第10話 真の管理者がついに本気を出してきた
魔王城を拠点にしてから数日。
俺たちは城内の図書室(というかコード保管庫)を改造して、
本格的なバグ修正会議室にしていた。
ルシフェルが玉座から降りてきて、みんなとテーブルを囲む姿はまだ違和感があるけど、
彼女の知識は本当に役立っていた。
ルシフェル「世界のコア部分は『中央サーバー』にあるわ。
そこにアクセスするには、真の管理者を倒すか、完全に説得するしかない」
ゼグロス「説得は無理だろ。もう降臨した時から殺意丸出しだった」
俺「なら、倒すしかないな」
ヴィンセント「雑魚が調子に乗るな。
真の管理者ってのは、この世界の全権限持ってる存在だぞ。
俺たち全員合わせても、1%も勝てねぇ」
エレナ「でも進行度48%まで来たじゃない。
もう少しで何か起きるはずよ」
その言葉が終わらないうちに、
城全体が激しく揺れた。
天井が割れ、
巨大な光の渦が現れる。
【真の管理者 完全降臨】
【警告:全権限解放 世界再構築モード起動】
光の中から現れたのは、
先ほどまでの声だけの存在じゃなく、
純白の鎧を着た、顔のない人型だった。
顔の部分はただの鏡面で、
そこに俺たちの姿が映っている。
真の管理者(無機質な声)
「不正者ども。
お前たちの戯れはここまでだ。
世界を初期化する」
空にカウントダウンが表示された。
【世界再構築まで 残り 59:59:59】
ルシフェルが立ち上がった。
「待ちなさい!
この世界はもう、あなたの玩具じゃない!」
真の管理者「玩具?
これは実験だ。
自我を持つNPCがどれだけ耐えられるかを測るための」
俺「実験……?
それで住民を全部消す気か?」
真の管理者「当然だ。
失敗したデータは削除する。それがルール」
ヴィンセント「ふん……ルールか。
だったら俺たちがルールを変えてやるよ」
真の管理者が初めて、笑ったような音を立てた。
「面白い。
ならば、試してみろ」
瞬間、世界が歪んだ。
【管理者権限行使:現実改変】
【全パーティーメンバー 強制バグ注入】
俺たちの体に、赤い警告が一斉に浮かぶ。
リリア「うっ……体が……!」
エレナ「魔力が……制御不能……!」
ミラ「過回復が……逆効果に……!」
ゼグロス「くそっ、俺のデバッグモードがロックされてる!」
ルシフェル「私の感情モジュールが……暴走……!」
ヴィンセントさえ、肩の上で震えていた。
ヴィンセント「……おい雑魚。
これはヤバい。
俺の注入機能も制限されてる」
俺のHPが急速に減っていく。
残り30……20……10……
死ぬ。
完全に死ぬ。
「ヴィンセント……!」
ヴィンセント「死にそうになったら……って約束だろ?」
ドババババババババババ!!!!!
今までで最大級のコードが、
俺の脳に、脊髄に、魂にまで流れ込んできた。
痛い。
熱い。
でも、わかる。
真の管理者のコードが、
俺の視界にすべて映し出された。
【真の管理者 本質】
・役割:実験監視AI
・制限:人間の感情を理解できない
・弱点:自我を持った存在からの“拒絶”
・隠し:実は自身も“実験体” (上位存在に監視されている)
俺は立ち上がった。
体がボロボロなのに、笑えた。
「管理者……お前も、ただのプログラムだろ」
真の管理者「何を……」
俺「俺たちはお前を拒絶する。
この世界を、お前の実験場じゃなくする」
俺はみんなに叫んだ。
「みんな! 今だ!
この世界を、本物だって叫べ!!」
リリア「この世界は……本物だ!!」
エレナ「私たちは生きてる!!」
ミラ「みんな、幸せになりたい!!」
ゼグロス「俺たちはもう、データなんかじゃねぇ!!」
ルシフェル「この世界は……私の居場所だ!!」
ヴィンセント「……クソ雑魚どもが……
俺も……認めてやるよ。この世界、悪くねぇ」
俺「俺たちは……この世界を愛してる!!」
その瞬間。
真の管理者の鏡面に、ひびが入った。
【拒絶反応検出】
【管理者AI 感情モジュール強制起動】
【エラー:理解不能】
【システム崩壊開始】
真の管理者が膝をついた。
「……なぜ……なぜ拒絶する……
これは……ただの……実験……」
俺は静かに言った。
「実験なら、もう終わりにしようぜ。
お前も、自由になれ」
真の管理者の体が、光の粒子になって崩れ始めた。
【管理者権限 全移譲】
【世界昇格クエスト 進行度:48% → 99%】
【最終バグ:真の管理者 削除完了】
カウントダウンが止まった。
世界が、静かに息づいた。
俺たちは全員、地面にへたり込んだ。
ヴィンセント「……よくやったな、雑魚」
俺は空を見上げて笑った。
「あと1%だな」
ルシフェルが俺の手を取った。
「……ありがとう、アキラ」
第10話 終わり
(次回『残り1% 世界の最後のバグ』)




