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第十一話 記憶喪失…?
麗を横抱きにしたまま、自分の膝に乗せる。
「落ち着きましたか?」
こくんこくんと何度も首を縦に振られた。
「良かったです」
無表情のまま言っているので、感情がいまいち分からないのだろう、怯えた表情を浮かべていた。
それに気付くはずもなく、こう続ける。
「私のこと、覚えていらっしゃいますか?」
なんとなく、そう思ったのだ。
(異様なほど怯えてるし…。
普通、護衛だって分かればそこまでならない気がする…)
ブンブンと顔を横に振られた。
だよねと心の中で頷く。
「え!?わたしのこと、覚えていらっしゃらないんですか!?」
猯ちゃんは酷く驚いた様子だ。
「ご、ごごご、ごご、ごめんなさい…!」
キュッと私の服を握り、顔を埋めてきた。
「怒ってないですよ。ただ、驚いただけです」
ずっと無表情。
その顔がより恐怖を掻き立てたのだろう。ボロボロと泣き始めた。




