第6話 管理者と直接交渉した結果
GMの登場で、空気が凍りついた。
白いローブの男は、浮遊したまま俺たちを見下ろしていた。
「不正者よ。お前がこの世界のソースコードを弄った張本人か」
俺「弄ったって……直しただけだよ。クソみたいなバグだらけじゃん、この世界」
GMの目が細くなる。
「この世界は私の設計通りだ。バグなどない」
ヴィンセント(肩の上で嘲笑)
「……設計通りでクソなら、設計者がクソってことだな」
GMが手を振ると、地面が揺れた。
【管理者権限行使:領域封鎖】
【全対象の移動禁止】
勇者パーティーのリリアたちが身動き取れなくなった。
リリア「くっ……体が!」
GM「まずはお前たち勇者から片付ける。
お前たちは私のシナリオ通りに動くはずだったのに、不正者の影響でフラグが狂った」
俺「待てよ。聞きたいことってのはそれだ」
GM「何?」
俺は深呼吸して言った。
「この世界、なんでこんなに手抜きなんだ?
村はダミー、住民はテンプレ、勇者は使い捨て。
お前みたいな管理者がいるなら、もっとマシに作れよ」
GMが笑った。
冷たい、機械みたいな笑い声。
「愚かな。お前は転生者だな?
この世界は“ゲーム”だ。プレイヤー用のテストサーバー。
本番は別にある。ここはただのサンドボックス」
ヴィンセント「……マジかよ」
俺「ゲーム……?」
GM「そうだ。真のプレイヤーが来るまで、この世界は調整中。
お前のようなバグは、削除するのみ」
GMが指を鳴らす。
【管理者権限行使:不正者削除】
俺の体が光に包まれる。
HPが急速に減り始める。
残り50……30……10……
死ぬ。
このままじゃ死ぬ。
「ヴィンセント!!」
ヴィンセント「ちっ……しょうがねぇ」
ドババババババババ!!!!!
脳内に今までで最大のコード洪水が叩き込まれた。
俺の視界が、GMのソースコードで埋め尽くされる。
俺(理解)
「……お前、管理者じゃねぇじゃん」
GM「!?」
俺は光の中から手を伸ばした。
【管理者権限解析完了】
【GMの本質:中間管理者 権限レベル:Sub-Admin】
【真の管理者:上位存在(未接続)】
「お前も、ただのプログラムの一部だろ。
本物の神じゃなくて、管理者の下請け」
GMの顔が歪む。
「黙れ! お前如きに……!」
俺は指を軽く振った。
【権限乗っ取り処理実行】
【GMの権限を一時奪取】
GMの体が固まる。
「な……なんだこれは……エラー、エラー!」
ヴィンセント「よくやった雑魚。
こいつ、中間管理者だから穴だらけだったな」
俺はGMに近づいた。
「交渉だ。
この世界を本番サーバーに昇格させてくれ。
住民を本物の人間として扱え。
それで俺は手を引く」
GM「不可能だ! 真の管理者が……」
俺「真の管理者? そいつに繋げよ」
ヴィンセントが俺の頭にまたコードを注入。
【上位接続処理】
空がさらに割れ、巨大な光の柱が降りてきた。
【真の管理者 降臨】
光の中から、声だけが響く。
【何用だ、下位者】
俺は声を張り上げた。
「この世界を、ゲームじゃなく本物の世界にしろ!
俺が全部直すから!」
光が一瞬輝いた。
【……面白い提案だ】
【許可する。だが、失敗したらお前も世界も消す】
【挑戦するか?】
俺はニヤリと笑った。
「もちろん」
光が消え、GMが崩れ落ちた。
【中間管理者 オフライン】
リリアたちが解放される。
リリア「……アキラ、何をしたの?」
俺「世界を変えるチャンスを手に入れたよ」
ヴィンセント「ふん……調子に乗んな雑魚。
これからが本番だぞ」
空に新しい文字が浮かぶ。
【世界昇格クエスト 開始】
【全バグ修正まで 残り時間:無制限】
【失敗時:全削除】
俺の異世界修正旅が、本当に始まった。
第6話 終わり
(次回『勇者パーティーが仲間になったけど全員バグ持ちだった』)




