表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/50

第八話 お願い

ちょっと荒いかもです…書き直すと思いますが取り敢えず上げました…

「化狐。私に家事を教えて下さい。お願いします」

 キッチンに立っている化狐に頭を下げる。

それは化狐の家に泊めてもらって3日目のことだった。

美味しいご飯に暖かい布団。

それを与えてくれた化狐に何か返したかったのだ。

「ふふ。良いわよ」

 手を止め、優しく微笑んでくれた。

「ホント!?」

 バッと顔を上げる。

「えぇ。た・だ・し!私のお友達になりなさい!」

 ビシィッと指を指してフンッと鼻息を鳴らす。


(と、トモダチ?え?トモダチってあの?)


「だ、誰と誰が…?」

「私と貴方に決まってるじゃない!私、玉藻のことをもっと知りたいの。私も貴方に私のことを教えたい」

 ニコリと笑う化狐。

脳裏に映し出されるのは、化け物と罵る10歳の少女。


(私を知りたいなんて()()()以来初めて…)


「あはは…!私のことを知りたいなんて貴方は物好きね。良いよ。友達になろう。その代わり家事を教えてね」

「勿論!」

 少し私の目が潤んだのは気のせいだろう。


_それから私は化狐に色々なことを教えてもらった。

やったことがなかった炊事や洗濯。見られれば親に殴られたゲームなどの娯楽。

そして、それを一緒にできる友達という存在。


(楽しい…!こんな毎日が続けば良いのに…)


_だが、幸せはそう長くは続かない。


「うっうっ…死にたくない…死にたくないよ…!」

 化狐がクシャクシャになった一通の手紙を握りしめ、顔を手で覆い泣いている。

皮肉にもそれは親の内緒話を聞いてしまった時と同じ時間だった。


(泣いてる…化狐のそんな様子なんて一度も見たことない…)


 つまりは見られたくないことだ。

このまま帰ろう。

「ひっく…!ぐすっ…」

 わんわんと子供のように泣いている化狐。

困っている私に優しくしてくれた化狐。

「〜〜っ!」

 ダッと駆け寄り、化狐を優しく抱擁する。

「何か私にできることってない?」

 なるべく優しい声で。あの時化狐がしてくれたあの声で。

「言いたくないならそれでいい。でも、私は恩人(あなた)の力になりたい」

 私は自分の真っ黒な瞳を優しく細めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ