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『異世界のソースコードが読めてしまった件 ~この世界、全部プログラムで動いてました~』  作者: nekorovin2501


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12/12

第12話(最終話) この世界で、俺たちは生きていく

光が収まった後、世界は静かだった。

本当に静かで、

本当に穏やかで、

本当に“普通”だった。

魔王城の玉座の間は、

もうただの広い部屋になっていた。

埃っぽい空気も、

古い絨毯の匂いも、

全部が本物だった。

俺は床に座り込んで、

ぼんやりと天井を見上げていた。

ヴィンセントは肩に乗ったまま、

珍しく黙っていた。

「……終わったな」

俺の声が、少し震えた。

ルシフェルがゆっくり近づいてきて、

俺の隣に座った。

「アキラ……本当に、ありがとう」

彼女の声は、

今までで一番柔らかかった。

リリアが剣を鞘に収めながら、

エレナとミラと一緒に寄ってきた。

リリア「私たち……これから、どう生きるの?」

エレナ「シナリオがないって、

 なんか……怖いわね」

ミラ「でも、嬉しいです~。

 自分で決められるんですよね?」

ゼグロスが壁に寄りかかり、

小さく笑った。

「怖いのは最初だけだ。

 俺はもう、偽の四天王じゃなくていい。

 ただのゼグロスでいいんだ」

俺はみんなを見回した。

「そうだな。

 これからは、俺たちで決める。

 何を食べるか、どこに行くか、

 誰を好きになるか、

 全部、自分で」

ヴィンセントが、ぽつりと呟いた。

「……俺はどうすんだ?

 もうバグもねぇし、

 注入する相手もいねぇ」

俺はヴィンセントを指で軽く突いた。

「お前は、俺の相棒のままでいいだろ。

 毒舌のまま、

 肩に乗って、

 文句言いながらついてきてくれ」

ヴィンセント「……ふん。

 しょうがねぇな。

 雑魚の面倒見てやるよ」

みんなが笑った。

本物の笑い声だった。

数日後、

俺たちは魔王城を離れた。

ルシフェルは「もう玉座はいらない」って言って、

普通の服に着替えた。

黒髪をポニーテールにして、

少し照れくさそうに歩く姿が、

なんだか新鮮だった。

リリアは剣を腰に差したまま、

「これからは自分のために戦う」って言った。

エレナは魔法の研究を続けながら、

「暴走しない魔法、もっと極めたい」って笑った。

ミラはみんなの傷を治しながら、

「過回復しないように、優しく治します~」って。

ゼグロスは「旅の護衛でもやるか」って、

意外と頼りになる後ろ姿を見せてくれた。

そして俺は――

もうコードが見えない世界で、

ただ歩いている。

ヴィンセントが肩でぼそっと。

「……お前、泣いてんのか?」

俺は鼻をすすった。

「泣いてねぇよ。

 ……ちょっと、目がチカチカするだけだ」

ヴィンセント「……バーカ」

俺たちは、

これから先の道を、

ゆっくり歩き始めた。

どこに行くか、

何をするか、

全部決まってない。

でも、それがいい。

この世界は、

もう誰かのシナリオじゃない。

俺たちの世界だ。

俺は空を見上げて、

小さく呟いた。

「生きていくぞ」

みんなが頷いた。

本物の、

温かい頷きだった。

――終わり。


『異世界のソースコードが読めてしまった件〜この世界全部プログラムで動いてました〜』


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