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文学の終焉 文豪失格

作者: 海月瑞希
掲載日:2026/07/20

 文学は今まさに、終焉を迎えようとしている。後世の文学史にてこの時代は、文学の氷河期、暗黒時代、空洞化と評せられてもなんら不思議ではない。


 夏草や(つわもの)どもが夢の跡 (『おくのほそ道』松尾芭蕉)


 こんな句をふと思い出してしまった。


 読者の皆も一度は思った事があるだろう。書店は減るのに、本は高くなったと。


 実際、一般社団法人日本出版インフラセンターによると、1994年では21154軒あった全国の書店数だが、2025年度では10000軒を切って9993軒にまで数が減少している。


 また、本の値段については、日本経済新聞の記事によると、2024年の書籍一冊あたりの価格は過去5年間で10%増加している。


 その上、出版科学研究所によると、書籍推定販売金額は1996年では10936億円だったものの、2024年では5937億円にまで落ちている。


 つまり、書店は減り、本は高くなったものの、売上は落ちている。このことから目を背けるわけにはいくまい。


 また、出版科学研究所によると、2014年の出版物売り上げシェアは電子物(電子書籍、電子コミック、電子雑誌)が合計で6.7%だったものの、2024年時点では電子物が合計で36%にまで拡大している。


 このままでは、紙の本は豆から作る珈琲のような高級な嗜好品になり、多くの作品はNetflixやPrime Videoのようなサブスク制の電子書籍として出回るようになるだろう(ただし、教育に関しては紙媒体を使い続けるだろう)。


 私たち小説家を目指す者達に告ぐ。紙の本を出版できる最後の日が近づいているかもしれない、と。



 また、今の時代においては、AIについて語ることも必要だろう。


 小説家になろう、カクヨム、noteなど、AIに対する対応を行っているサイトが増えてきた。それほどAI小説が増えたということであろう。その分、どこからがどこまでがOKなのか、定義の確認で揉め事になることも多々あるだろう。


 結論から言おう。私はAIが発展した結果、だんだんと人間の作品に近づいていって人間の作品と区別がつかなくなってしまうと考えている。そして、いずれは誰でも高クオリティーのものを書けるようになり、他人の作品に金を出すことがなくなって作家という職業自体がなくなる、と。


 未来がそうだとしたら。後世の文学史にてこの時代に関する記述を予測してみよう。おそらく、近代の文学(夏目漱石や森鴎外、芥川龍之介、太宰治、江戸川乱歩,etc.)ほど作者の名前が刻まれず、AI作品、ざまあ系、悪役令嬢系、追放系、異世界、多様性、ポリコレ、共感などのジャンルやテーマがいつ流行ったかが刻まれるだろう。「この作者の作品は〇〇」ではなく「このジャンルのメジャーな作品は△△。作者の名前はわからない」と、作者ではなくジャンルで認識されるだろう。ある意味では「作者の死」だ。


 これは私の主観だが、最近の作品(Web小説や文庫本。BOOKOFFで現代の棚にあるもの。主語が大きいとは自覚しているが、特定の作品・作家を否定する意図はない)は作者の名前・作品のタイトルを隠して読んでも誰の作品か当てられないことがほとんどである。私が無知の可能性も捨てきれないが、文体の個性が削ぎ落とされ、似たりよったりの文体になっているのではないか。また、Web小説に多いケースだが、二人の人物が会話している時、どちらがどの台詞を喋っているかわからなくなるケースが多くある。「登場人物の名前や作者の名前、作品名をはっきりとは覚えていない」そういう人は私だけではないはずだ。


 私の愛読する國分功一郎氏の『暇と退屈の倫理学』の言葉を借りるなら、作品を『浪費』することが出来ず『消費』しているのだ。いわば、物語を味わうのではなく、テーマや設定で腹を満たし、満たされたら作者の名前すら忘れてしまうのだ。「登場人物の名前や作者の名前、作品名をはっきりとは覚えていない」こうなってしまうのも仕方がない。


 これはもはや、文豪失格じゃないか?


 承認欲求で書く人もいれば、趣味で書く人もいるだろう。だが、君たちは覚えてもらえなくてもいいのか? 忘れられていいのか?


 いずれ文学が終わるとしても、今なら、今なら、まだ名を刻めるはず。


 いい編集者、自分の作品をしっかりと読んで考えてくれる編集者に出会えなかったとしてもいい。


 あの芥川賞ですら太宰治、中島敦、織田作之助を落としたんだ。村上春樹(とは言え彼の著作『職業としての小説家』を読む限り、芥川賞には興味ない様子だが)ですら二回落とされたんだ。


 彼らは賞に落ちても名前を残した。


 だから、目を覚ませ!


 お前たちにしか書けないものを書くんだ!


 文学史と心に刻まれる一冊を!




参考資料

https://www.jpoksmaster.jp/Info/documents/top_transition.pdf

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB060LE0W5A101C2000000/

https://shuppankagaku.com/statistics/japan/

https://shuppankagaku.com/statistics/paperback/

https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2511/20/1251120095/

https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2511/18/1251118121/

https://syosetu.com/site/ai/




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