第7話 勇者パーティーが仲間になったけど全員バグ持ちだった
管理者との交渉が終わって数時間後。
俺たちは街道沿いの野営地で焚き火を囲んでいた。
勇者パーティーの三人――リリア(剣士)、エレナ(魔法使い)、ミラ(僧侶)――が、俺の向かいに座ってる。
リリア「改めて……よろしく、アキラ。
私たち、あんたについてくわ」
エレナ「私も。魔王倒すシナリオが崩れた今、どう生きるか考えたい」
ミラ「私もです~。あんたが世界を変えるって言うなら、ついてく価値ありそう」
ヴィンセント(肩の上で欠伸)
「……おい雑魚。こいつら全員ヤバいバグ持ちだぞ」
俺「え?」
ヴィンセントが俺の頭に軽く指を当てた。
脳内に三人のステータスコードが流れ込んでくる。
【リリア】
・死亡フラグ:魔王戦後100%(解除済み)
・追加バグ:好感度上限なし(誰でも簡単に惚れる可能性あり)
・隠しパラメータ:実は転生者(前世の記憶が封印状態)
【エレナ】
・魔法システムオーバーフロー:魔力無限だが暴走リスク200%
・バグ:感情が極端(喜怒哀楽が10倍)
・隠し:実は魔王の血縁(遠い親戚)
【ミラ】
・回復魔法が強すぎて対象を“過回復”させる(HP満タン超えると爆発する)
・バグ:天然がプログラムではなくランダム生成
・隠し:神の落とし子(本物の神の娘だが権限剥奪済み)
俺「……マジかよ」
リリア「どうしたの?」
俺「いや……ちょっとお前らのコード見たんだけどさ」
三人「コード??」
俺は苦笑いしながら説明した。
自分が見える世界の裏側のこと、ヴィンセントのこと、バグのこと。
三人とも最初はポカンとしてたが、
俺がリリアの頭上に【死亡フラグ解除済み】を表示させると、顔色が変わった。
リリア「……本当に、私死ぬはずだったの?」
エレナ「魔王の血縁って……私、そんな設定あったの!?」
ミラ「え~、私神様の娘だったんですか~? 知らなかった~」
ヴィンセント「全員公式チートキャラの失敗作だな。
勇者パーティーとして売り出す前にバグりすぎてお蔵入り寸前だったんだろ」
リリアが立ち上がって、俺に頭を下げた。
「だからお願い。私たちも一緒に世界を直してくれないか?
このままじゃ、私たちもいつか暴走して誰かを傷つける」
俺は少し考えて、頷いた。
「いいよ。一緒に来い」
ヴィンセント「は? 雑魚、増患する気か?」
俺「バグ持ちなら直せばいいだろ。お前が脳内に流し込んでくれりゃなんとかなる」
ヴィンセント「……ちっ。面倒くせぇ」
その夜、早速バグ修正を始めた。
まずエレナの魔力暴走リスク。
俺は彼女の肩に手を置いて、ヴィンセントに注入を頼んだ。
ヴィンセント「死にそうになってからでいいだろ」
エレナ「え、私今死にそうじゃないですか!?」
ヴィンセント「……まあいい」
コード注入。
俺は魔力制御にリミッターを追加。
エレナ「わっ……魔力が落ち着いた!」
次はミラの過回復爆発。
同様に修正。
ミラ「これで人を爆発させなくて済みます~!」
最後にリリアの好感度上限なし。
これは……ちょっと迷った。
リリア「直せるの?」
俺「直せるけど……直すか?」
リリアが少し頬を赤らめて。
「……少し残しててもいいかも」
ヴィンセント「は? お前らもう惚れてんのかよ」
俺(小声)「俺のこと?」
リリア「知らない」
こうして、
バグだらけの勇者パーティーが正式に仲間になった。
ヴィンセント「これでパーティー5人か。
全員バグ持ちの寄せ集めパーティーとか、史上最悪だな」
俺は焚き火を見つめながら笑った。
「最悪でいいよ。
俺たちが直せば、世界一の最強パーティーになる」
空に新しいシステムログが流れる。
【パーティー結成:バグハンターズ】
【メンバー:5名(全員修正対象)】
【世界昇格クエスト進行度:3%】
まだまだ先は長い。
でも、初めて“仲間”ができた気がした。
第7話 終わり
(次回『魔王軍四天王の一人が実はデバッグ担当だった』)




