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第十八話 九尾様
「あ゙ぁ゙!?なんだテメェ!?」
私を舐め回すように見てくる。
気持ち悪い。
「お婆さん、あっち行こ」
お婆さんをヒョイと抱き上げて、スタスタと歩き出す。
「おい、待ちやがれ。なぁ、ねぇちゃん、オレと遊ばねぇか?」
私の腕を強く掴まれた。
(もう…うざったいな)
「汚い手で触らないでくれる?」
凄む…と言うよりは殺気を飛ばす。ブワリと9本の尻尾もそれに伴うように広がる。
「ひぃッ…!き、九尾!?」
ゴリラは床に尻をつき、動かなくなった。
これ幸いとその場から離れる。
そして、良さげなベンチを見つけたので、そこに下ろした。
「ありがとうございます。九尾様」
私を拝み、ありがたやありがたやとまるで神様に会ったかのように涙を流していた。
(キュウビサマってなんだろう?
神様のことなのかな?)
心の中で疑問に思っていた。