一騎打ち
十月十一日誤字修正
「怒れ、怒れ。その怒りが俺を有利にするんだ。」
BY,とある不良
「じゃあ一騎打ちの勝敗条件を決めましょうか。」
一騎打ちの後の条件を決め終ったから今度は一騎打ち自体の条件を決定する。
「こちらとしてはあまり大きすぎる怪我は避けたいのだが。」
今回の失態で外されるかもしれないがそれでもあくまで私は近衛騎士なのだ。
自分のコンディションを悪くするわけにはいかない。
「じゃあ、故意に大けがさせるのは禁止ね。
後一騎打ちの開始の合図はそっちの人の誰かにやらせて。
勝ち負けは戦闘で相手に対して圧倒的優位に立つとかね。
後は気絶または降参とかで決定ね。優位に立ったというのの判定は私がするわ。」
「了解した。」
「わかりました、あまねさん。」
その条件ならあの策もギリギリ使えそうだな。
この少女が審判をするというところに少しひっかかったがまあずるはしないだろう。
「あなたは道場での手合わせと違うんだからちゃんと一騎打ち開始の合図を待ちなさいよ。」
「わかってますよ、あまねさん。」
ふむ、先ほどから何度か道場という単語が出てるな。
同じ道場に通ってたのだろうか?
いやそれにしてはなんだかいろいろとおかしい所がある。
勇者たちの方が体に宿る力は圧倒的に多い。
だがあまねと呼ばれている少女の方が立場が上のように見える。どういうことだ?
「じゃあ、お互いに五メートルぐらいの位置に立って勝手に始めて。」
少女はあまりこの一騎打ちの勝敗に興味がないみたいだ。
女王の身柄などどうでもいいということか。
あの七人の中でこの少女が一番立場が上のようだから、
もし俺が負けてもなんだかんだと理由をつけて女王の身柄は帰ってくるんだろうな。
今この少女たちが女王の身柄を預かっていて利点は少ないのだから。
だがそんなのは近衛騎士のプライドが許さない。
私は勝つ。そして女王を取り戻す。
「おい、そこの騎士、一騎打ちの開始の合図役をやれ。」
「えっ、わっ私がですか?」
「そうだ、やれ。」
私はそこらへんにたたずんでいた騎士に開始の合図を任せる。
「勇者よ、準備は良いか?」
「ああ、いつでも行けるぜ。」
私は騎士に目線で合図を送る。
「そっそれでは一騎打ちの開始の合図をやらせていただきます。
双方構えて・・・・・・始めっ!。」
「へっへっへ、騎士さん、
あんたに恨みはないがあまねさんのお仕置き回避のために生贄になってもらうぜ。」
勇者は一騎打ちが始まったというのに無駄口をたたいている。
ふむ、少し挑発してみるか。
「勇者よ、私は疑問なんだ。」
出来るだけ物憂げな調子をつくって言う。
「何がだ?」
「お前が強いのかということにだ。
それにお前は見たところ馬鹿そうじゃないか。
あまねと呼ばれていた少女を見てみろ。
落ち着いて頭を働かせてこの状況に冷静に対処してるではないか。
それに比べてお前はどうだ?ただ状況に流されていただけじゃないか。」
「なっ。」
勇者はこんな暴言が来ると思ってなかったのか戸惑っている。
隙だらけに見えるが勇者と私ではそもそもの身体スペックが違う。
あれが見せかけの隙ではなく本物の隙だとしてもこの距離では簡単に対応されてしまうだろう。
もっと大きな隙でしかも接近していなくては。
「あまねと比べなくてもお前は他の奴より劣ってるんじゃないか?
ほら思い当たることがあるだろう。」
挑発は成功した。
あまねという少女は勇者たちにとって一線を画している存在のように見えた。
その少女と比べられても目の前の勇者のプライドをそこまで刺激できないようだった。
だからほかの五人と比べてみた。
だいたい思い当たることと言ったがあるに決まっているだろう。
目の前の勇者が何かで他の五人に勝っていたとしても負けている技能もあるだろう。
もしすべてにおいて勝ってる人がいたのなら専門家などいらないのだから。
「おまえっ、優しく気絶させてやろうと思ったけどやめた。
ぼっこぼこにしてやる。」
ちょっと挑発が足らないか。
「おいおい、お前は馬鹿か?
故意に大けがをさせるのは禁止だろうに。」
「ウォーーーー!!」
勇者は叫びながら突進してきた。
だがその剣筋は正直だ。
と言っても私にとっては脅威だ。
なんといっても真っ向から剣を打ち合わせることができないほどその威力は高い。
剣筋が正直だから今は何とか紙一重でよけるたり受け流したりすることができているが、
正直かなりきつい。
「オラオラオラーーーーー」
「くっ。」
やばいな。間違って受け損ねたら腕の一本は簡単に切り落とされそうだ。
仕方ない。もうそろそろギミックを発動するか。
と考え事をしていたのが悪かったのか。
ガキンッ、と音がして俺の剣が大きくはじかれた。
そして勇者は私のその致命的な隙を逃さない。
「とどめだっ。」
勇者はヒートアップしてるのか峰打ちにすることを忘れている。
そしてその大剣が俺の方に向かって振り下ろされ俺はとっさに腕を・・・・・・・・・
近衛騎士長:ブラト・カヴァリエール
ジョブ:聖騎士
あまねへの感情:一種の信頼(あまねが賢いと思ってるため馬鹿なことはしないと 思っている)
備考:幼いころから近衛騎士になるために英才教育を受けた。
個人戦闘では近衛騎士の中では二番手だが、
人を指揮したり人脈を作るのがうまいため騎士長になった。




