第5話 王国が俺を“世界のバグ”として指名手配した
村を出て三日目。
街道を歩いていると、突然空に巨大な文字が浮かび上がった。
【緊急公告】
【不正管理者“アキラ”を即時捕縛せよ】
【罪状:世界ソースコードへの無許可改変】
【危険度:S】
【報奨金:10億ゴールド(生け捕りの場合+5億)】
ヴィンセント「うわっ、ついに来た」
俺「10億って……俺の首そんな高いのかよ」
その瞬間、道の先から騎士団がズラリ。
馬に乗った隊長が告げた。
「アキラと名乗る者! 大人しく投降しろ!」
俺「投降したらどうなる?」
「管理者様の前でコードをすべて元に戻すまで、永遠に牢の中だ」
ヴィンセント「永遠って……管理者、相当キレてるな」
俺はため息をついた。
「……悪いけど、戻す気はない」
隊長が剣を抜く。
「ならば力ずくで!」
騎士30人が一斉に突撃してきた。
俺「ヴィンセント、助けろ」
ヴィンセント「は? まだHP満タンじゃん。自分でやれ」
俺「30人だぞ!?」
ヴィンセント「知らね」
仕方ない。
自分でなんとかするか。
俺は右手を上げた。
【戦闘ルーチン解析中……完了】
【騎士団行動パターン:突進→斬撃→整列 繰り返し】
相変わらず雑なループ処理だ。
俺は指を軽く鳴らした。
【ループ強制脱出処理】
騎士団全員が馬上で固まる。
次の瞬間、整列したまま逆走し始めた。
隊長「な、なんだ!? 体が勝手に……!」
そのまま街道の端まで走って行き、
全員が崖下にダイブ。
ドドドドドド!!
ヴィンセント「……お前、やりすぎだろ」
俺「生け捕りじゃなくてよかった」
その時、空に新しい文字。
【追補公告】
【アキラの危険度を“SSS”に引き上げ】
【生け捕り条件撤回 死体でも可】
【報奨金20億ゴールドに増額】
ヴィンセント「倍になったぞ。売られたら美味いな」
俺「売るなよ!」
背後から別の声。
「売らないわよ。だって私たちが先に捕まえるんだから」
振り向くと、
金髪の美少女剣士と、銀髪の魔法使い、
そして褐色肌の僧侶が立っていた。
【勇者パーティー】
【リーダー:聖剣の勇者リリア Lv99】
リリアが微笑みながら剣を構える。
「あなたが“世界のバグ”ね。
悪いけど、王命だから殺させてもらうわ」
ヴィンセント「うわ、テンプレ勇者きた。
こいつらのコード、めっちゃ綺麗に書かれてるぞ。触るの嫌だわ」
俺「綺麗って……どういうこと?」
ヴィンセント「要するに“公式チートキャラ”だよ。
俺たちみたいなバグとは正反対」
リリアが一歩踏み出す。
「抵抗は無意味よ。
あなたはもう、世界の敵なの」
俺は苦笑いした。
「敵か……まあいいや」
俺は両手を広げた。
「だったらさ、ちょっと聞いてくれないか?」
「何?」
「この世界、クソみたいなコードで動いてるって知ってる?」
リリア「?」
俺は指を鳴らした。
【勇者パーティー ステータス強制表示】
リリアの頭上に文字が浮かぶ。
【リリア・フォン・エルステッド】
【役割:勇者(プレイヤー用お試しキャラ)】
【死亡フラグ:魔王城到達後100%】
【恋愛フラグ:主人公(未登場)と100%】
リリアの顔が真っ青になる。
「な……何これ……!?」
俺「君たち、全部決まってるんだよ。
魔王倒した後、絶対死ぬようにプログラムされてる」
魔法使いが震える声で呟く。
「そんな……私たち、ただの……」
俺は静かに言った。
「俺はそれを変えたいだけなんだ」
ヴィンセント「ほぉ……珍しくカッコつけてるじゃねぇか雑魚」
リリアが剣を下ろした。
「……本当なの?」
俺「本当だよ。だから、戦うなら――」
その時、空が割れた。
【管理者緊急降臨】
光の中から、白いローブの男が現れる。
【世界管理者 “GM”】
【権限:Absolute】
GMが冷たく告げた。
「遊びは終わりだ、不正者。
お前はここで消す」
ヴィンセント「……来たか、本物」
俺はニヤリと笑った。
「ちょうどいい。
俺も、お前に聞きたいことがあったんだよ」
第5話 終わり
(次回『管理者と直接交渉した結果』)




