第七話 掃除
明日は諸事情によりお休みさせていただくと思います…
「さぁ、お客様はこちらのソファーに…」
「化狐。私はお客様じゃなくて、玉藻よ」
ちゃんと名があるのだ。それで呼んで欲しい。
「ふふ。分かったわ。玉藻はここのソファーで寛いでて。私はお茶とお茶請けを持ってくるから」
そう言うと、キッチンに引っ込んでしまった。
(待ってるだけは嫌だな…何かしたいけど…)
クルリと部屋を見渡す。
小綺麗にされているが、所々埃を被っている。
(掃除なら出来る)
スッと立ち上がり、箒と塵取り、それからハタキを拝借する。
「化狐が驚くくらい綺麗にしてみせる」
✼
「お待たせしてごめんなさいね。お茶請けの場所を忘れちゃって…え?」
ピッカピカの部屋を見て驚愕する化狐。
その顔が見れて私は満足だ。
「えっと…この短時間でこんなに綺麗にしたの…?」
「そう。あ。ちゃんと手は洗って来たから安心して」
2階もバッチリ綺麗にしてきた(部屋までは掃除してない。ここは見られたくないとかあるだろうと思ったからだ)。
「凄いわ…!全部ピカピカ!」
低くめに設置してある棚の上やらを撫で回し、感動している。
「ありがとう!玉藻!私、家事全般は殆どできるけど、掃除だけはできないから…。それはともかく、部屋がここまでピカピカになるなんて知らなかったのよ!」
肉球付きの手で私の手を覆い、感謝を述べてくれた。
「別に…部屋に泊めてもらうお礼だから…」
ごにょごにょと口ごもるが、化狐のキラキラしたオーラに圧倒される。
「ど、どういたしまして」
その言葉で化狐はニコリと笑った。