第十七話 結構冷静
「ドケ」
驚いて勢い良く後ろを向くと真っ黒な足が生えただけの焦げちゃの毛玉が後ろにうじゃうじゃいた。
「すみません」
邪魔になってしまったのは申し訳なかったので、切符を取って駅のホームに入った。
(妖怪ってやつなのかな…?)
あの毛むくじゃらも。
(それより、ここどこ?)
見慣れない。でも、この切符が入った途端こうなったのだから原因は切符だろう。
「…………」
私は無言だが内心超焦っている。
「どけ!!俺を誰だと思っていやがる!!!」
シンとした空間に怒鳴り声が響く。
咄嗟にそちらを向いてしまう。
怒鳴った人?はゴリラみたいだが、それよりも大きく、しかも喋る。
(…でも、口を挟む義理はないかな)
スッと視線を戻す。が…
「ひぃぃ…!」
怒鳴られたうさ耳のお婆さんが怯えているところが目に入った。
(うさ耳…)
付けた感じではないので、元々生えているのだろう。
「ねぇ、怖がってる。やめてあげて」
スタスタと近付き、やめるように促す。
(お婆さん、可愛い)
うさ耳だし、小さいし。しわくちゃな顔もいい。
さて、やめるように促した訳を説明しよう。8割可愛いお婆さんにいいとこ見せたい、2割迷惑だし私がなんとかするか。こんな感じであった。