゲされる覚悟がある奴だけだ、っていう感じ。
「いいですよ。」
という感じかな。いやもっとおびえた振りしたほうがいいのかな。
というかこの世界にそれなりに訓練つんでる人はレベル差がある程度分かるってメイドが・・・・・
ちっ、いやなこと思い出しちまった。
まあ、この不良たちは強面なくせに全然弱いということだな。
「おう、それは助かる。手荒なことになったらこっちが勝てるとは思ってないからよ。
だからそんなに警戒しないでくれよ。」
あれ、予想が外れた。
この不良たちもレベル差が分かるんだ。
じゃあ下手に出る必要はないな。
「で、何の用だ。俺は今気が立ってる。手短に話せ。」
人を見下すのって楽しいな。
今ならクラスの連中が下のおれをいじってたのかわかる気がする。
「そっちが素か。まあ話が早いのはいい。
俺がしようとしてるのはスカウトだ。悪い話じゃないぞ。」
そんなの罠だらけに決まってるじゃないか。
「おっと、そんなに警戒しないでもいいぞ。
俺たちはあんたに比べたらカスのようなもんだ。
あんたがその気になったら俺たちは止めることはできない。だから話だけでも聞いていかないかい。」
確かにこいつらぐらいどうにでもなるな。
勇者の中ではあまねを除いて俺が一番戦闘量が低いけど。
エンチャンターっていうのは半分生産職だし戦闘では支援職だからな。
「じゃあ、とりあえず話だけなら。」
「おう、それじゃあ、ついてきてくれ。
ボス自ら説明するそうだから。ボスが待ってるとこまでそう遠くないから。」
そう言って歩き出した。
俺がついてくるか何度か確かめている。
そうだ、それでいい。雑魚は俺の態度をうかがうくらいで。




