第八話 お願い
ちょっと荒いかもです…書き直すと思いますが取り敢えず上げました…
「化狐。私に家事を教えて下さい。お願いします」
キッチンに立っている化狐に頭を下げる。
それは化狐の家に泊めてもらって3日目のことだった。
美味しいご飯に暖かい布団。
それを与えてくれた化狐に何か返したかったのだ。
「ふふ。良いわよ」
手を止め、優しく微笑んでくれた。
「ホント!?」
バッと顔を上げる。
「えぇ。た・だ・し!私のお友達になりなさい!」
ビシィッと指を指してフンッと鼻息を鳴らす。
(と、トモダチ?え?トモダチってあの?)
「だ、誰と誰が…?」
「私と貴方に決まってるじゃない!私、玉藻のことをもっと知りたいの。私も貴方に私のことを教えたい」
ニコリと笑う化狐。
脳裏に映し出されるのは、化け物と罵る10歳の少女。
(私を知りたいなんてあの子以来初めて…)
「あはは…!私のことを知りたいなんて貴方は物好きね。良いよ。友達になろう。その代わり家事を教えてね」
「勿論!」
少し私の目が潤んだのは気のせいだろう。
_それから私は化狐に色々なことを教えてもらった。
やったことがなかった炊事や洗濯。見られれば親に殴られたゲームなどの娯楽。
そして、それを一緒にできる友達という存在。
(楽しい…!こんな毎日が続けば良いのに…)
_だが、幸せはそう長くは続かない。
「うっうっ…死にたくない…死にたくないよ…!」
化狐がクシャクシャになった一通の手紙を握りしめ、顔を手で覆い泣いている。
皮肉にもそれは親の内緒話を聞いてしまった時と同じ時間だった。
(泣いてる…化狐のそんな様子なんて一度も見たことない…)
つまりは見られたくないことだ。
このまま帰ろう。
「ひっく…!ぐすっ…」
わんわんと子供のように泣いている化狐。
困っている私に優しくしてくれた化狐。
「〜〜っ!」
ダッと駆け寄り、化狐を優しく抱擁する。
「何か私にできることってない?」
なるべく優しい声で。あの時化狐がしてくれたあの声で。
「言いたくないならそれでいい。でも、私は恩人の力になりたい」
私は自分の真っ黒な瞳を優しく細めた。