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『異世界のソースコードが読めてしまった件 ~この世界、全部プログラムで動いてました~』  作者: nekorovin2501


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4/4

第4話 朝になったら村人が全員別人になってた

朝陽が昇った瞬間、村が静かに変わった。

俺は広場のベンチに座り、死んだように眠っていた。

肩のヴィンセントも、珍しく黙って寝てる。

目を開けると、まず違和感に気づいた。

……人が、普通だ。

昨日まで「アニキ♡」「結婚して!」と襲いかかってきた村民たちが、

今は普通に挨拶してる。

「おはよう、アキラさん」

「おはようございます」

声に熱が無い。

目が普通。

まるでまともな人間みたいだ。

俺「…………え?」

ヴィンセント(目をこすりながら)

「……お前、やりすぎたぞ」

俺は慌ててステータスを開いた。

【Village_003 → Village_Real_001へ昇格】

【全NPCデータ ダミー→本番用プロファイルへ置換完了】

【性格・記憶・バックストーリー 自動生成&注入済み】

【好感度システム 正常動作(初期値ランダム)】

俺「俺……こんなことまでしたっけ?」

ヴィンセント「一晩で15万行書き換えたお前が悪い。

 俺もフル注入しすぎて今頭痛いわ」

パン屋のねえちゃん(昨日はハート目だった子)が近づいてきた。

「あの……昨日は変なこと言ってすみませんでした。

 なんか急に頭がおかしくなってて……」

俺「いや、こっちこそ……」

彼女は少し頬を赤らめて、小声で言った。

「……でも、アキラさんが一晩中村のために頑張ってたのは覚えてます。

 ありがとうございます」

好感度 +28(自然増加)

普通に上がった。

無理やりじゃなく、本当に。

子供たちも駆け寄ってきた。

「アニキ! なんか昨日はごめん!

 でも朝起きたら頭がスッキリしてた!」

俺「いや……いいよ別に」

酒場のマスターが涙を拭きながら握手を求めてきた。

「俺、20年この村にいるけど……初めて“普通の朝”を迎えた気がする」

俺は言葉に詰まった。

ヴィンセント(小声)

「……お前、村救っただけじゃなく、住民を“本物の人間”にしちまったぞ」

その時、村の入り口に馬車が止まった。

貴族っぽい服の男が降りてきて、でかい声で叫んだ。

「Village_003は本日削除予定だったはずだが!?

 誰だ、管理者権限を不正に奪ったのは!」

ヴィンセント「来た来た。管理者側の犬だ」

貴族の男の頭上に文字が浮かぶ。

【巡回監視官 Lv85】

【権限:Region_Admin】

【指令:不正村の即時削除】

男が剣を抜いた。

「名乗りなさい! この村を即刻消す!」

俺はゆっくり立ち上がった。

一晩中コードと格闘して、死にそうになって、それでもやり遂げた。

もう怖いものなんてない。

「……俺がやったよ」

ヴィンセント「ほぉ……やるじゃん雑魚」

俺は右手を軽く上げた。

【管理者権限行使】

【監視官の削除指令 無効化】

貴族の男が固まる。

「な、なんだと……!?」

俺はニヤリと笑った。

「悪いな。この村、もう“本物”なんだ」

第4話 終わり

(次回『王国が俺を“世界のバグ”として指名手配した』)

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