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めそめそさん  作者: きつねさん
侍女長
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教師役

「大きな町には多かれ少なかれアンダーグラウンドなとこがある。

 それはなくならないし、完全になくなってしまっても困るものだ。」

                          ―by,とある自称知識人


「では、この世界の常識を教えたいと思うのですが何か聞きたいことはありますか?

 なければ私が勝手に進行していきますけど。」

勉強する部屋(本来の用途は会議室)について勇者の皆様に聞いてみました。

まあ、最悪しらなくてもスライムを殺すことはできるので適当でもいいのですが、

この人たちは元の世界に変えることができないので、

出来るだけ今のうちに知識を詰め込んでおきたいものです。

常識知らずで力だけはある人たちが町に出たらと思うとぞっとします。


「じゃあ、敵であるスライムの詳しいステータスについて教えてほしいんだけど。」

あの失礼な男が質問してきます。


「申し訳ありません、それに関しては知らないのです。」

軍事機密らしいですから。

私が教えられたのは厄介な、それこそ勇者を呼ぶようなスライムが現れたということだけですので。


「ちっ、じゃあ何を聞けばいいっていうんだよ。」

うわぁ、まるっきり不良です。私はこの世界の常識について聞けって言ったんだけどなあ。それ

ですがこんな理不尽なことにも耐えなければいけません。

相手は勇者なのですから。


「申し訳ありません。そちら方面のことに関しては近衛騎士長にお聴きください。」

腹立つ・・・・・・・じゃなくて腹が立ちます。

勇者の馬鹿かげんに思わず素が。


「じゃあ、じゃあ、この世界のお菓子とかはどうなの?」

えーっと、朱里さんでしたか、その人の質問です。

さっきの質問よりましですけどもっといい質問はないの?


「ええ、色々ありますよ。

 ですけど実物がないと分かりにくいでしょうからそれは午後にいたしましょう。

 町で実物を見ながら、もちろん食べながら説明いたしましょう。」

とりあえず今はスルー


「ええっと、他にはないですか?」

誰も言いません。

あなた達は何か、何かないのですか。

異世界ですよ!知らないだろうっていうことはたくさんあるでしょう!


とか考えてるとこに一人すっと手が上がりました。

あの弱い女の子です。

よかった、彼女は馬鹿じゃないみたい。

力もなくて、馬鹿だったらどうしようかと。

いえ、まだ油断はできません。一人目みたいにとんちんかんな質問をしてくるかもしれません。


「身分制度について教えてもらますか?」

来ました。まともな質問が来ました。

そういうのを待ってたんです。


「ええ、わかりました。では説明していきましょうか。

 まず一番上が王族です。

 その次に神官と貴族がだいたい同じくらいでしょうか?

 まあ、それぞれ位が細かく分かれてるので一概に言えるようなことではありませんけど。

 その下が平民、私も貴族の娘ですが基本跡継ぎしか位を継がないので私も平民ですね。」


「へー、普通だね。」

勇者の中で特別小柄なが聞いてきます。

名前は確か・・・・・・分かりませんね。

いえ、忘れたとかいうのじゃないんですよ。

一度も自己紹介とかしてもらってませんし。だからそもそも勇者の名前を知らないんです。

今まで知ってるのは勇者達どうしで呼び合ってるのを聞いただけですし。


「普通とは?」

勇者の発言が気になって聞いてみます。


「いや、そんなに深い意味はないんだけど、

 なんか予想した通りというか異世界だから奴隷制度とかあるんだろうなあって思ってたから。」

異世界だから奴隷制度があると思い込んでいた?

なぜそんなことを思っていたのでしょうか?

要調査項目ですね。

っと質問をされてるんでした。


「奴隷制度はありますよ。城にも奴隷はいますし。」

「うそっ、ホントにあるの!?」

いやあると思ってたってさっき言ってたでしょう。

なんでそんなにショック受けたような顔してるんですか。


「私たち見た覚えがないんですけど。」

朱里さんが聞いてきますけど普通にそこらじゅうにいるのですが。


「たとえば今朝の朝食の用意をしていた侍女は奴隷ですよ。」

最近は城でも経費節減が重要になってますので。

「へー、そうなんだ。奴隷ってもっとこう首輪とかつけてるもんだと思ってました。」

いや、朱里さん、どんな扱いだと思ってたんですか。


「いや、それは普通に犯罪ですよ。」

「そうか、意外と良心的なんだな。」

高次が感心してます。


「まあ、アンダーグラウンドな所にはそういうのもあるらしいですけど。」

お城で侍女をしてるとそういう噂も聞こえてくるんですよ。

どこそこの貴族はやばいから、

いい条件でお城の侍女から引き抜こうとして来てもついて行くのはやめたほうがいいとか

そういう情報を知らないと最悪奴隷にされてしまいます。


「そんなのだめだ。すぐに辞めさせないと。

 いや、奴隷制度自体やめさせるべきだ。人権を無視している!」

メガネ(名前知らない)が何かほざいてますけど奴隷制度の必要性を分かってませんね。

こういうことを知らないからこそ私がこうやって常識とかを教えてるんですけど、

少しは自分で考えて分かってほしいですね。


「では勇者様、奴隷はだいたい農村から来るのですがなぜ来るのかわかりますか?」

「それは血も涙もない親が子供を身売りするからだろう。」




「はあ、勇者様、その回答は五点です。」

私は思いっきり勇者を馬鹿にしたような顔を作って言った。


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