頂点へ
こういちが学会に向かう道すがら、冷たい風が顔に触れる。
だが、それよりも心の中の冷静さが彼を支配していた。
学会の壇上で、彼の論文がどれほどの衝撃を与えるか、その計画は完璧だ。
「これが俺のやり方だ。」
口元に小さな笑みが浮かぶ。
壇上に立つと、彼の視線は客席を一周する。
その目に宿るのは自信と確信だ。
観客たちが息を呑む中、彼はゆっくりと発表を始める。
「AIを使って何が悪いってんだ?」
彼の言葉が響くと、会場が一瞬静まり返る。周囲の学者たちは驚きと疑問を交えた視線を向ける。
しかし、こういちの論文はそれを超えていた。
従来の知見を凌駕し、未知の領域に切り込む。そのデータの正確さ、仮説の斬新さに、誰もが息を呑む。
「これは…」
どこからか、驚きの声が漏れる。
「そうだ。これはAIの力を駆使して得られた結果だ。」
彼が続けると、客席のざわめきが再び大きくなる。
批判する者はいない。ただただ、驚愕の声が広がるのみだった。
教授たちは口を開け、同僚たちは言葉を失っていた。
こういちは、その場に立ち尽くし、視線を会場に戻す。
「学会は進化するべきだ。俺のやり方がその証拠だ。」
力強い言葉が投げかけられると、沈黙。
そうして大きな拍手が巻き起こる。
彼の前に立ちはだかるものはもう何もない。彼が学会を掌握し、AIを駆使した研究が新たな地平を開拓する。それは彼の掌握する影の王座だ。
「戻ってきてくれ?」
彼は再び口にする。
「もう遅い。」
こうして、こういちは学会を蹂躙し、頂点に立った。彼の計画は完璧だった。誰もが彼を恐れ、そして尊敬する。AIという道具を使いこなすことで、彼は未来の研究者たちにその道を示していた。