第二話 逃亡
_15歳になって初めての夏の日。私は家出をした。
「はっはっはっ…!」
体力は付けていた。だが、肺が焼けるように痛い。
速く、もっと速く走らなければ追っ手に追いつかれる。
そうなったら、終わりだ。
文字通り人生が終わる。
(どうして…どうしてこんなことに…!)
_時は2時間前に遡る。
いつもの時間に眠ろうとしたが、上手く眠れず、水を飲みに行こうと考えた。
そうと決まれば話は早い。思い付いたら即実行だ。
ベッドから降り、キッチンへと向かう。
(あ。リビングに明かりが付いてる。まだ起きてたんだ…)
0時を回った真夜中にリビングの明かりが付いている。何となく気になって、そっと覗いてみた。
「___」
父様がボソボソと何かを言った。
母様はその言葉に興味なさげに言い捨てる。
「あの気味が悪い子の自尊心を折れるなら、何でも良いですわ」
_【気味が悪い子】
私のことをそんなふうに思っていたのか。初耳だ。
だが、それ以上の感情は浮かばない。そもそも、この2人に期待をしてないからだ。
「ですが、あの子を襲わせるゴロツキ達はどうするのです?」
さらりと落とされた爆弾に酷く驚いてしまった。
ガタリと物音がしてしまう。
反射的に口元を覆う。
「!誰か居るのか!?」
父様がこちらへ近付いてくる。
(まずい…!か、隠れられるところは!?)
死角は無さそうだ。余計に焦ってしまう。
無慈悲にも寄りかかっていた扉が開く。
「玉藻…!?さっきの会話を聞いていたのか!?」
見つかってしまった。
(殴られる…?叩かれる…?
いや…!痛いのは嫌!!!!)
だが、足が動かない。トラウマ、と言うやつだろうか?
「ふん。聞かれていたのなら、仕方がないな。
お前をゴロツキ達に襲わせる予定を少し早めよう。
お前を襲わせて、私達が助ける。世間様は、私達を娘を助けた英雄と思い込むだろうな。そうすれば、今悩んでいる1つの議題が片付く。
恨むなら、自分の血筋を恨むがいい」
伸びてくる手を振り払い、瞬間的に駆け出した。
「あ!待て!!」
_そして冒頭に至ると言う訳だ。




