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第五十話 お聞きしても?
「よろしくね。えっと…」
困り顔の麗と呼ばれた女性をみて、そう言えば名乗っていなかったなと思い出す。
まぁ、名乗るタイミングがなかったし。
「玉藻です。銀狐玉藻」
嫌いな相手とはいえ、ここをクビにされたら終わるのだ。
ちゃんとしておこう。
まぁ、無表情なのは御愛嬌といつやつだ。
「玉藻ちゃんね。分かったわ」
いきなりちゃん付けとは馴れ馴れしいな。
「…失礼とは存じますが、貴方様のお名前をお聞きしても?」
あ!言ってなかった!と言う顔をされた。
「私は、花咲麗。麗ちゃんって呼んでくれると嬉しいな」
誰が呼ぶかと心の中で反論する。
「花咲様。私はただの世話係です。貴方様の尊きお名前を口にするなど、到底できません」
ちょっと芝居っぽいが、鬼城の好感は得られたらしくうんうんと頷いている。
これで丸く収まるだろうと思っていたら…
「あの!」
意を決して声を上げたのであろう猯ちゃんがピンと手を挙げた。




