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第四十話 悪魔の微笑み
「………?」
猯ちゃんは痛みが走ると思っていたのかギュッと目を瞑ったままだったが、いくら経っても痛みがこないことを不審に思ったのだろう。ゆっくりと目を開けた。
「大丈夫?」
後日、猯は語った。
臙脂の髪が風になびき、黒い瞳は真っ直ぐに自分を見ている。
整った顔も相まって、まさに王子様だった、と。
「ひゃ、ひゃい…!」
顔を真っ赤に染めて恥ずかしがる。
(林檎みたい…美味しそう)
だが、その感情は一切私に伝わらなかった。
「おい!お前!!」
私を指さしてきた。
うーん…早くしないと追っ手が来るかもだし…いや、この時点で来ないと言うことは諦めたのか?
じゃあ、遠慮をする必要はないな。
「ここで待ってて」
猯ちゃんを優しく地面に下ろす。
「アイツ、殴ってくるから」
なるべく安心させるように微笑んでみたが、傍から見ればそれは悪魔の微笑みだった。
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