第十三話 子守歌
「…………」
わんわんと泣く麗、しくしくと泣く猯ちゃん、そして、呆然とする私。
ここにカオスが誕生する。
なんて事を考えていたが、ハッと思考を元に戻す。
(な、泣き止ませる…泣き止ませる………)
カシャリという写真を撮った音ととも少年の顔を思い出す。
白黒で、誰であったのかも思い出せないけど、でも、気付いたらこう口にしていた。
「…た、玉のように可愛いボクのお姫様〜♪」
あの人が歌ってくれたように、優しく溶かすような歌声で。
「目を閉じて、夢の中でまた会いましょう
もし、君が泣くなら、そばに行くよ
もし、君が悪い夢を見たら、追い払ってあげるよ〜♪」
確か…こんな感じだった気がする。
この歌を聞いて、すっと夢の中に入れたのを覚えている。
今思えば、少し物騒だなとか思ったが、それでもこれを聞くと安心できたのだ。
☓☓がここにいると、☓☓が悪い夢を見たら助けてくれると。
凄く安心した。
名前も顔もぼやけてて思い出せないけど、とっても大事な人。
気付けば、2人は泣き止んでいて私をじっと見つめていた。
「「!!」」
私の顔をずっと見てくるので、不審に思い、首をかしげる。
「だ、大丈夫ですか…?その…涙が…」
泣いていた私が言うことではないのですがと言いながら、私の目元を指の腹で拭ってくれる。
「え…」
その動きでようやく気付く。
私は泣いているのだと。
そう自覚すれば、ぽろりぽろりと涙が溢れてくる。
今度は2人が慌て始める。
なんだかそれが酷く面白く見えて、くすくすと笑ってしまう。
「大丈夫です。少し、昔を思い出してしまっただけなので」
そう言いながら、口元に手を当てて、くすりともう一度笑いを零す。
「「わ…笑ってる…!?」」
なんだか、2人の顔が赤くなっているように見えるが、気のせいだろう。




